★阿修羅♪ > 昼休み14 > 518.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
雇用対策法案―この国会で成立させよ 仕事を失い、住まいを追われ、明日からどうやって暮らせばいいのか。
そう途方に暮れる人が抱いている危機感や切迫感を、この国の政治家たちはどれだけ分かっているだろうか。
世界金融危機に端を発し、みるみるうちに国内へも広がった雇用削減の嵐に対し、民主党など野党3党が緊急の雇用対策法案を参議院へ出した。
採用の内定を取り消す場合には書面で理由を示すことを義務づける。非正社員として働く人の解雇を抑えるために、雇用調整助成金の対象を広げる。職とともに住まいを失った人へは、公的な住宅を提供したり生活支援金を給付したり、といった内容である。
これらは、麻生首相がすでに打ち出した雇用対策と重なる部分も多い。雇用危機は深刻で、早く手を打たねばと与党も考えているはずだ。
それなのに自民党は、野党の法案の成立には消極的だ。このままでは年明けの通常国会へ先送りされかねない。なんとも理解に苦しむことだ。
与党にしてみれば、雇用対策を先に決めたのは自分たちだという思いがあるのだろう。会期末になって法案を出し、麻生政権の無策ぶりを浮き立たせることを狙ったような民主党の作戦に対して反発もあるに違いない。
だが、もとはといえば、雇用対策の遅れは政府与党が招いたものである。雇用対策を含んだ第2次補正予算案の内容を決めておきながら、解散へ追い込まれることを恐れて、国会提出を来年へ先送りしたからだ。
景気の悪化は、1カ月前には想像もできなかったような急スピードで進行中だ。人員削減の波がいま、激しい勢いで押し寄せている。何万人もの失業者が街にあふれる事態が、まさに目の前に迫っている。
どちらが先に考え出したか、などというメンツにこだわることは許されない。与野党が「無策だ」「非協力だ」と責め合って、肝心の雇用対策が遅れるようなことがあれば、それは政治全体の責任放棄である。
政府や国会の対応の遅さにしびれを切らして、独自に手を打つ自治体も出てきた。これは痛烈な批判であると、各党とも受けとめるべきだ。
寒空のもと、年を越せるのかと不安を募らせる人がいる時に、年明けの国会まで対策を待つゆとりはない。与党の対策であれ、野党の法案であれ、可能なものから、できるだけ早く進めていかなければならない。
そのためにも自民党は、野党法案の審議にきちんと応じることだ。
いまは各党が対決するのではなく、知恵を出し合って危機に取り組み、対策を急いでもらいたい。法案に修正すべき点があるならば手直しして、会期末までに成立させるべきだ。政治は苦しむ国民を放置してはいけない。