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湯浅誠
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湯浅 誠(ゆあさ まこと、1969年 - )は評論家・NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長。東京都小平市出身。21世紀初頭に顕在化した日本国の貧困問題に取り組み、活発に発言を続けている。
目次 [非表示]
1 経歴
2 「五重の排除」理論
3 「自己責任の過剰」の指摘
4 出典
5 著書
6 外部リンク
[編集] 経歴
武蔵高等学校、東京大学法学部卒業。同大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。大学院在学中の1995年よりホームレス支援などに関わる。父親の死をきっかけに大学院を辞め、貧困者支援活動に専念。閣僚時代の竹中平蔵による「日本に絶対的な意味での貧困は存在しない」との発言に反論する論文を雑誌に掲載したことがきっかけで編集者に声をかけられ、出世作となった著作『貧困襲来』(山吹書店)を執筆。
「もやい」事務局長職は無給であり、大学院を辞めてからは毎月数万円で生活していたが、『貧困襲来』発表後、講演会などの収入で多少は持ち直したという[1]。
2008年12月、著書『反貧困――「すべり台社会」からの脱出』にて大佛次郎論壇賞を受賞。
[編集] 「五重の排除」理論
湯浅は自身の活動経験から、小泉純一郎による「聖域なき構造改革」以降の日本社会で顕在化した貧困において、個々の人間が貧困状況に追い込まれるプロセスには5つの排除構造が存在すると指摘している[2]。
教育課程からの排除
親世代が貧困状態である場合、その子供たちは多くの場合中卒あるいは高校中退で社会に出なければならず、社会的階層上昇(貧困脱出)の為の技術や知識、学歴を獲得することが極めて難しい。この背景には、日本がOECD加盟諸国の中でも、学校教育費への公的支出のGDP比が下から2番目という、教育関係への公的支出が極端に少ない国であるという問題がある[3]。
企業福祉からの排除
小泉構造改革によって激増した非正規雇用の人々は、正規雇用の人々に与えられている雇用保険や社会保険、企業による福利厚生、安定した雇用などから排除されており、容易に貧困状態に滑り落ちてしまう。
家族福祉からの排除
低負担・低福祉である日本社会では親族間の相互扶助が、社会的転落を防ぐセーフティーネットとしての重要な役割を果たしているが、貧困状態に陥る人々はもともと頼れる家族・親族が居ない(例えば家族・親族もワーキングプアであるなど)ことが多い。
公的福祉からの排除
「ヤミの北九州方式(水際作戦)」に代表されるように、現在の日本では生活保護担当の公務員は、申請者をあれこれ理由を付けて追い返すことばかりに力を入れており、いよいよ追い詰められた状況でも生活保護受給に辿り着けない者が非常に多い。湯浅は現在、生活保護受給資格があるにも関わらず「水際作戦」などによって生活保護から排除されている人々(漏給と呼ばれる)を600万人から850万人と見積もっている[4]。「生活保護問題#水際作戦」も参照のこと。
自分自身からの排除
上に述べた4つの社会的排除に直面した結果、自分自身の存在価値や将来への希望を見つけられなくなってしまう状態を言う。
[編集] 「自己責任の過剰」の指摘
湯浅は日本社会に特徴的な病理として「自己責任」論を厳しく批判する。湯浅によると、日本社会に蔓延する自己責任論は、自他の持つ社会資本の格差(親の所得格差、人脈の有無など本人の努力以外の部分で社会における有利不利を決定づけるもの)を見落としているという。またこうした自己責任論はいわゆる「負け組」の人々においても内面化されてしまっており、所持金が底をつきどうにもならなくなるまで「自己責任」で頑張りすぎる者が非常に多いと湯浅は指摘している。「負け組」におけるこのような自己責任論の内面化の弊害として、より早い段階で各種の支援事業にアクセスすれば防げる事態の悪化(多重債務や一家離散、自殺、無理心中など)を湯浅は挙げている[5]。
[編集] 出典
^ 『AERA』2008年3月31日号
^ 湯浅誠『反貧困』岩波書店、2008年、60-61ページ
^ 湯浅2008年、56−58ページ
^ 同、29−30ページ
^ 湯浅前掲書
[編集] 著書
『あなたにもできる!本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』 同文舘出版、2005年
『貧困襲来』 山吹書店、2007年
『働けません。―「働けません。」6つの"奥の手"』 三五館、2007年(日向咲嗣、吉田猫次郎、春日部蒼と共著)
『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』 岩波書店(岩波新書)、2008年
[編集] 外部リンク
自立生活サポートセンターもやい
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視点・論点 「シリーズ格差・貧困」
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カテゴリ: 日本の社会運動家 | 東京都出身の人物 | 1969年生