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麻生首相 逃げてばかりでどうする
2008年11月27日 12:17 カテゴリー:コラム > 社説
できれば、嫌なことは避けたい。不利なことは、状況が好転するまで先送りしたい−。人情として理解できないこともないが、最高責任者として国政を担う首相が逃げてばかりでは話にならない。前言とつじつまも合わない。
麻生太郎首相が、追加経済対策の裏付けとなる本年度の第2次補正予算案を開会中の臨時国会には提出せず、年明けの次期通常国会へ先送りすると表明した。一方で、新テロ対策特別措置法改正案などの成立を図るため、臨時国会の会期は大幅に延長するという。
追加経済対策は、首相の言葉を借りれば、「100年に一度」とも言うべき世界的な金融・経済危機に立ち向かうため、重要で緊急の対策だったはずだ。
「まずは政局より景気対策だ」という論法で、野党が求める衆院の解散・総選挙を後回しにする理由にもされた。
「ポイントはスピードです」。追加経済対策を自ら発表した記者会見で、こう力説したのは首相ではなかったか。
あれから1カ月近くもたつのに、2次補正が「いますぐは、なかなかまとまらない」と首相は弁明したが、いかにも歯切れが悪い。
「年末は企業の資金繰りが大変だ」。民間企業の社長も経験した首相は2次補正を急ぐ理由を、こうも説明していた。なるほどそうか、とうなずく国民も少なくなかったはずだ。
ところが、「緊急対策は1次補正でかなりの部分を賄った」と首相は言い、「問題は(年末でなく)年度末だ」とも語った。今度は、わが耳を疑った国民が多かったに違いない。これでは一体、何のための2次補正なのか、という根本的な疑問を禁じ得ない。
2次補正の目玉は総額2兆円の定額給付金だが、世間の評判は良くない。野党からは「選挙対策の愚策」と批判され、地方自治体も困惑している。
急いで出しても、国会審議で野党の餌食になるだけだ。誤って出口を見失えば、解散・総選挙の引き金を引くことにもなりかねない−。
そんな利害と打算で2次補正の今国会提出を見合わせたとすれば、表向きの言動とは正反対の「政策より政局」の発想だと指摘せざるを得ない。
先週の党首会談で、小沢一郎民主党代表は首相に2次補正の今国会提出を強く迫った。返事を留保していた首相の回答は結局「ノー」だった。
密室で交わされた党首会談のやりとりをめぐり「この人の話は信用できない」と首相が小沢氏に不信感を突きつけると、小沢氏が「チンピラの言い掛かりのようだ」とかみついた。不毛な“場外乱闘”をしている場合ではあるまい。
あす国会で党首討論が実現することに決まった。国民が目を凝らす国権の最高機関の舞台で、政治の閉塞(へいそく)状況を打ち破る建設的な論戦を期待したい。
=2008/11/27付 西日本新聞朝刊=