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http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2008/11/20081124s02.htm
元次官ら殺傷/出頭男の「背後」解明したい
自分がやったと46歳の無職の男が出頭した。乗り付けたレンタカーには血の付いたナイフやら現場の靴跡に似たスニーカーやらを積んでいた。
元厚生事務次官ら連続殺傷事件の捜査が急展開した。警視庁はきのう、銃刀法違反の疑いで小泉毅容疑者を逮捕。連続殺傷にかかわった疑いが濃いとみて殺人未遂容疑でさいたま市内の自宅を捜索した。
「昔、保健所にペットを殺されて腹が立った」。動機をうかがわせる情報としては、そんな供述が伝えられている。
元次官夫妻が刺殺され、さらにその上司だった元次官の妻が重傷を負った連続犯行の輪郭は、まだまだ不鮮明だ。
実行行為への関与は裏付けられるとしても、背後に誰もいないのか。単独犯だとしても、ではこの理不尽な憎悪は、いったいどうやって形成されてきたか。容疑者の身の回りを詳細に洗い直す必要がある。
動機が語られるのは、容疑者自身の言葉だけではない。犯行の細部にこそ動機を示す一端が宿る。綿密に詰めて、容疑者が背負い込んできたものを解き明かしたい。
17日夜とみられるさいたま市での凶行は、元次官山口剛彦さん(66)夫妻が殺害された。翌日午後6時半ごろ、今度は東京都中野区でやはり次官経験者の吉原健二さん(76)の妻が刃物で襲われた。
2人の元次官は1980年代、年金担当の幹部職員として現行制度の設計に携わっている。年金への恨みによる行政へのテロとの見方もあった。2人を直接知る旧厚生省関係者にも捜査当局は関心を寄せていた。
事務次官を務めたとはいえ、何代も前のOBの自宅を狙い、本人だけでなく高齢の女性を襲うなど、犯行の内容、手口は、準備段階からの強い執着を感じさせる。
出頭した時の状況も、その延長線上にあるようにみえる。自宅近くの警察署ではなく警視庁を選んでいる。ナイフや靴、手袋など犯行と符合するようなさまざまな物のほか、自分の住民票まで用意していた。
しかし、本人なりの決断の結果かもしれないこうした行動と、ペットうんぬんの話とのあまりに遠い距離は、何を示しているのか。伝えられる捜査情報は、なかなか焦点を結ばない。
身勝手な逆恨みとはいえ、政治家や行政関係者に向けられた過去のテロ行為は、何らかの具体的な出来事が発端になったことが多かった。今回は今のところ、それが感じ取れない。
時代背景や世相に照らした解釈、推測はさまざまに成り立つ。しかし、もう少し細部にこだわってからでなければ、この事件がもたらす不気味な不安の影の全体像は見定められない。
2008年11月24日月曜日