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http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081009ddm005070129000c.html
社説:給油延長問題 解散の駆け引きに使うな
来年1月に期限が切れる海上自衛隊のインド洋での米艦船などに対する給油活動を1年間延長するための新テロ対策特措法改正案が今国会で成立する見通しが強まった。法案に反対している民主党が、早期の採決を容認する考えを明確にしたためである。野党が多数を占める参院では否決されるが、自民、公明両党が衆院の「3分の2」による再可決に踏み切るとみられている。
民主党は8日、本会議の趣旨説明と質疑を省略してテロ対策特別委員会に付託するよう主張した。早期の成立を認める姿勢である。自民党に「特別委の審議は1日でいい」と伝える場面もあったという。
麻生太郎首相や自民党が審議に時間を費やし、衆院解散を先延ばしする口実にするのを避けたいという考えなのだろう。早期解散の環境整備が狙いである。
私たちは麻生政権に早期の解散を求めている。しかし、これでは、法案の内容より政局対応を優先する本末転倒の態度ではないか。民主党は昨年来、給油活動に反対し、対案としてアフガニスタン本土での支援活動を中心とする「テロ根絶法案」を国会提出して今国会に引き継がれている。
政府の法案の成立を事実上、容認するのではなく、政府案と対案の論点を国民に提示し、有権者の信を問うよう求めるのが筋だ。
アフガン本土の治安が悪化し、民主党の主張する本土での活動には現実性がないとの指摘がある。今、アフガン支援策の論争をするのは得策でない−−早期採決の主張の背景にはそんな判断があるのでは、とみられても仕方ないだろう。
一方、自民党は総選挙をにらみ、アフガン支援策を民主党攻撃の材料の一つにする考えで、こちらも「テロとの戦い」を政局の材料にする姿勢と言えよう。総選挙前の「3分の2」による再可決に反対姿勢だった公明党が再可決賛成の立場に変わったとされる経緯も国民にはわかりにくい。
衆参両院の意思が食い違い、与野党が鋭く対立してきた給油活動を延長する法案が、解散時期をめぐる政局に翻弄(ほんろう)されるのは本来の姿ではない。総選挙で国民の信任を得た新政権の下で、新たな与野党が政局的な対応抜きに合意を追求すべきである。与野党に、テロ対策を解散の駆け引きの材料とする姿勢を改め、総選挙で決着をつける争点の一つにするよう求めたい。
また、政府の法案に注文しておきたい。私たちは、自衛隊の海外派遣のための法案には、シビリアンコントロールの確立を実現するため、「国会承認」は不可欠であると繰り返し求めてきた。ところが、法案は新テロ対策特措法の内容をそのまま引き継ぎ、国会承認が盛り込まれていない。これは重大な欠陥である。旧テロ対策特措法にあった国会承認を復活すべきである。
毎日新聞 2008年10月9日 東京朝刊
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