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http://www.chunichi.co.jp/article/column/desk/CK2008092702000207.html
圧勝とゼロ票
2008年9月27日
麻生太郎内閣が船出した。自民党総裁選で敵なしだった新首相は「日本を明るく強い国にするのが使命」と意気込んでいる。
その総裁選で気にかかったことが二つある。一点は圧勝ぶりそのものだ。
5人乱立でお祭り騒ぎを演出し、事実上の首相選びを総選挙の道具にしようとした。しかし、それに乗るほど国民は甘くない。さらにそこへ汚染米の拡大、米国発の金融不安が襲う。
演出は吹き飛び、たちまち麻生氏の独り舞台に。1回目の投票で他を寄せ付けず、とりわけ地方票は9割以上を集めて、予想を上回る大勝となった。
「景気回復」を掲げ、当初から本命とされた麻生氏ではあるが、雪崩を打ったこの結果には自民党員の「勝ち馬に乗らなければ」という心理が透けて見える。成熟した政策論議も、どこかへ吹き飛んでいた。
思い出してほしい。2年前に安倍晋三氏を、1年前には福田康夫氏を、同じように「選挙の顔」になると圧勝させたのは誰だったのか。そして、両首相の末路はどうなったのか。
もう一点は、小池百合子候補への地方票がゼロだったという事実だ。
小池氏は、小泉純一郎元首相の構造改革路線の後継をうたい、元首相や小泉チルドレンの支援を受けて国会議員票は3位につけたものの、地方では惨敗した。
7年前の総裁選で小泉氏が、本命だった橋本龍太郎氏を逆転した原動力は、地方の熱い期待だった。その落差に驚かされる。
地方の疲弊をもたらした小泉路線に対する拒否反応が、自民党員の間でさえ、それほど根強いことを物語っている。小泉氏が引退を決断したのも、このことと無縁ではないだろう。
天下分け目の決戦がもう間近なようだ。総裁選の結果が示した教訓を学ばなければ、麻生丸は史上最短の命になりかねない。
(名古屋本社編集局長・加藤 幹敏)