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医の反乱(上) 「痛み」動かぬ自民
2008年09月21日
7月に土浦市で開かれた県医師会主催のフォーラムには、民主党の立候補予定者大泉博子氏(左)がパネリストとして参加した=県医師会提供
次期衆院選の立候補予定者すべてに送った茨城県医師連盟のアンケート。結果は各選挙区ごとにA3判の紙にまとめられ、12日午後6時、県医師連の常任委員会で幹部50人にさらされた。
「自民をずっと支持してきたが、何もやってくれない」「改悪、改悪で政争に明け暮れているだけだ」
会場となった一室は、県医師会の入る県メディカルセンター4階。そこに響くのは、現行の医療制度とそれを推進した自民党に対する批判ばかりだった。
最も重きを置いていた「踏み絵」の質問は、後期高齢者医療制度に対する問いかけだ。「撤廃すべきである」の選択肢を選んだ自民党候補はゼロ。そればかりか、2、5、6、7区の自民現職4人は回答を拒否した。
自民一辺倒だった姿勢を改め、「候補者本位」で推薦すると仕掛けた原中勝征委員長(県医師会会長)は常任委員会の前までは、「1、5、6区は民主。4区は自民。あとの三つは話し合いで」と考えていた。だが、議論に口を挟まなかった。
2時間後、7選挙区すべてで民主推薦が決まった。原中氏はうなずいた。「これに従って順次準備を進め、民主党との打ち合わせに入ります」
■
後期高齢者医療制度は高齢者いじめ――。医師2641人で構成する県医師会は「お年寄りの負担増」を理由に、全国で最も過激に反対してきた。
7月24日、医師会幹部4人は厚生労働省を訪れ、20万人分の反対署名を保険局長に渡した。局長の反応は「お預かりします」とだけ。次に面会した民主出身の江田五月参院議長は対照的な反応だった。
「全国区の参院議員が当選できる大変な数だ」
この日を境に、県医師会の政治団体である県医師連盟は民主支持に傾いていった。
原中氏は思った。「官僚政治をやめさせない限り、医療は救えない。官僚の言うなりになり、医療崩壊を起こした政治家の責任の重さを問わなければならない」
自民党総裁選が22日に迫り、解散風が吹き荒れる中、舛添厚労相は20日、同制度の抜本的な見直しを表明したが、県医師連に民主推薦の考えを崩すつもりはない。
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6区の元厚生相、丹羽雄哉氏の足元では5月ごろから、県医師会幹部が民主の大泉博子氏に接触する動きがあった。現行医療政策の旗振り役である丹羽氏には、県内各地の医師から「地元より政府を向いている」との不満も挙がっていた。
もちろん、6区内のつくば、土浦、石岡の地元3市医師会で意見は割れ、「丹羽支持、大泉支持、両者支持、両者不支持の4通りの意見で結論が出なかった」(土浦市医師会の大祢(おお・ね)廣伸会長)。
7月19日に土浦市で開かれた高齢者医療のフォーラムが、地元に「衝撃」をもたらした。招かれた立候補予定者は丹羽氏ではなく、大泉氏だった。主催は県医師会。「地元の我々には、日時も出席者もテーマもまったく相談がなかった」(土浦市医師会)という。
丹羽氏はフォーラムの開催前から神経をとがらせていた。「やめさせる方法はないか」
丹羽氏の支援者で土浦市の開業医は、県医師会の幹部に電話で問いただした。
「何で土浦でやったのか」
「これは丹羽さんに反対する会だ」
県医連が大泉氏推薦を発表した翌日、この開業医の携帯電話に、丹羽氏本人から連絡があった。「心配かけてすみません。これはしょうがないので、医師会の皆がそうではないでしょうから、民主支持以外の人のまとめをお願いします」。丹羽氏の語り口は冷静だった。
県医師連の決定にも、開業医は「誰から何を言われても従わない。従来通り丹羽さんを応援する」と語気を強める。ほかにも多くの医師が丹羽氏を支持する考えだ。その一方、石岡市医師会長で、丹羽氏を支持してきた滝田孝博氏は、すでに丹羽陣営の後援会長をやめたいと申し出ている。
政権選択が最大争点の次期衆院選を前に、自民党にノーを突きつけた県医師連の「反乱」は、政府与党が進めてきた「痛み」に対する反抗であるとともに、各医師会の中に「亀裂」も生じさせている。
(この企画は、川上裕央、清水康志が担当します)