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2008年9月 3日 (水) メディア・コントロール
「不祥事」を「宣伝」に転化するマスゴミ報道
「政権投げ出し」を与党の利得に転化するのは筋違いだ。「政権投げ出し」は「職場放棄」である。日本で最も大事な仕事を任されている人物が「職場放棄」した。首相を輩出している与党は国民に謝罪して直ちに後継者を選出する責務を負っている。「不祥事−謝罪−迅速な対応」が「危機マニュアル」の基本で、不祥事への対応過程を広告宣伝活動に利用することなど許されることではない。
船の航海を委託されている企業があるとしよう。企業が派遣した船長が航海中に仕事を投げ出した。企業は顧客である乗客に深く謝罪するとともに、代わりの船長を迅速に派遣して、航海中断を最小限に留める責任を負う。
航海を放り出したまま、次の船長選びにうつつを抜かす猶予など与えられるはずがない。まして、船長選びを企業の広報活動に利用することなど、言語道断の対応だ。
「政権投げ出し」の不祥事の責任を問わず、「政権投げ出し」を広報活動の「利得」に転化させる言語道断の行動を最も助長しているのはNHKである。NHKが「福田首相政権投げ出し」のニュースを、気付かれぬように「自民党後継総裁選」のニュースに切り替えて、「巨大政治イベント」の装いを凝らして報道するから、「不祥事」が「利得」に転化するのだ。
NHK以外の電波も「御用マスゴミ」として大政翼賛報道に加担する。「御用マスゴミ電波」は「政権投げ出し」の責任をまったく追及せぬまま、国民の関心を引くように「後継総裁選出ゲーム」として「自民党総裁選」の報道を開始した。
「日本丸」はいま原油高と不況の荒波に呑み込まれようとしている。臨時国会の召集が9月12日に内定し、迫りくる荒波に対して高度の航海術が求められる局面に差しかかっていた。そのさなかでの船長の職場放棄だ。
しかも、船長の突然の職場放棄は今回が初めてではない。1年前にも安倍船長が突然、職場を放棄した。船長を派遣する「自公」株式会社は、せめてもの責任として、航海の受託を返上し、社内の綱紀粛正に専念するべき局面だ。
航海を委託している乗客は、3年前に気の緩みから「自公」株式会社に船の航海を全面委託してしまった。催眠商法のような詐術(さじゅつ)に嵌(は)まり、「自公」株式会社に巨大な決定権を付与してしまったのだ。
その後の現実を見て、多くの乗客が後悔している。「自公」株式会社は「大企業」、「特権官僚」、「外国」の利益だけを尊重して、主賓(しゅひん)であるはずの一般乗客に対して「客を客とも思わぬ」蛮行を振るい始めたからだ。
「年金」、「医療」、「雇用」、「教育」、「障害者支援」、「生活保護」、「中小企業支援」などは、一般乗客の生活の基本だ。一般乗客が委託会社に求めるのは、こうした生活の基本を確実に守り、安全な航海を保障してもらうことだった。
一般乗客は3、4年に一度、委託会社を選択する機会を持つが、3年前の2005年に「自公」株式会社を選択してからは、その機会を与えられぬまま現在に至っている。一般乗客は委託会社と船長をセットで選択するのだが、2006年、2007年の2度にわたり、一般乗客の選択を経ずに船長だけが切り替えられてきた。そして、この2人が2人とも突然、職場を放棄してしまった。
航海の操舵を「自公」株式会社に委ねたが、燃料補給、客室管理などの業務については、昨年7月に「民社共国」株式会社に委託先を変更した。一般乗客は次の総選挙で、航海の操舵も「民社共国」株式会社に委託先を変更することを真剣に検討し始めた。
その矢先の船長による職場放棄だが、今回の職場放棄を「自公」株式会社が「自公」株式会社を乗客にアピールする広告宣伝活動に悪用しようとしているように見える。より正確に言えば、その目的のために職場放棄をあえて船長に実行させた可能性が高い。
昨年の安倍船長による職場放棄も見る目に耐えない大失態だったが、その際に「自公」株式会社は「総裁選」を「御用マスゴミ」に大々的に報道してもらうことにより、巨大な利得を得る経験をした。全面協力したのが「国営御用マスゴミ」=NHKだった。巨大広報報道により、福田新船長の船出を高支持率で飾ることができた。
この経験に味をしめて、「自公」株式会社は2匹目のどじょうをねらっている。NHKはすでに「巨大政治イベント」としての自民党総裁選報道を開始している。
自民党総裁選は麻生太郎氏と小池百合子氏が軸になると見られるが、自民党の派閥力学からすると結果は微妙だ。古賀誠氏、谷垣禎一氏、山崎拓氏、二階俊博氏は麻生太郎氏と本来は距離を置く。清和政策研究会の森喜朗元首相は麻生後継に言及するが、清和研の中川秀直氏と極めて近い。
伊吹文明氏は緊縮財政派であり麻生太郎氏との距離がある。平成研究会の津島雄二氏は財務省出身で根は緊縮財政派だが、最終的には勝ち馬に乗る対応を示すだろう。
「財政バラマキ」と「偽装CHANGE」との間で総裁選が展開されるが、最終決定は世論の動向を睨んで決定されると考えられる。ただし、次期総選挙でほとんどの自民党候補者は公明党、創価学会の支援がなければ当選できない。この意味で自民党は公明党の意向を受け入れざるを得ない。そうなると、麻生太郎氏の「バラマキ」路線が選択される可能性がやや高い。
この場合、「小泉一家」を軸にして、総選挙用に「偽装CHANGE集団」が創設される可能性が浮上する。総選挙での「非自民票」を吸収しようとの戦術だ。総選挙後には「自公」と「偽装CHANGE」は連携して合流する。「偽装CHANGE」は自公政権が「悪徳ペンタゴン」の利権を死守するために創設されるものだから、総選挙が終われば役割を終える。
福田首相辞任、自民党総裁選、解散総選挙への流れは、自公政権が「政官業外電=悪徳のペンタゴン」=「利権互助会」の利権を死守するために練ったシナリオ上に位置付けられる。「悪徳のペンタゴン」の一翼を担う「御用マスゴミ」は「御用マスゴミ」自身の利権を死守するためにも、「御用報道」に徹する。
福田船長の職場放棄を糾弾し、「自公」に速やかな後継総裁選出を迫るのが本来のメディアの役割だ。航海途上での職場放棄に伴う船長交代を「巨大政治イベント」として演出するのは、「御用報道」以外の何者でもなく、メディアの本来の立場を逸脱している。
航海途上での寄港地で、もとより予定されている船長交代の記念行事を大きく報道するなら順当だ。任期満了に伴う自民党総裁選を適切に報道するのであれば筋が通る。あるいは、船長が航海日程を適切に管理して一般乗客にまったく迷惑がかからない日程を設定して、船長交代の行事を行うのなら理解できる。
船長の無責任な職場放棄を航海受託会社の広告宣伝活動に悪用することが定着すると、「自公」株式会社は企業業績が傾くと、意図的に船長の職場放棄を画策するようになってしまう。これを「モラル・ハザード(倫理の喪失)」という。
自民党は、「船長の職場放棄」という「不祥事」の現実を厳粛に受け止めて、後継総裁を短期間に迅速に、しかも「ひっそりと」選出すべきなのだ。報道機関は事態を適正に客観的に評価して、「焼け太り」を認めぬよう、自民党総裁選報道を「最小限度」にとどめるべきだ。
とはいえ、前近代国家に堕してしまっている現状の日本で、報道機関に本来のメディアの役割を求めることは残念ながらできない。NHKを筆頭とする「御用マスゴミ」は権力迎合の「偏向御用報道」を大々的に展開することになるだろう。
一般乗客も2005年に「催眠商法」の罠に嵌(はま)った苦い経験を持つ。「日本丸」の航海を受託される可能性を持つ「民社共国」株式会社は、一般乗客が詐術の罠(わな)に嵌(はま)らぬよう、警戒を呼び掛ける最大の啓蒙(けいもう)活動を展開する必要がある。あらゆる妨害活動、権謀術数(けんぼうじゅっすう)を乗り越えて、政権交代を実現し、「一般国民の幸福を追求する政府」を樹立しなければならない。