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兵站
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兵站(へいたん、英: military logistics)とは、部隊の戦闘力を維持・増進し、作戦を支援する機能・活動をいう。一般的に弾薬・食料・燃料などの補給、武器、装備の性能維持のための整備、衛生(医療)、物資や装備の輸送などの労務を包括的に指す。後方補給とも呼ばれる。直接的な戦闘支援である施設(戦闘工兵などが担当する)に関する支援は兵站にはあたらない。
目次 [非表示]
1 用語
2 語源
3 概要
4 数値例
5 構成
6 機能
6.1 情報統制
6.2 補給
6.3 輸送
7 参考文献
8 脚注
9 関連項目
[編集] 用語
陸上自衛隊では「兵站」という言葉が使用されており、「後方支援」「ロジスティックス」という言葉は海上自衛隊と航空自衛隊、アメリカ合衆国軍で使用されている。(「後方」はどの自衛隊でも用いられる)また「後方支援(combat service support)」という言葉は、場合によって兵站支援にあわせて部外連絡協力、広報、会計を含んで用いられる場合もあるため、完全な同義語ではない。「後方補給」(海自で使用)は兵站と同義語である。
[編集] 語源
兵站の字義は「軍の中継点」(Wiktionary「站」[2])であり、英語表現に当たる「logistics」は、ギリシア語で「計算を基礎にした活動」を意味する「logistikos」、またはラテン語で古代ローマ軍の管理者を意味する「logisticus」である。現代では軍事用語から派生してビジネスで物流管理を意味する。
[編集] 概要
戦争を遂行するためには非常に大きな消費が強いられる。戦争で行われる活動は戦闘に限らず、兵士の健康維持、兵器の継続的な整備、拠点や戦闘陣地の築城など非常に多様かつ膨大である。また戦闘で生じる人的、物的損失の補填も逐次行う必要があるため、前線にはひっきりなしに兵員と物資を送り続けることが求められ、不足すれば作戦部隊の戦闘力が低下していく。この損失を計画的・組織的に補填し続けるさまざまな活動は、前線の戦闘、ひいては戦争の勝敗を左右する極めて重要な活動と考えられる。
「戦争のプロは兵站を語り,戦争の素人は戦略を語る」といわれる[1]。軍隊の維持運用、ひいては戦争全体の勝敗は、兵站の運用にかかっている。ナポレオンや旧日本軍など、過去に兵站を重視しなかったために大敗した軍は数知れず、軍事・民生にかかわらず兵站・ロジスティックに関する研究は非常に多い[2]。
[編集] 数値例
程度によって若干異なるものの、近代地上戦では概して一日あたり一個師団は1%から5%の損失を負い、戦車や装甲車はその5倍から10倍の損失が発生する。具体的には、機械化されていない歩兵部隊は兵員一名に対して一日あたり7.65キロから13.5キロの補給が求められるが、現代の機械化された部隊では兵員一人に対して一日あたり90キロから100キロ程度の補給が必要であり、これに基づいて概算すれば、15000人程度の一個師団には一日1500トンの補給物資が必要となることが分かる。この数値を補給物資が下回れば徐々に一日あたりの人的被害が拡大していき、特に機械化された部隊で燃料が不足すれば戦闘車両が使用できなくなり、戦闘力を著しく低下させてしまう。
[編集] 構成
兵站業務を円滑に遂行するためには作戦地域と根拠地(兵站基地)との交通上のつながりを維持しなければいけない。この関係を「背後連絡線(Line of communications, LOC)」(兵站線・後方連絡線・作戦線)と呼ぶ。これは鉄道・陸路・水路・海路・航空路などから構成され、その地域一帯は「兵站地帯」と呼ばれ、特に後方での兵站にかかわる重要な生産基盤となる地域を「兵站的防衛基盤」という。兵站線は戦略的・作戦的・戦術的な性格をそれぞれ持っており、生産・交通の要所に平時から設置される戦略的な兵站線の中枢となる「中央兵站基地」がある。さらに方面隊が作戦区域内に設置する「方面兵站基地」は作戦的な兵站線の中枢となり、状況に応じて設置される「方面前進兵站基地」は戦術的な兵站線の中心として機能する。以上の兵站基地から兵站線は方向性のある網状に構成され、その運用は兵站部隊によって行われる。
また「兵站主地」(通常兵站地区司令部や兵站衛生諸機関、その関連機関などが併設される場所)や「兵站地」(通常兵站地区司令部や出張所と併設される場所)、「兵站末地(terminal point of line of communications)」(前線の作戦部隊に対して最寄の兵站基地)と兵站基地が区分される場合もある。こうした兵站線は情報伝達としての機能もあるため後方連絡線と呼ばれることもある。
[編集] 機能
兵站の主な機能は補給・輸送である。衛生、修理について後方支援を参照。
[編集] 情報統制
兵站の基礎は情報統制である。必要な場所に必要なタイミングで必要な分量だけ補給することはロジスティクスの基本であり、前線や各兵站堡からの情報収集と需要予測、司令部による増強計画・運用計画に従い、最適な配送・補給計画を立案することが必要となる。オペレーションズ・リサーチなど数学的手法を利用する。物流計画は軍事・民生ともにおいて重要な内部情報であり、敵(競合)に漏洩することは致命的な反撃計画を招く可能性がある。
[編集] 補給
補給とは部隊が軍事行動を行うために必要な物資(武器、食料、燃料、弾薬、通信機器など)を、運用上適切な場所において維持することである。補給が適切に行われなければ、前線の兵士たちの士気は下がり、人的損失も増加する傾向にある。特に機械化された部隊は燃料の補給がなければ機動力がなくなり戦闘力が大きく落ちる。しかし敵の軍事目標として狙われることが多いため、補給物資はしばしば戦地から遠く離れた地域で保持される。また補給物資は経年劣化するために順序よく消費される計画性が求められる。故にいかに戦線に効率的に移動させるかということが非常に大きな課題となる。
[編集] 輸送
輸送は軍事活動において必要な物資を移動させる業務を指す。兵站の重要な要素であり、その効率性が戦闘、作戦、戦争を大きく左右する。歴史的にも輸送は兵站の活動において最も危険度が高くなる。敵にとって輸送部隊は戦闘力が比較的低い上に機動力が乏しく、また戦果としても非常に意味があるので格好の軍事目標とされてしまうからだ。また輸送は一日として途切れさせないようにしなければならない。戦場で一日に消費される弾薬や食料は、その部隊の行動や状況によって変化するものの、非常に多種多様な上に大量であり、しかも敵は待ったなしで攻撃を加えてくるからだ。
[編集] 参考文献
Field Manual 100-5, Operation, Department of the Army(1993)
ジェイムズ・F・ダニガン(著), 岡芳輝(訳)『新・戦争のテクノロジー』, 河出書房新書
眞邉正行(著)『防衛用語辞典』国会刊行会
西田義一(著),『大陸自動車隊』, 叢文社, 1981年
マーチン・ファン・クレフェルト(著), 佐藤佐三郎(訳), 『補給戦 - ナポレオンからパットン将軍まで』, 原書房、1981年
マーチン・ファン・クレフェルト(著), 佐藤佐三郎(訳), 『補給戦 - 何が勝敗を決定するのか』, 改題復刻版, 中央公論社, 中公文庫BIBLIO (2006/5), ISBN 4122046904
谷光太郎(著),『ロジスティクス-戦史に学ぶ物流戦略』, 同文書院インターナショナル,1993年,ISBN 4-8103-8019-X
[編集] 脚注
^ 石津朋之「解説 マーチン・ファン・クレフェルトとその戦争観」マーチン・ファン・クレフェルト『補給戦』,中公文庫,pp.399-417,2006年5月
^ たとえば「帝国海軍燃料始末 戦史に見る燃料兵站の重要性」藤井久(軍事研究Vol.42)、「南北戦争における軍用電信網の役割:連邦陸軍電信隊始末」松田裕之(甲子園大学紀要Vol.34)[1]など
[編集] 関連項目
軍隊、陸軍
後方支援
輜重兵
レーション
ロジスティクス
プロイセン参謀本部
主計総監
兵站総監
兵站監
イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法
自衛隊イラク派遣
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B5%E7%AB%99" より作成
カテゴリ: 軍事 | 軍事学 | 物流 | ネットワーク技術 | 経営学