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http://www.amakiblog.com/archives/2008/08/05/#001054
2008年08月05日
PCI社によるODA疑惑事件の真の責任者
パシフィックコンサルタントインターナショナル(PCI)という建設コンサルタント会社の幹部らが政府開発援助(ODA)贈賄疑惑でついに4日逮捕された。
5日の各紙はそれを一斉に大きく取り上げ、ODAを食い物にしたPCI社を、その社説で激しく批判している。
しかし、どの記事も、その大きな取り上げ方の割りに、よそよそしい。迫力がない。
なぜか。
それはPCI社だけが悪事を働いているわけではないからだ。
疑惑は大手商社のすべてに及ぶからだ。
民間企業だけをいくら責めてみても、物事の解決にはならないからだ。
真の責任者は政府の担当省庁であるが、その責任を本気で追求する気がないからだ。
真の責任者とは誰か。
それはODAを主管する外務省である。
その外務省の監督下にある援助実施機関である。
断っておくが、私は何も外務省や援助実施機関の誰かが賄賂をもらったり、法に触れる事をしていると言っているのではない。
さすがにそれはないだろう。
しかし、だからといって外務省や援助実施機関がその責任から逃れる事はできない。
彼らはPCIをODAの担当企業として長年認めてきたのだ。
不正疑惑が指摘されていたにもかかわらず動こうとしなかったのだ。
私は外務省にあって長く経済援助を担当していたから言えるのであるが、そもそも日本のODA援助にはコンサルタント疑惑はつきものであった。
なぜならば日本の援助政策の基本が、プロジェクト援助中心であり、相手国政府からの要請をまって行なう要請主義で出来ているからだ。
すなわち、プロジェクト援助にはそれを作り上げるコンサルタント社の関与が不可欠である。援助案件はコンサルタント社が発掘、作成し、日本の援助が受けられやすい形に持っていく事が常態化している。
そして、そのようにして作られた援助案件は、受ける側の政府が日本政府に要請してきてはじめて、日本政府がそれを援助対象として検討する事になっている。
すなわち、日本の援助は日本のコンサルタント業者、援助を受ける政府、そして援助を供与する日本の三者による共同作業なのである。
そして、残念ながら、援助を受ける国の殆どの政府は腐敗している。
このPCI事件が新聞で報道されて以来、さぞかし外務省は内心びくびくしていたに違いない。
外務省みずからが贈賄に関与していた事がばれるからではない。
外務省の最大の武器であるODA(政府開発援助)に付きまとう構造的な問題点が世の中に知れ渡る事である。
それを監督する立場にある外務省の担当職員や出先大使官の仕事のいい加減さが明るみに出る事である。
そして、「外務省だけにODAをまかせるわけにはいかない」という声がまたぞろ頭を持ち上げ、新たな援助担当省庁を作るべしという声が再燃するという恐れである。
これこそが外務省が最も避けたい事なのである。