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【テレビ】広告収入低迷で岐路に立つ地上波放送、不動産収入で帳尻合わせるTBSが旧ソニープラザを買収…物販事業に走る台所事情
TBSが旧ソニープラザ買収 物販事業に走るテレビ局の台所事情――広告収入低迷で岐路に立つ地上波放送
http://diamond.jp/series/nagasawa/10040/
7月29日、TBSは旧ソニープラザ(現プラザスタイル)を傘下に持つスタイリングライフ・ホールディングス
(以下、スタイリングライフ)を買収することを発表した。スタイリングライフの大株主である
日興プリンシパル・インベストメンツ(以下、日興プリンシパル)から、発行済み株式の51%(額にして約300億円)を買い取り、
連結子会社にするという。物販ノウハウを持つ同社を買収することにより、番組と連動した商品開発・販売といった
「通販事業」を強化し、放送事業以外の収益向上を目指すという狙いだ。
物販事業を強化するのはTBSだけではない。民放各局にも同じことがいえる。というのも近年、広告収入の減少が続き、
本業である放送事業の売上が低迷しているからだ。
若者の「テレビ離れ」で進む テレビの「高齢化」
これまで、テレビ放送、中でも地上波放送というのが、広告媒体として圧倒的な地位にあったわけだが、近年そうでは
なくなりつつある。博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が行なった「2008年メディア定点調査」によると、
1日あたりのメディア接触時間自体が減少している。そのうち、テレビの占める割合はまだかろうじて5割をキープしているものの、
年々減少傾向であり、5割を切る日もそう遠くはないといわれている。
そしてさらに若い層へのリーチという点ではテレビはかなり苦戦を強いられている。というのも10代20代の若者においては、
インターネットやモバイルとの接触時間のウエイトがとても高くなってきている。これらの若者層は、「M1層」「F1層」といわれる
広告対象層の大部分を占めており、特に「F1層」(20歳から34際までの女性)においては購買行動に結びつきやすいターゲットとして、
広告主から最も注目されている。この層で“テレビ離れ”が起きているということは、テレビ局にとっては広告収入の減少を意味し、
死活問題となるのだ。
ちなみに、日本よりも早くネット社会となったアメリカでは、この傾向がより強くなっているという。
リサーチ会社「マグナ・グローバル」の調査資料によれば、ABC、NBCなどを含む5大ネットワークにおける視聴者の
平均年齢が、ついに「50歳」になったという。つまり、テレビ視聴者の“高齢化”が進んでいるわけだ。ネットを中心とする
テレビ以外の媒体が、テレビから若者を奪っているという状況が、ネット先進国アメリカで顕著に表れている。
その流れが日本にもやってきているといえるだろう。
さらにテレビ局を苦しめる問題は、他にもいくつかある。「スカパー」「WOWOW」など有料チャンネル、
「YouTube」「ニコニコ動画」「まねきTV」などのネット動画配信サービスなど、メディアが多チャンネル化している。
さらには、「ハードディスクレコーダー(HDD)」、「ダビング10」の普及なども要因の1つになっているだろう。
HDDにおいては、CMを飛ばすというスキップ機能も付いており、広告主のCMがどんどん見られなくなっている状況もある。
そして、近年の広告収入減少の大きな要因の1つとなっているのが、2007年12月に第3次施行された「貸金業法改正」である。
これにより、それまでテレビ局の広告収入を支えてきた「消費者金融」会社の広告が一気に激減したのである。
不動産収入でなんとか帳尻を合わせているが・・・
このようにテレビ局において、視聴者の減少→視聴率の低下→広告の減少→売上の減少→利益の低下 という負のサイクルが
始まっており、放送事業自体にかげりが出始めている。実際に2008年3月期の売上高を見てみても、キー局各社は軒並み前年と
比べて減少している(テレ朝だけはわずかにプラスとなっているが)。
■キー局各社の売上高(2008年3月期)と前年比
・フジテレビ:5755億円(−1.2%)
・日本テレビ:3422億円(−0.4%)
・TBS :3151億円(−1.1%)
・テレビ朝日:2528億円(+0.6%)
・テレビ東京:1217億円(−2.0%)
売上高減少の最大の要因はもちろん広告収入の低迷だろう。しかし、かろうじて−1%程度で留まっているのは、
放送事業以外の収入があるからだ。その大部分は映画製作や不動産収入である。特にTBSは、赤坂サカスとして
再開発されている本社周辺の膨大な土地や東京エレクトロンの株式といった優良な資産を多く保有している。
その不動産収入や株式配当金や株式売却益でなんとか帳尻を合わせている状況だ。
しかし、今後さらに広告収入が落ち込むことになれば、話は違ってくる。仮に広告収入がさらに10%落ちることになれば、
会社の存続にも関わる大きな影響を与えることになるだろう。不動産収入などではとてもそれを賄えない状況に陥ることになるのだ。
「高コスト体質」を抱えたままのテレビ局
ただ、まだ改善の余地はある。テレビ局は売上高に比べて、利益率が低いといわれている。その背景にはテレビ局が抱える
「高コスト体質」という問題がある。番組制作にお金がかかるだけでなく、それを支える社員の人件費が高いといわれている。
中でも、TBSとフジテレビは、直近の有価証券報告書によれば、従業員の年間平均給与が1500万円を超えており、多くの
上場企業の中でも給与水準の高さは群を抜いている。
映画事業やDVD販売などが好調なことから、利益率が高いといわれるフジテレビであっても売上高営業利益率は、4.2%にすぎない。
TBSは6.5%とそれよりも利益率は高いが、それは不動産収入が多いため。いずれにしても、本業である放送事業においては、
高コスト体質であることは間違いない。
それは、大きく儲けることよりも、お金をかけてでも良質なコンテンツを作りたいという思いもあるだろう。それに大幅に
利益を上げてしまうと、国から「もっと電波使用料を払え」といわれてしまうことにもなりかねない。
放送事業以外の収益向上が急務に
しかしそうもいっていられない状況になってきているのが現実。各局ともに番組制作費の削減を進めており、中には
役員賞与削減といった人件費カットに着手する局も出始めている。そしてこのコスト削減と両輪で進めているのが、
放送事業以外の収益向上だ。
そこで各局が目をつけたのが「物販事業」。番組を2次使用したDVDやグッズ販売もこれにあたる。そのなかでも各局は
通販番組の開発に力を入れている。読者のみなさんも感じているかもしれないが、最近テレビを見ていると「通販番組が増えたなぁ」
と思うことが多い。特に深夜については、どのチャンネルに変えても通販番組という時も少なくない。
とくに広告が減少している現状においては、自らが広告主となって、空き枠を埋める必要もある。通販番組であれば、少ない予算で
番組を制作でき、空いている広告枠を埋められるだけでなく、物販により商品売上を上げることができ、一挙両得ともいえる。
その流れに合わせ、大きく打って出たのがTBSだ。今回のスタイリングライフ買収で、物販事業のノウハウをグループ内に
取り込み、放送外収入を高めようという狙いだ。実際に、TBSの会見でも「放送外収入を現行の2割から3割に増やす」としている。
(以下長文なので略)