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“午後4時”のテレビ産業?落日の危機は近づいている
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/news/080715_4pm/
曲がり角を迎えたテレビ業界
テレビ業界各社の収益が悪化している。2008年3月期決算では、大手キー局の経常利益が、軒並み減益となった。
業界最大手のフジテレビの経常利益は前年度の460億円から270億円へと約40%も減った。業績悪化の直接的原因は、
広告収入の減少である。電通の推計によれば、テレビ広告費の総額は、2005年以降減少傾向が続いている。
今後の見通しも厳しい。基本的に広告費は、好不況のブレが大きい。今年度は景気悪化の直撃を受け、
広告収入の更なる落ち込みが見込まれる。それに加え、テレビ広告はネット広告の追撃も受けている。
電通の推計によれば、2007年のネット広告費の総額は6000億円を突破した。ネット広告は依然として年率20%以上の
高度成長を続けており、「テレビ広告のライバル」としての存在感が日増しに高まっている。
言うまでもなく、テレビは最大のマスメディアである。その地位は依然として顕在だ。日本人は1日平均で約4時間も
テレビを視聴している。メディアとしての存在感は、他のメディアに比べて圧倒的に大きい。
それにネットの普及が進んだといっても、テレビの視聴率が目に見えて落ちているわけではない。国民一人当たりの
テレビ視聴時間の長期推移を見る限り、消費者のテレビ離れが目に見えて進んでいるようには受け取れない。
しかしテレビにとって不吉な兆候もある。日曜日の視聴時間は高止まりしているものの、平日の視聴時間は漸減傾向だ。そしてより大きな問題は、視聴率の内容にある。
広告メディアとしての影響力減退
テレビの視聴時間には、年齢別に大きな格差がある。高齢者ほどテレビの視聴時間が長く、若者はそれほど長時間テレビを
見ていない。しかもこの格差は、年々拡大する傾向にある。高齢者のテレビ視聴時間が増加し、若年層の視聴時間が減少しているのだ。
NHK放送文化研究所が5年ごとに実施している「国民生活時間調査」によると、2005年の国民1人当たりのテレビ視聴時間は
2000年に比べて僅かながら増加した。ただしその要因は、高齢者の視聴時間増大と人口構成の高齢化によるものと理解される。
高齢者以外の視聴時間は、押しなべて減少しているのだ。
特に減少が著しいのが、若い女性の視聴時間だ。10代、20代、30代の女性のテレビ視聴時間は、2000年から2005年の5年間で
10%以上減少している。若い女性視聴者は、テレビ業界では「F1層」と呼ばれ、最も広告価値が高いセグメントとして位置づけられている。
ところが肝心なF1層は、テレビの視聴時間が短いうえ、更なるテレビ離れも進んでいるのである。
若年層においては、ネットや携帯電話やゲームなどが、テレビの視聴時間を奪っており、この傾向は今後も継続すると見込まれる。
そして若年層のテレビ離れが続けば、将来的にテレビが衰退に向かう可能性も高まることになる。
テレビの視聴率自体は、表面上減少していない。だがその中身は確実に空洞化している。そしてテレビの消費マーケットに
対する影響力は、衰えつつあると認識されるのである。
斜陽化するマスメディア
衰えの兆候があるとはいえ、メディアとしてのテレビはまだ健在である。テレビ以外のマスメディアである新聞やラジオの
状況はもっと深刻だ。消費者の新聞離れ、ラジオ離れは、テレビよりも遥かに速い速度で進んでいる。
同じく「国民生活時間調査(2005年)」によると、国民一人当たりの平均新聞購読時間は、1日に20分余りしかない。
平均値を引き上げているのは、主に60歳以上の高齢者であり、若年層はほとんど新聞を読まない。10代の平均購読時間は
1日にわずか2分であり、20代でも5分程度に留まる。
新聞離れは若年層だけでなく、中年層にも広がっている。30代男性のうち新聞を読む人の割合は、1995年の55%から2005年の
29%に急減した。40代男性のうち新聞を読む人の割合も、同期間に67%から41%に減少している。
ラジオの状況も概ね同様である。ラジオを聴いているのは主に50代以上の中高年であり、若年層はほとんどラジオを聴いていない。
若い世代の間では、新聞を読む、あるいはラジオを聴くという生活習慣がなくなりつつある。その結果、新聞・ラジオの広告費は、
急速に減少している。