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【毎日、大統領選 イラク政策、理想遠く 本選意識、じわり「変節」】(CANGEno)
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投稿者 小沢内閣待望論 日時 2008 年 7 月 17 日 13:25:07: 4sIKljvd9SgGs
 

http://mainichi.jp/select/world/presidential/news/20080717ddm007030029000c.html

米大統領選

アメリカの選択:08年大統領選 イラク政策、理想遠く 本選意識、じわり「変節」


 11月の米大統領選に向け、民主、共和両党の候補指名を確定させたバラク・オバマ上院議員(46)とジョン・マケイン上院議員(71)の「変節ぶり」が注目されている。特に予備選でリベラル色の濃かったオバマ氏は、焦点のイラク政策や令状なしの盗聴、銃規制などで「保守化」が目立っている。政治家の方針転換は珍しくないが、オバマ氏はこれまでにない「新しい政治」への期待を背負ってきただけに、「命取りにもなりかねない」との声も上がっている。


 ◇オバマ氏→現実前に保守化

 「イラクから16カ月で撤退すべく、戦闘部隊を再配備する」。近くイラクを訪問するオバマ氏は15日、首都ワシントンの講演で、大統領就任後16カ月以内に駐留米軍の撤退を完了させる、との従来方針を強調した。3日の演説で「イラクで現地指揮官と話し、より多くの情報を得て政策に磨きをかける」と述べ、この「磨き」を「見直し」と解釈した多くの米メディアから「撤退政策の後退か」と速報されたからだ。

 米紙ニューヨーク・タイムズも、民主党の候補者が本選に向け保守層を意識して中道路線を取ることは珍しくない、としたうえで、「変化を訴えるオバマ氏(の後退)だけに驚きだ」と衝撃ぶりを伝えた。

 オバマ氏はこの「発言」直後、緊急会見を開き、「16カ月以内の撤退方針に変更はない」と釈明、「変節」を否定した。しかし、その後も撤退には「戦術的調整が必要」と微妙な発言を繰り返している。マケイン陣営は、現場の情勢を重視する自陣のイラク政策にオバマ氏が「近づいている」と指摘する。

 オバマ氏は予備選で「16カ月以内の完全撤退」を掲げてきたが、実現可能性については内部でも意見の対立があるようだ。

 今年3月、オバマ陣営で外交政策顧問を務めていたサマンサ・パワー・ハーバード大教授は英BBCのテレビ番組で「16カ月以内の撤退完了は最善のシナリオだ」と指摘。大統領就任時のイラク情勢を事前に想像することは不可能だとして、大統領は候補者時代の「計画」に縛られないなどとコメントした。

 オバマ陣営はこの発言を「事実と異なる」と否定。パワー氏はその後、別の問題発言で顧問を辞任したが、オバマ氏の「公約」の実現性を疑問視する陣営幹部の存在を浮き彫りにした。

 オバマ氏は民主党予備選で、高まるイラク反戦ムードを背景に学生やリベラル派から圧倒的な支持を集め、ライバルだったヒラリー・クリントン上院議員(60)に勝利した。本選では、クリントン氏が予備選で勝利したオハイオ、ペンシルベニア両州などが焦点になるため、クリントン氏を支持した保守的な民主党支持者をいかに取り込めるかが勝敗を決めるカギになる。

 オバマ氏の微妙な発言の裏には、党内の保守層にも「配慮」するため、イラク政策の「着地点」を模索する思惑がありそうだ。

 オバマ氏は、ブッシュ政権による令状なしの盗聴政策についても、当初の徹底抗戦の構えを転換。今月9日、上院議会で盗聴法案に賛成票を投じた。銃規制問題でも「一定の規制は必要」との立場を修正し、先月26日、市民の拳銃所持を禁じた首都ワシントンの法律を違憲とする米連邦最高裁判決を支持した。

 また、予備選で選挙手法の「新しさ」をアピールしたものの、本選では制約が厳しい公的助成金の受け取りを拒否。資金力にまかせた「金満選挙だ」との批判も出ている。

 こうした動きについて、リベラル派のブログ「トーキング・ポインツ・メモ」などには、オバマ氏の「支持をやめる」との投稿が目立ち始めている。ハーバード大のロバード・ブレンドン教授は「オバマ氏が本選で勝つには、学生や草の根リベラル派の強い支持が欠かせない」と分析。今後、リベラル派が重視するイラク政策などで「注意深い対応が必要だ」と指摘している。【ワシントン大治朋子】


 ◇マケイン氏→厭戦世論に配慮

 「私は戦争の勝ち方を知っている。イラクで機能した勝利戦略でアフガニスタンの戦況も好転させられる」

 マケイン氏は15日、ニューメキシコ州の演説で、自らが支持・推進し、一定の成果を収めたイラクでの米軍増派作戦を称賛。治安悪化が激しいアフガンに適用することを提唱すると同時に、増派に反対したオバマ氏を批判した。

 だが、マケイン氏の主張も一貫しているわけではない。「敵に白旗を揚げる」ことになるとして、イラクからの撤退時期を明らかにしなかったが、5月に一転して「2013年1月までの撤退」を表明。「100年駐留」も容認していた前言を翻した。

 「13年1月」についてマケイン氏は、「勝利の時期だ」と強調する。撤退日程を提示した狙いは、イラク戦争への厭戦(えんせん)世論に配慮し、「ブッシュ政権のイラク政策の継承者」との印象をぬぐい去ることにある。

 15日付の米紙ワシントン・ポストとABCテレビの合同世論調査によると、撤退時期の明示に関する賛否は、賛成50%、反対49%と真っ二つに分かれた。また、イラク政策に関する候補者別の支持率も、マケイン氏47%、オバマ氏45%とほぼ拮抗(きっこう)した。

 調査結果について、イラク増派作戦を主張したマケイン氏の最高司令官としての資質を評価する一方、戦争を勝利に導くより、終わらせることができる指導者を求める世論の表れとの分析もある。

 マケイン氏はまた、寛容な政策を主張してきた不法移民対策で反移民色を強めたり、地球温暖化対策論者として反対していた海底油田開発でも支持に回るなど、「変節」ぶりを見せている。

 「愚かな季節」。イラク政策にかかわり、近くワシントンの研究機関に転身するナグル元米陸軍中佐は予備選期間をこう呼ぶ。党内の争いは極端な政策を競い合う傾向にあり、現実味に欠けるからだ。マケイン氏のイラク撤退期限明示も、オバマ氏の現地情勢による撤退判断も、「ともに中道、現実路線へと歩み寄る過程」とナグル氏は見ている。【ワシントン及川正也】

毎日新聞 2008年7月17日 東京朝刊

 

 

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