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http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080721-02-0101.html
「小さな合意」を大きく見せる だからシラケるサミット芝居
2008年7月14日 AERA
洞爺湖サミットが終わった。次の焦点は内閣改造だそうだ。
「乗り切った」途端、前のことはサラリと忘れる。京都議定書もそうだった。あの時も日本は議長国。紛糾する議論をまとめるため日本は「温暖化ガス6%削減」を背負い込んだ。身を切って各国をなだめ、議定書はまとまった。快挙だった。
で、どうなったか。削減どころか、日本が排出するCO2は増えている。約束したが実行しない。「6%削減」に真剣に向き合った首相はいたのか。
「2050年までに半減で合意した」と福田首相は胸を張った。40年余という歳月に誰が責任を持つのだろう。首脳たちは本気なのか。実は口約束にさえなっていない。声明は「50%削減を達成する目標というビジョンを、国連気候変動枠組み条約の全締約国と共有し、同条約にもとづく交渉でその目標を検討、採択を求める」。これって日本語? 要は、枠組み条約の交渉で頑張ろう、と言っているだけだ。合意できなかったから難解な言葉で飾った。これは「決意」ではなく「妥協」だ。「50年までに半減」は昨年のドイツサミットで検討されることになった。1年かけて「検討」が「ビジョンの共有」になった。これは前進なのか。
洞爺湖サミットは世界経済の波乱の中で開かれた。食糧・原油が高騰し、投機マネーが暴走している。40年後のCO2も大事だが、差し迫った危機に対処するのが首脳会合ではないのか。原油価格の異常な値上がりは米国のイラク攻撃が拍車をかけた。金融を変調させたサブプライム危機は米国発、穀物価格の上昇で潤う農業は米国で数少ない輸出産業である。腰砕けになるのは、事前に開かれたG7財務相会合や食糧サミットの結果から見えていた。米国が慎重だった。農業団体、石油メジャー、金融資本は米国の屋台骨である。
政治ショーになったサミットは、もめる議題には取り合わない。合意できる話だけテーマにして結束をアピールする。小さな合意を大きく見せるから、いくら報道しても人々はシラケる。
山田厚史