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http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080721-01-0101.html
政界3姉妹「落選危機」感
2008年7月14日 AERA
東京が地盤の自民党女性議員3人が、政策集団を結成。政策本も出版した。
だが、総選挙後も引き続き国会で仕事ができるのか、雲行きはあやしい。
7月10日夜。ホテルニューオータニ(東京)の大宴会場で、自民党の小池百合子、猪口邦子、佐藤ゆかりの3衆院議員が壇上に並んだ。3人の共著『東京WOMEN大作戦』の出版祝賀パーティーだ。
「この3人はね、ただの3人ではないんですから。相当かしましい。それに一人ひとりみんな華がある」
祝辞に立った小泉純一郎元首相はそう言うと、
「様々な分野で活躍することを願っています」
とエールをおくった。
3人はいま、政策ユニット「TPL」を名乗る。「女性の女性による女性のための東京プロジェクト」(TOKYO PROJECTS of/by/for LADIES)の略称だ。今年5月に結成を宣言した。
小池氏によると、きっかけは、3月1日に都内のイタリア料理店で開いた夕食会だった。岐阜1区の選挙区争いで野田聖子衆院議員に敗れ、東京5区へ「国替え」を強いられた佐藤氏を励ますのが目的だった。その席で、「東京」と「女性」を共通項に政策話が盛り上がり、
「せっかくだから、成果物をつくったほうがいい」
と、一気にユニット結成と本の出版まで構想がふくらんだという。
この場には3人のほか、昨年7月の参院選で東京選挙区から初当選した丸川珠代氏もいた。しかし、東京5区での立候補が取りざたされていた大塚拓衆院議員との結婚を3カ月後に控えていたこともあり、TPLには不参加。東京14区の松島みどり衆院議員には、夕食会への誘いの声すらかからなかった。
同床異夢という見方も
「政界キャンディーズ」とも揶揄される3人組に送られる視線は、党内でさえ冷ややかなものが少なくない。
「まさに選挙を意識したパフォーマンス」(中堅衆院議員)
「なんで東京なのか。3人が東京のためにどれだけ汗をかいたというのか」(東京選出の衆院議員)
「小池氏は総裁候補、猪口氏は比例名簿単独1位、佐藤氏は東京での認知度と、それぞれ別々の狙いがあってやっていること。どうぞご勝手にという感じだ」(関東地方の衆院議員)
こうした見方に対し、小池氏は、
「議員である限り、常に選挙のことを意識はしている。でも、生活者が直面する問題は今すぐ取り組む必要があるので、選挙と関係なく、思い立ってからすぐ行動した」
と、TPL結成のタイミングについて説明。猪口、佐藤両氏は、TPLの意義について、
「女性でもこれだけの政策を打ち出せるということを示した。男性中心の社会に対するショック療法になっている」(猪口氏)
「日本の政治は女性にとって敷居が高いが、東京の3人が政策面で実直にやっている姿を見せることで、多くの女性に政治への意欲と希望をもってもらえるのではないか」(佐藤氏)
と語る。
出版された『東京WOMEN大作戦』の中には、3人それぞれの得意分野の政策が展開されている。
猪口氏は少子化問題を取り上げ、人口が集中している都市こそ子育ての場だと強調。育児と仕事が両立できる職場環境の整備の重要性などを訴える。
小池氏は環境問題について、自身のエコハウス建設の事例を紹介しながら、温室効果ガス削減の大切さをアピール。
佐藤氏は金融・経済という観点から、特に都心部で少子化が進む一方でペットは増えている現象に着目。ペット関連の市場を充実させることで、広範な経済波及効果が生まれると呼びかけている。
選挙区事情は三者三様
当然ながら、こうした政策は、掲げた人が選挙で当選し議員になってはじめて、現実の政治に反映されていく。基本的に、選挙に通ってなんぼの代物だ。
ところが、複数の自民党関係者によると、次の衆院選で当選が見込まれているのは、3人のうちで1人だけ、という党内の調査結果が出ているという。
「大丈夫なのは東京10区の小池さんだけ。佐藤さんは形勢不利、猪口さんも比例の名簿上位が約束されておらず危うい」
佐藤氏が議席の座を争う東京5区(目黒区と世田谷区の一部)は、政治的関心の高い住民が多い土地柄とされる。2000年と03年の総選挙では、民主党の手塚仁雄氏が当選。05年の郵政選挙で、自民党の小杉隆・元文部相が議席を取り返した(03年は比例で復活当選)。しかし小杉氏は、妻の金銭トラブルもあり、今期限りでの引退を表明。次期総選挙は、後継の佐藤氏と手塚氏との事実上の一騎打ちとなる模様だ。
「都議時代から16年間、この土地で政治活動をしてきた。佐藤さんと知名度を比べると、全国的には1対100かもしれない。でも選挙区では、1対1の自信がある」
そう話す手塚氏は、一躍注目の選挙区となりテレビに映る機会が増えたことから、7カ月間で15キロ減量。ほぼ連日、駅前での演説を続ける。
「『しっかりやってよ』『佐藤さんなんかに負けたらダメよ』という励ましを受ける。自民党政治を終わらせたいという有権者の空気を、これまでで最も感じる」
自民23→3の観測も
一方の佐藤氏は、
「岐阜1区では報道による弊害が大きかった。その経験から、佐藤ゆかりを知ってもらうためには、政策から聞いてもらわなくてはならないと考えている」
として、選挙戦については話してもらえなかった。
前回の郵政選挙では、比例東京ブロックの名簿順位単独1位に置かれ、当選を果たした猪口氏。自民党の同僚議員は、
「比例単独1位は、選挙区での厳しい戦いをせずに当選確実な地位。そこにまた今度も指名されるようなことがあれば、みんなだまっちゃいないよ」
と話す。
当の猪口氏は、党員拡大に努めてきたと強調したうえで、
「2期目の議員として歩み続けたいという気持ちは党に伝えてある。私のように後から入ってきた者があれこれ言うと浅知恵になるので、執行部の判断を待っているところです」
自民党にとって厳しい選挙になるとの観測があることについては、
「ものごとは予断するべきではない」
と語った。
自民党現職の当選が危うい状況は、TPLにとどまらない。
東京に25ある衆院選挙区のうち、現在自民党が議席を保有しているのは23。それが、同党の調査で、一気に3まで落ち得るとの結果が出たというのだ。
「テレビで名が売れている17区の平沢勝栄氏、大臣も経験し地力のある8区の石原伸晃氏、そして総裁候補として名があがるまでになった小池氏。この3人以外は、軒並み民主党候補にやられかねないと予測された」
自民党関係者はそう話す。
状況は郵政選挙の逆
現職議員たちは、どう受け止めているのだろうか。
党副幹事長をつとめる東京9区の菅原一秀氏は、
「区議や都議時代から20年間駅前に立っていて、いまほど厳しさを感じるときはない。チラシを受け取ってはくれるが、『改革をどこまで実現できるのか』という無言の問いかけを感じる。リクルート事件後の選挙より厳しい」
党都連総務会長で、優勢とされる平沢氏も、
「自民党には暴風、民主党には追い風が吹いている。民主党を名乗り、改革を訴え、そのうえ若ければ絶対勝つだろう」
と述べたうえで、こう加えた。
「要するに、前回の郵政選挙の逆だ」
編集部 田村栄治