★阿修羅♪ > 昼休み11 > 640.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080708-01-0202.html
民主党代表選 「小沢当確」に歯ぎしり前原と自民
2008年7月8日 読売ウイークリー
9月の党代表選を控え、民主党内では中堅・若手を中心に小沢一郎代表への対抗馬を模索している。だが、「小沢3選」は動かない情勢だ。民主分裂のきっかけと当て込んだ自民党は歯ぎしりしている。
6月6日、都内のホテルの一室で民主党の中堅・若手議員が来日中のブラジル人予知能力者、ジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルース氏を囲んでいた。ジュセリーノ氏は先の中国・四川大地震を予知していたことでも知られ、日本のメディアでも引っ張りだこだ。議員の一人が、「日本で政権交代はありますか」と尋ねると、ジュセリーノ氏は「2、3年後にあるだろう」と明言したという。
永田町の舞台裏では、予言者や宗教家が登場することが度々ある。「予言者の言葉をあてにするなんて」(党幹部)と冷ややかにみる向きもあるが、若手議員らが真顔で予言者の言葉に耳を傾けたのは、今、彼らの最大関心事が「政権交代」であることを物語っている。同党幹部が言う。「政権交代への期待感が高まった今、党内では代表選で小沢、反小沢で対決し、選挙後にしこりを残すべきではないという考えが広まっており、小沢対抗馬擁立に向けた動きを自ら封じ込めているのです」
代表選に向け、これまでに出馬意志を固めているのは、3選を目指す小沢一郎代表ただ一人。小沢氏には、執行部の鳩山由紀夫幹事長、菅直人代表代行、輿石東参院議員会長らが支持を表明している。それぞれが率いるグループも当然、小沢陣営だ。ほかに羽田グループ、旧民社、旧社会党系も多くが小沢氏を支持するものと見られている。
小沢氏は着々と布石を打っている。
6月20日、小沢氏は8月下旬に衆院全小選挙区で党独自の世論調査を実施し、その結果を踏まえ、9月上旬に第1次公認を発表する方針を明らかにした。同党には現在、240人を超える公認内定者がいるが、小沢氏は「今はあくまで公認内定者で、その中から公認候補を決定する。(差し替えは)当たり前だ」と発破をかけた。
同党中堅議員が舌を鳴らして言う。「世論調査対策のため、8月は選挙区にかかりきりになる。東京に集まって代表選に向けた話し合いなどやっている時間がない。反小沢の動きを巧みに封じる小沢さんらしい戦術だ」
衆院解散・総選挙について、小沢氏が、「9月以降、遅くとも年明けには行われる可能性が高い」と臨戦態勢をことさら強調するのも議員心理に作用しているという。
5月末から再開した小沢氏の全国行脚も地方での「小沢支持」を浸透させている。6月に足を運んだのは沖縄、岐阜、福岡など13県に及ぶ。小沢氏は行く先々で地元の連合幹部と会談し、時には連合の事務所近くの居酒屋で杯を交わして意見交換するなど気配りを怠らない。前出の中堅議員が続ける。
「あの小沢さんが、居酒屋で笑顔で話しかける。連合の幹部たちのハートをがっちりつかむわけです。その結果、連合幹部は支援する若手議員らに『代表選挙では小沢さんに票を投じてほしい』と求める。選挙基盤の弱い若手議員は連合に頭が上がりませんから、反小沢の動きが封じ込められるわけです」
政策面でも抜かりない。現在、小沢氏のブレーンと言われる榊原英資・元財務官を中心に官僚OBや経済人が、政策提言を作成中だが「榊原さんたちの提言は、代表選に向けた小沢さんの政権構想の目玉になる。次期衆院選での民主党のマニフェストにも反映されるでしょう」(民主党幹部)という。
これに対し、小沢氏と距離を置く前原、野田両グループなど中堅・若手組には手詰まり感が漂っている。通常国会閉幕後、泊まりがけの合宿を開くなどして腹合わせをしているが、「党内議論の活性化のためにも小沢さんの無投票再選は避けるべきだ」との声はあっても、小沢戦術にジワリと攻め立てられ、対抗馬擁立への道筋が描かれていないのが実情だ。
手痛い打撃だったのが、先頭に立つ前原誠司副代表へのバッシングだ。前原氏が、月刊誌で党のマニフェスト批判とも受け取られかねない発言をしたところ、筒井信隆「次の内閣」農相らが「重大な背信行為だ」として退場勧告をたたきつけた。
「勧告は党所属議員に一斉メールの形で送られ、結構な騒ぎになりました。前原さんはリアリストで何事も正直にものを言う性格。小沢さんに論争を挑むつもりだったのでしょうが、『政権交代を前に党内結束が大事なこの時期、空気が読めないのか』と反発を呼びました」(民主党秘書)
その前原バッシングのハレーションは続いている。6月半ば、前原グループの後見役、仙谷由人・元政調会長が、野田グループの若手に枝野幸男・元政調会長(前原グループ)の擁立を打診したところ、
「枝野さんは、論客で知名度もあるが、前原さんと同様に反小沢色が強くて、今だと大きな亀裂が入りかねない、との理由で感触が悪かったといいます」(前原グループの一人)。
中堅・若手グループの動きが悪いのにはほかにも理由がある。
昨年の参院選で野党が参院を制した結果、民主党議員にとって、政権交代がそれまでの「絵に描いた餅」ではなくなり、現実味を増すものとなった。その結果、
「政権政党になった時のポストにおのずと関心がいく。結党10年の民主党はベテラン層が薄く、政権与党となれば、当選3回クラスでも大臣ポストに手が届く。しかし、非主流派にいたのではあの小沢さんのことですから冷や飯を食わされる。小沢対抗馬の推薦人になるには、それなりの覚悟が必要です」(若手議員)。
代表選候補者を擁立するには党所属国会議員20人の推薦が必要だが、
「今の空気だと、だれが対立候補者になっても、20人の推薦人が集まらない可能性がある」(前出・前原グループの一人)
というのだ。
前原グループからは本来、裏方の参謀に回るはずの仙谷氏が「あと数週間、時代が仙谷由人を求めるかどうかじっくり判断し、皆さんにさらなるご迷惑をおかけすることもある」(6月29日、徳島市内で)と、立候補の検討を表明した。だが、党内各グループに幅広い人脈を持つ仙谷氏を担いでも、20人は集まるかどうか微妙だ。
岡田克也副代表も有力候補だ。しかし、現在の状況だと岡田氏でも推薦人が集まる可能性は少なく、沈黙を保ったままだ。
お茶の間の人気者、河村たかし衆院議員は「減税」を柱にした「河村ビジョン」を作成するなどして出馬に意欲満々。こちらも河村氏と近い松木謙公、前田雄吉両衆院議員らは小沢グループの中核メンバーとあって、推薦人は集まりそうもない。
無投票ムードが強まる中で、あてがはずれる格好となったのが自民党だ。「ねじれ国会」にあえぐ自民党は、民主党代表選をきっかけに民主党内に亀裂が入り、反小沢陣営が党を飛び出して来ると期待している。森喜朗・元首相は6月下旬、外遊先のシンガポールで同国首脳に「9月には民主党の代表選がある。政界再編につながるかもしれない」と語ってみせた。小泉純一郎・元首相、中川秀直・元幹事長らも前原氏が離党予備軍と踏んで、盛んに秋波を送っているが、望み薄だ。
前原氏周辺が解説する。
「前原はあくまで二大政党論者。自民党とは政策面での協調はあるが、民主党を割らない。もし、そんなことをしたらこれまで十数年の苦労が水の泡になる。むしろ自民党が割れると思っている。小泉さんたちは読み誤っている」
民主党は7月14日の結党10年の政治資金パーティーに合わせ、代表選の日程を決定する。投票日は9月の6、7日、14、15日あたりが有力だ。「小沢3選」に向け、着々と碁石を並べる小沢氏の高笑いが聞こえてきそうだ。