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『世界の<水道民営化>の実態』を読んで
廣川祐司2007/05/20
「水は商品じゃない!水は権利だ!」そう主張している人に、5月に京都で開催された「ADB総会・市民フォーラム」で出会った。本書も基本的にそのような立場を示している。
『世界の<水道民営化>の実態』の詳細
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編:コーポレート・ヨーロッパ・オブザーバトリー/トランスナショナル研究所
訳:佐久間智子
出版社:作品社
定価:1600円+税 「水は商品じゃない!水は権利だ!」
そう主張している人に、5月に京都で開催された「ADB総会・市民フォーラム」で出会った。
本書も基本的にそのような立場を示している。注目すべき点は、本書に途上国と先進国の両方の実例(実証研究)がなされている点である。なぜなら、水道の民営化というものは、インフラ整備がされている地域でも、未整備の地域でも、水質の悪化、効率の悪化、値上げによる水アクセスの悪化など共通の問題が発生しているからである。水の商品化というものが、我々の生活に負の影響を与えるということは、普遍的に当てはまることなのだろう。
この<水道民営化>は、官民パートナーシップ(PPP)の名の下に、官営では非効率であった水事業を民間と共に運営していくことによって、効率よく水を供給できるようにすることを目指したものだ。
しかしその計画は失敗に終わることとなる。やはり民間企業は利益を最優先することは、言うまでもないだろう。水は公共財である。公共財の配分に関しては、市民(国民)の意向を強く考慮しなければならないのだ。
水事業が成功している例として、ブラジルのポルトアレグレやインドのケララ州が挙げられていたが、これらの町は住民参加が非常に進んでいることで有名である。したがって、水事業に関しても住民の参加が著しい。このような活動は、監視の目にもなり、水事業は効率よく、成功している例として挙げられている。
やはり、成功の鍵となるのは、地域に住む市民が活発な議論や行動をとり、水事業へ参画していくことであろう。本来、PPPも「官」&「民間企業」ではなく、「官」&「市民」のパートナーシップでなければならない。
新自由主義のイデオロギーがグローバリズムの影響を受け、世界各地でこのような民営化が行われている。本来、水道や電気、ガス、または天然資源などは、市場の原理によって、売買されてはならないものである。これを機に、商品として市場で取引すべきものと、それに向かないものとの区別をはっきりと行うべきであると私は思う。