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コンビニ業界、「1円廃棄」の衝撃
2006-02-25 / 会計・株式・財務
いつもご覧下さり、誠に有難うございます。
どうでもいい話ですが、
今日は、久々にショッピングで散財してきました。
ネクタイを6本も買ったのです。
でも買った店は「キャンドゥ」。
100円ショップです。
私はこの2年ほど、ここのネクタイに魅せられておりまして、
2500円のネクタイなど見ますと、「キャンドゥなら25本買える」と
勝手に換算してしまいどうにも手を出せなくなります。
分相応、これが一番いいですね。
おそらく私は日本で一番、ネクタイを持っている会計士だと思います。
さて本日のネタは、その小売業の雄、コンビニ。
月刊ベルダっていう総合経済誌の3月号に載っていた、
「コンビニ業界:限界見えたFC商法 止まらない加盟店の反乱」と
いう記事をご紹介。
(因みにこの雑誌は、記事の質はともかく、長らくコンビニのFCオーナーに
よる本部への訴訟ネタなどに強みを持っております。)
最大のポイントは、
最近、FC加盟店の一部オーナーが弁当などファストフードの賞味期限が来た
売れ残りを「1円廃棄」という手法で処理をしていて、本部が大慌てしている
ということ。
「1円廃棄」とは何か。同記事によりますと、
@賞味期限が来て廃棄処分にせざるを得ない弁当類を、期限切れとなる寸前に
1円に値下げする、
Aそれを加盟店オーナー自信が1円で購入する。
B購入した弁当類はその場で確実に廃棄する。
C通常1円に値下げすると「不当廉売」となる恐れがあるが、監督する
公正取引委員会は確実に廃棄するのであれば問題がないとのこと
(事前にちゃんと確認したらしい)。
Dこの方法はセブンイレブンの九州地区の加盟店の方が考案。
今では複数のセブンの加盟店などが実行しているとのこと。
E(極めて重要なことは、)
この作業を行うと、加盟店の経営は劇的に改善し、その分、
本部が加盟店から徴収するロイヤリティが減少するとのこと。
何故、これを行うと加盟店の経営が劇的に改善するのか?
これを理解するには、コンビニ本部へのロイヤリティ計算方法をまず
確認しなくてはなりません。
(例)売価100円、原価70円のおにぎりを10個仕入れ。
7個売れたが売れ残り3個廃棄。
これを元に、売上総利益(以下、「粗利」=あらり=)を計算してみましょう。
まず、一般的な会計処理(廃棄損を売上原価に含める)で見ると
粗利はゼロになります。
7個×100円−10個×70円=0円・・・(a)
ところが、コンビニ本部向けのロイヤリティを計算するときの粗利は
実はこうなります。
(7個×100円)―{(10個×70円)−(3個×70円)}
=210円・・・(b)
粗利へのチャージ率を50%としますと、ロイヤリティ105円を本部に
支払わなくてはなりません。これによりコンビニ本部は105円の利益が
計上されます。
加盟店にも105円が「利益」として残りますが、廃棄された3個のおにぎりの
原価(210円)が、別途加盟店の営業費用として計上されるため、
加盟店の損益は▲105円となる。
つまり、廃棄ロスの金額(210円)の50%をロイヤリティとして加盟店が本部に
支払っている、っていう構図です。その分、加盟店の経営が圧迫されるのです。
では次に、「1円廃棄」をした場合は、どうなるか。
同じケースで見てみましょう。
(7個×100円)+(3個×1円)−(10個×70円)}=3・・・・(c)
売価1円ではあるけれども売上が立つことによって、売上原価に3個分の原価
210円を上乗せすることができます。
結果として、粗利は3円とほぼ上記(a)と同じ結果になりまして、
加盟店の負担はグッと楽になる。
釈迦に説法ですが、こうした廃棄ロスは原価性を有しますので、
売上原価または販売費で処理されるのですが、コンビニ本部側ではこれを
加盟店の販売費としているんですね。
違法ではないと思いますが、一部加盟店によるこうした“反乱”を見ますと、
FC契約時などでこの点の説明が十分ではなかったかもしれませんね。
この「1円廃棄」の動き。今はごく一部の動きに留まっておりますし、
ファミリーマートではこれを行った加盟店を契約解除にしたこと等もあって、
すぐにどうこうなる話だとは思いません。
しかし、現在、コンビニの売上状況は天候要因や他店との競合等もあって
芳しくありませんので火種は燻っていると思われます。
引き続き、要注目ですね。この問題は。
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