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2008年6月13日...21:30
天下り年金官僚が人を裁く国
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今日13日、NHKの番組に対する政治圧力疑惑事件（NHK番組改編問題）の最高裁判決がありました。
これは2001年にNHKが放送したドキュメンタリー「ETV2001 問われる戦時性暴力」で、元従軍慰安婦のインタビューなどが政治家の圧力によって削除されたとされる事件です。
今回の判決では編集の自由を認め、期待権を認めないという部分が前面に出され、この裁判の核心である「政治圧力はあったのか」については触れられませんでした。判決に付いては、報道をご覧下さい。各誌社説：朝日（魚拓）、産経（魚拓）、毎日（魚拓）、読売（魚拓）、東京（魚拓）
この事件については、魚住氏の本（「国家とメディア」または「官僚とメディア」）を読むと、安倍晋三氏と中川昭一氏による巧妙な政治圧力があった可能性が高いことが分かります。番組もその回だけ尺が４０分間しかなく不自然です。
この事件を見ていると、西山事件との共通点があります。それは、国家権力を告発したメディア側にそれぞれ弱みがあり、そこをつかれて他のメディアからバッシングされ、国民も同調し、最終的に国家権力が勝利するというパターンです。
西山事件の場合は西山記者と情報提供者の女性関係、本件の場合は、NHK上層部への取材内容の録音「松尾テープ」が朝日にはあったにも関わらずそれを明言できないまま態度があやふやになり、他のメディアからバッシングを受けるはめになりました。（この３ヶ月前に朝日の社員が別の事件の取材テープを第三者に渡して退社処分になった報道で、朝日が萎縮していたためと魚住は推測している）。このテープはその後、魚住にリークされたようです。
西山事件は2002年と2007年に、機密指定解除された米国の公文書によって密約の証拠が見つかったにも関わらず、現与党は国会でも「アメリカの文書は証拠にならない」などと言って知らぬ存ぜぬで通しています。インド洋給油活動のイラク転用問題の時と同じ反応です。
さてこの判決を出した最高裁判事ですが、横尾和子という人です。裁判所の紹介ページによると、２年ほどの在職期間で退職金ももらって次々と天下りする、いわゆる「渡り」のようです。
「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」（現・独立行政法人医薬品医療機器総合機構）、ここも天下り特殊法人で理事長はもちろん厚労省の天下りポストです。彼女が権力寄りの判決を出すのも当然でしょう。田中森一の上告も棄却しています。
こんな人が司法試験も受けず、民間で揉まれた経験も無しにエスカレータ式に最高裁判事になれた理由は、指命権が内閣にあるからです。推測ですが、実質的には省庁が斡旋した人間を与党はそのまま指名してたのでしょう。
海外ではどうなってるんでしょうか。またWikipediaで恐縮ですが、こんな感じです
日本最高裁判所 - 長官は内閣の指名に基づき、天皇によって任命。判事は内閣が任命し、天皇がこれを認証。
アメリカ合衆国最高裁判所 - 大統領が指名し上院が承認する。
ドイツ連邦憲法裁判所 - 議会が直接選任するなどして任命する。
フランス憲法院 - 大統領・上院・下院が同数ずつ選任する。
イタリア憲法裁判所 - 大統領・議会・司法が同数ずつ選任する。
イギリス - 貴族院において、特に常任上訴貴族（Lord of Appeal in Ordinary）によって構成される。なお、2005年憲法改革法により、間もなく新最高裁が誕生する。
少し特殊なイギリスを除いて、全て議会が人選に関与しています。一方、官僚が斡旋して内閣で指命する。こんな国は日本だけのようです。これでは天下りし放題になるのは当然です。
衆議院総選挙の際に最高裁判事の国民審査がありますが、横尾の場合は2003年の総選挙で国民審査を受けており、次回の国民審査が行われる2013年より前に定年になってしまいますので罷免にはできません。最高裁判事が定年になったとき受け取る予定の退職金（現在）は年俸×６．５＝約９０００万円。これでも安くなった数字のようです。
厚生労働省の監督責任と同様、歴代の社保庁長官も、消えた年金に対する責任を負っているはずです。１３箇所あったグリーンピアのうち８カ所は、歴代社保庁長官の地元です。この人が関与したかどうかは不明ですが、年金泥棒の片棒をかついだ一人と言っても過言ではありません。
特に責任の 大きい３名（旧台帳の破棄を命じた正木馨・元社保庁長官ほか当時の課長の計３人）の参考人招致を野党は要求していますが、自民党は頑として拒否しています。この正木という人も「渡り」の天下りで有名です。
現在のNHKの根本的な問題は、予算を国会に握られていること、経営委員会がある政治家の取り巻きに乗っ取られていること、そして天下りです。
とにかくこの国はまず政権を変え、天下りシステムを壊滅させることが最優先です。でなければ、現在の官製不況と国家権力の際限のない拡大を止めることは不可能です。
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