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【VOICE、もはや自民も民主も不要!/永久寿夫】(国民は自公不要・福田不要と言っているのであり野党潰しはやめましょう)
http://www.asyura2.com/08/lunchbreak11/msg/506.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2008 年 6 月 20 日 13:25:46: 4sIKljvd9SgGs
 

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080620-01-1401.html
もはや自民も民主も不要!/永久寿夫(PHP総合研究所常務取締役)
2008年6月20日 VOICE


ダッチロール状態の日本政治

 ねじれ国会である。衆参それぞれ別の時期に選挙が行なわれるのだから、両院で多数派が異なる現象が生じるのは何もおかしくはない。いや、同時に選挙を行なっても選挙方法が異なるのだから、結果的にねじれが発生する可能性もある。実際、外国の例をわざわざ持ち出さなくとも、過去を少し振り返れば、こうした状況は9年ごとに現れている。
 
 リクルート事件、消費税導入、宇野宗佑首相の女性問題と続いたあとの1989年の参院選で、自民は半数割れとなった。宇野首相辞任後の首相指名では、衆議院が自民党の海部俊樹を指名したのに対し、参議院は社会党の土井たか子。参議院で、消費税廃止法案が可決され、89年度の補正予算が否決されるなどもした。
 
 それから9年後の1998年の参院選では、消費税率引き上げや景気の後退、失業率の上昇、減税に関する橋本龍太郎首相の一貫性のない発言などが要因で自民は敗北。責任をとって橋本首相は辞任する。
 
 その後の首相指名では、衆議院で自民党の小渕恵三が指名されるも参議院は民主党の菅直人を指名。金融再生法案では参議院で野党が修正案を提示し、与党はそれを丸呑みするという事態が生じている。防衛庁調達実施本部の背任事件で、額賀福志郎防衛庁長官が問責決議を通され辞任した。与党に打撃を与えたという点では、今回のねじれと同様である。
 
 ただし、今回のねじれが前回の2つのケースと決定的に異なるのが、自民・民主の大連立、あるいは大幅な政界再編がないかぎり、ねじれは解消しない点である。
 
 1989年のときには、自公民が政党間協議で同調するというかたちで与党は参議院で過半数を回復した。98年のときには、自民は自由・公明と連立を図り、ねじれを解消した。つまり、自民は参議院の少数派と手を組むことによって、危機から脱出したのである。だが今回は、自公与党は参議院で最大多数となった民主党と大連立を組むか、さもなければ民主の一部を離党させて吸収しないかぎり、参議院で過半数を得ることはできない。
 
 昨年11月にわいた大連立構想が誰の思惑で進められたのか、真相はよくわからないが、ねじれ現象を解消しようという力学が働いたのは確かだ。その大連立構想の主人公で、「民主には政権担当能力がない」と自らの政党を酷評した小沢代表の辞任表明を拒否し、留任を求めた民主党幹部には、小沢代表が「配下」を引き連れて自民に合流するのではないかという危惧があったのではないか。
 
 いずれにしても、今回のねじれは規模が大きいだけに、その分、政局を大きく変化させうるだけのエネルギーが政治の舞台裏で溜まっている。
 
 大連立が成立しなかった背景には、衆院選に向けて選挙区ごとの候補者のバッティングをどう解決するかという「ミクロ」な問題もあっただろうが、むしろ1998年の結党以来、政権交代を悲願としてきた民主に、千載一遇のチャンスを逃してはならないという判断があったはずである。参院選の勢いがあるうちに衆議院を解散総選挙に持ち込み、自公を政権の座から引きずり下ろす、与党と徹底的に対立し、ダメージを与える、そのためには手段は選ばない、という戦術が開始されるのである。
 
 その端的な例が、日銀総裁人事とガソリンの暫定税率ではないか。
 
 日銀は財務省にとって最高の「天下り」先で、事務次官経験者が何人も総裁のポストを占めてきたのは確かではある。だが、これによって日銀の独立性が損なわれてきたかどうかは一概に結論づけできない。もちろん、有害な天下りは無用だし、経歴が考え方を左右もするが、現職の独立性を保つために経歴を制限するという論理は強引すぎる。事実、民主内部ではそのやり方に批判的だった人間はかなりいる。何度も拒否を続ける民主をやりすぎとみた有権者は多いし、政府与党も、それを予想して拒否されるような人材ばかりを提案してきたのではないか。
 
 暫定税率のほうは、ガソリンは高いより安いほうがありがたいのは当然だが、ガソリンが安くなって喜びながらも、2兆6000億円もの財源がなくなってほんとうに大丈夫なのか、と多くの「普通の人」が心配した。政治がやるべきことは、暫定税率がなくなったら財政が立ち行かなくなるのか、それを実証的に議論するところにあったはず。あとになって道路特定財源の一般財源化の議論がさかんになったが、そうした議論をそっちのけで税金を上げ下げするだけに終始した一時期は、ポピュリズム中毒ともいうべき症状であった。 
 政府与党による一方的な国会運営が行なわれなくなり、日銀総裁人事や暫定税率など、これまで問題視されなかったイシューが国民の前で論議されるという事態が生じたことは、ねじれ国会がもたらした1つの効果として評価すべきではあるが、実際行なわれたのは政策本位の議論というよりも政局バトル。反対のための反対や人気取りといった空虚な争い。有権者にはそれがミエミエであった。
 
 一方の政府与党といえば、虻蜂取らずの停滞状態を続けている。
 
 先の参院選に向けて不祥事が次々と露呈して弱っていた安倍政権に対し、大局的には小泉・安倍の改革路線と同じ方向を走ってきた民主は、突然、方向転換したかのように「子ども手当」や「戸別所得補償制度」など「大きな政府」政策をマニフェストの前面に掲げ、小泉・安倍路線に「付いていけない」と感じた有権者をさらい取った。
 
 この民主の勝利を見た福田政権は、これまでの方向を突き進めば民意は離れると判断したのか、「ダウンズ均衡」をめざして改革にブレーキをかける。その表れが、小泉時代からの継続事項であった独立行政法人改革や公務員制度改革に対する福田政権の冷たい態度である。
 
 根回し御免の渡辺喜美行革担当大臣の手法に対する批判もあるが、彼が示した改革プランを閣僚たちはほとんど無視。それをそのままにしている福田首相は思考停止か、「改革派」と「守旧派」の均衡点にはまって身動きがとれないか。暫定税率を復活させ、10年間の道路特定財源法案を通しながら、閣議で一般財源化を約束したのも同じこと。福田政権は結果的に何もしていないとの印象が強い。
 
 結局、民主のポピュリズム中毒と政府与党の自家撞着で政治はダッチロール現象を引き起こし、到達したところが政治全体への不信ではないか。福田内閣の支持率はすでに10%台に突入、対する民主の支持率はたしかに伸びてはいるが、風が吹くというほどのものでもない。


活発化する超党派の動き

 こうした膠着状態を打開しようという動きがないわけではない。与野党超党派の議員連盟や勉強会が新しく発足したり、活動を再開したり、その動きを活発化させているのである。
 
 3月に発足した「せんたく議連」には、自民、民主、公明、国民新党など100名を超える議員が参加しており、分科会がいくつも設置されている。ねじれで法案審議が停滞しがちななかで、与野党横串の連携で風通しをよくし、政策の実現を図るというのが狙いのようである。
 
 個別イシューごとに円滑な政策の実現を目的とした超党派のグループもある。たとえば「医療現場の危機打開と再建を目指す議連」「京都議定書目標達成議連」「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」「多重債務問題対策議連」「量刑制度を考える会」「地方政府IT推進議連」などがこの2月ごろから次々と設立され、活動を展開している。
 
 政治的な信条によるグループなどもできている。自民党の中川昭一元政調会長が会長を務める「真・保守政策研究会」は自民党内の研究会だが、無所属から平沼赳夫元経済産業相が参加していたり、また民主の保守系議員とも近い関係にある。こうした保守勢力から一線を画すリベラル派の勉強会として自民党の加藤紘一元幹事長を中心として「ラーの会」が設立され、ここには民主、公明、社民、国民新党などからの参加もある。
 
 さらにいえば、自民党内には与謝野馨前官房長官、園田博之政調会長代理という、いわゆる「財政タカ派」による勉強会や、小泉―竹中路線を継承する中川秀直元幹事長が中心の「上げ潮派」による研究会もできている。民主にも同様に、その立場や政策論でさまざまな勉強会ができている。
 
 こうした動きは、たしかに与野党の対話の模索ともいえるが、政界再編への備えとみることもできる。ただ、有権者として困るのは、このようなグループがいくつもできると、いったいどの政党がどのような立場でどのような政策を進めようとしているのか分からなくなり、混乱してしまうということだ。
 
 もっとも、こんなことはいまに始まったわけでもない。自民党はもともと社会主義勢力に対抗するために保守政治家が合同してできた政党だが、全国の多様な支持母体に実質的な利益をもたらそうとするプラグマティックな共同体として成長してきた。自民党がキャッチオールパーティと呼ばれるゆえんである。
 
 民主党は、1996年の総選挙から導入された小選挙区において、自民という巨人に対抗すべく小勢力が結集してできた政党といってよい。そのDNAは、55年体制の自民党、民社党、社会党までじつに多様だ。民主党の右左のウィングは自民党より広いといわれるゆえんである。
 
 そもそも小選挙区導入の狙いは、A党候補者かB党候補者かそのどちらか1人を選ぶことになれば、それぞれの政党は政策によってその違いを示さねばならず、投票行動はそのまま政策選び、政権選びになるということである。利益誘導から政策中心の政治、政権交代が起こりやすい政治への転換を図ろうとしたのである。
 
 実際、2003年の総選挙あたりから、各党はマニフェストを有権者に示すようになった。マニフェストとは、その政党のビジョンや、それを達成するための諸政策と具体的な数値目標や方法、実施期限などを示す「政策パッケージ」であり、有権者と候補者の委任関係を明確にする「契約」である。
 
 こうした「契約」を選挙前に提示することは、選挙制度改革の狙いどおりであり、選挙を重ねるたびに、その内容は洗練されつつあるのは確かだ。しかしながら、その中身を読み込んでいくと、同じ政党内のさまざまな思惑がモザイクのようにちりばめられており、まだまだ体系性の希薄な政策リストから脱してはいない。この状態を、党の性格がそうなのだから仕方ない、それにマニフェストをそんなに真剣に読む人はいない、といって放っておいていいものではない。


商品に合わせて政党を再編せよ

 いま有権者は政治に何を求めているのか。もちろん、個別的には、職業、住んでいる地域、性別、世代など、それぞれの置かれている状況で異なるだろう。
 
 だが共通するのは、国際的にはグローバル化が進展し、国内的には少子高齢化というデモグラフィーの変化が財政に構造的な変化をもたらしつつあるなかで、日本が将来的にいかにサバイバルしていくのか、そのために国のあり方をどのようにしていくのかという5年・10年先のビジョンと、その実現に向けた戦略的かつ、整合性のある具体策の提示ではないか。しかも、耳触りのいい話だけでなく、正味の話をしてくれということである。
 
 国力はさまざまな側面で落ちてきているように見える。自分たちの生活がどうなるかも不安である。これにどう対応していけばよいのか、どのような覚悟が必要なのか、それを見通せるようにしてほしいということである。
 
 総選挙はいつになるのか。自民の支持率が上がれば、なにも解散総選挙をする必要はない。逆に下がったら、議席は確実に減るので解散総選挙のモチベーションは下がる。民主の支持率が上がろうが下がろうが同じこと。論理的に考えれば、支持率回復のために総理が代わっても、来年の任期満了まで総選挙はない。
 
 そのあいだにお願いしたいのが、自民、民主ともに、いまのばらばらになっている状況を整理し、自らの旗印を鮮明にしてほしいということである。すなわち繰り返していうが、国内外の現状認識をしっかり行ない、5年・10年のビジョンを掲げ、それに向けた戦略的かつ、整合性のある具体策をメリット・デメリットも含めて提示してほしいということだ。
 
 そうでなければ有権者は困るのである。自民の旗印がわからない。民主の旗印がわからない。いったいどちらを選んだらいいのか。どっちを選んでも同じではないのか。仮に選んだとしても、何の説明もなく中身が変わってしまうのではないのか。そんな状況で選挙をしても意味がない。
 
 さもなければ、それぞれの政治信条や政策を軸として、政界を再編してほしいということだ。くくり方が容易でないのは理解できる。外交・安保で一致しても、社会保障では一致しない。その逆もある。さらに政策分野を増やせば、もはやグループ分けは無理かもしれない。松下政経塾出身者ですらまとまれないのである。
 
 冷戦も右肩上がりも終わった。多様な価値観が存在し、政策も複数の問題に同時に解を出さねばならない複雑な連立方程式となった。政党が政治信条や政策でまとまるのは、事実上不可能かもしれないし、有権者も政策のパッケージではなく、アラカルトで選びたい。だが、選挙でそうした選び方はできない。既存の政党政治はもはや限界に直面している。
 
 これを解決するには、国が膨大な政策分野を抱え込む現在の中央集権体制を道州制などによって変える必要がある。つまり、地方が決定する守備範囲を拡大することで国政のディメンションの数を減らすという制度的イノベーションを待たねばならないが、それにしても、現在の政党の状況はあまりにもいびつである。
 
 自民と民主の「保守派」、あるいはそれぞれの「リベラル派」は政治信条的にも政策的にも非常に近いものがあるように見える。縦で割るより、横で割ったほうがすっきりするではないか。また外交・安保についていえば、違いはあっても55年体制時代よりは幅は狭い。とすれば、社会保障や行財政など国内問題へのアプローチの違いで分ければよいではないか。
 
 自民のある政治家は「新党なんて、信条や政策なんかでまとまるものではない。しがらみや馬が合うとか合わないとか、いろんな要素で集まるのであって、簡単に割り切れるものではない」という。また、民主のある政治家は「やっとここまできたのに、政権奪取が目前にみえるのに、新党結成なんてありえない」という。たしかにそれはそうかもしれない。だが、いずれも政党のカスタマーである有権者を無視した話ではないか。いや、国の将来を考えていないということではないか。
 
 有権者にとって、政治家同士のしがらみなど知ったことではないし、民主が政権奪取に王手をかけていることなどどうでもよい。重要なのは、どの政党が何を売ろうとしているのかである。各党がはっきりとした商品のラインアップができないなら、商品に合わせて政党を再編してくれということである。商品が分からなければ買えないではないか。
 
 郵政造反組で無所属となった平沼赳夫元経済産業相が「新党侍」を選挙前に立ち上げるとか、高知一区から出馬表明している橋本大二郎前高知県知事があえてドン・キホーテになって新党を結成するとか、いろいろな話がある。彼らにどの程度の求心力があるかは分からない。行き場のない「浪人」だけが集まるか、サンチョ・パンサがついてくるだけになってしまうかもしれない。だが、こうした動きが、ねじれ国会で蓄積された政界再編のエネルギーの起爆剤にならぬともかぎらない。それに期待したいものである。

 

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