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http://mainichi.jp/select/opinion/maki/news/20080603dde012070017000c.html
牧太郎の大きな声では言えないが…:ウソと知りつつ…
朝のラッシュ時、首都高速の渋滞が少なくなった。都心までマイカーで通勤する知人は、今まで1時間近くかかっていたが「35分で会社に着く」と大喜びだった。ところが、その彼が「6月から、僕もクルマをヤメた」。
そういえば都心の駐車場に「空」が出始めた。あれもこれもガソリン代値上げの仕業である。
1バレル=200ドルにでもなり、原油代の半分が製品などの産出価格に転嫁されれば(1ドル=100円で試算)、家計の負担増は年間7万4756円。産業界もすべて価格転嫁できないから最終的には14兆円程度のコスト高になる。企業も家計も……経済はアリ地獄だ。
それでなくとも、日本は倒産時代に突入した。倒産件数(負債額1000万円以上)は月に1000件を超える。失業率は再び4%に達した。
原因が3K。建築基準法、貸金業法、金融商品取引法の改悪?である。
例えば建築基準法。違法建築がまかり通ったのは、国交官僚が天下った建築確認検査機関が機能しなかったため。それで姉歯事件が起こったが、その原因は放置され、現場を全く無視して法律だけが厳しくなった。その結果、住宅着工件数は昨年度19%も下落した。
例えば貸金業法。金融庁は誇らしげに「法改正で多重債務者が8カ月の間に40万人も減った」と発表したが、これは“まやかし”。そんなに早く返済できるハズがない。実際には「40万人が消費者金融から借りられなかった」ということ。彼らはヤミ金融に走るか、犯罪に走るか、自己破産か、自殺するか。事態は悪化している。
そこに追い打ちを掛ける原油高、うば捨て医療……今度の不況は深刻だ。
公務員制度改革法案が通って、渡辺喜美行革担当相は感極まって涙を流した。それはご自由だが、海千山千の渡辺さんが涙を流すのを見て大笑いした。まさか骨抜きの法案可決がそんなにうれしいの?
政治家の「ウソと涙」は慣れっこだ。ガソリン税は道路を造るための目的税。だから受益者が負担する。道路を造らないなら廃止しなければならない。なのに、与野党そろってガソリン税の一般財源化? 大ウソだ。
だまされないぞ! 一般財源化でガソリン税はハゲタカの餌食。言うならば「税金ドロボウの一般化」だ!
当方、政治家の「ウソと涙」にだまされるほどウブじゃない。ただ、ウソと知りつつ泣いているだけさ。(専門編集委員)
毎日新聞 2008年6月3日 東京夕刊