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http://www.news.janjan.jp/living/0804/0804245634/1.php
取材はたった1日だった!「植草一秀氏名誉回復訴訟」証人尋問
ひらのゆきこ2008/04/25
講談社に対する裁判の口頭弁論が、21日、東京地裁でありました。講談社に対する訴えは、04年4月30日号の「フライデー」に載った「過去に7、8回、同様の行為で厳重注意を受けている」などとする記述で、この日は記事を書いたK記者に対する証人尋問が行われました。
目次
P1.刑事裁判は東京高裁で控訴棄却
P2.取材期間は1日だった
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刑事裁判は東京高裁で控訴棄却
東京都迷惑防止条例違反で逮捕された経済学者の植草一秀さんは、一貫して無実を訴え続けています。植草さんは、4月16日、東京高裁で控訴棄却判決(一審は4月の実刑判決)が出た後も直ちに上告し、審理の場を最高裁に移し、身の潔白を晴らすための闘いを続けることを明言しています。
植草さんはこの刑事裁判のほかに、事実無根の記事を書かれて名誉を傷つけられたとして、記事を載せた出版社等に対する損害賠償を求める民事訴訟も行っています。訴えられたのは、小学館、徳間書店、毎日新聞社、講談社、朝日放送の5社です。
このうち、小学館(「痴漢で過去7回の示談」の記事を載せた「女性セブン」の出版社)とは和解が成立し、小学館が謝罪広告掲載と慰謝料100万円を植草さんに支払うことになりました。原告側の主張がほぼ全面的に認められた、実質、植草さんの勝利といえる内容でした。
東京地裁で講談社に対する口頭弁論
現在、ほかの4社についての裁判が東京地裁で係属しています。その中の1つである講談社に対する裁判の口頭弁論が、21日、東京地裁でありました。講談社に対する訴えは、04年4月30日号の「フライデー」に載った「過去に7、8回、同様の行為で厳重注意を受けている」などとする記述で、この日は記事を書いたK記者に対する証人尋問が行われました。
前回、石井忠雄裁判長からの要請があったこともあって、主尋問・反対尋問ともに、この裁判の争点となっている「過去7、8回、同様の行為で厳重注意を受けている」という記述について、その情報がどのようにもたらされたのか、また、それが事実であるかどうか、記者から証言を引き出す内容となりました。時間の配分はそれぞれ20分。6名からなる原告弁護団の反対尋問では、弁護団の厳しい追及に対し、証人はときに返答に窮し、黙り込む場面もありました。
被告代理人による主尋問
最初に、被告代理人による主尋問がありました。主尋問では、主として、問題となっている記述の情報がどのようにしてもたらされたのか、また、その情報を信じた理由についてK記者から証言を引き出すことに力点がおかれました。
K記者が「過去に7、8回の同様の行為で厳重注意を受けている」ということを最初に聞いたのは、K記者が懇意にしている警視庁担当の新聞記者からだったそうです。そのような事実が実際にあったのか否かを確かめるため、旧知の警察関係者に電話をかけ、「(起訴には至っていないが、同様の行為を)8回ぐらいやったのか」と聞くと、「まあ、そうだ」という回答を得たと証言しました。
なぜその警察関係者はそのように答えたのか、と聞くと、「細かいことはわからないが、警察内で犯罪歴にアクセスできたことを教えてくれた」と答えました。また、「アクセスした人は別の人で、その人から直接聞いたのではなく、旧知の警察関係者から聞いた」と答えました。(情報が)間違っている場合もあるのに、それを信じた理由はなにかと問われると、「これまでもいろんな情報をもらったが、みんな正しかったから」と答えました。
また、「取材班の中で複数(2名)の記者もそれぞれつながりのある警察関係者から同様の情報を得ていた」と述べ、自分だけの情報ではないことを強調しました。刑事裁判で控訴棄却の判決が出たことについての感想を求められると、K記者は「その時点では逮捕は1回だったが、正しかった。正当性があった。間違いなかった(と思った)」と答えました。
原告弁護団による反対尋問
次に、原告弁護団による反対尋問がありました。弁護団は、「同様の行為」とあるが、具体的にどのような行為か確認したのか、とか、警察によるリークだとは考えなかったのか、とか、逮捕された時点で有罪と決め付け、予断をもって記事を書いたのではないか、といったことなどについて、K記者を厳しく問い質しました。
この問題の核心ともいうべき、情報の出所についての質問では、過去の犯罪歴にアクセスできる人と直接話をしたのか、という弁護団の質問に対し、K記者は、「していない」と答えました。旧知の警察関係者からその人に聞いてもらったということだが、裏づけをとったか、という質問に対しては、「とっていない」と答え、なぜ取らなかったのか、と聞くと、「(旧知の警察関係者を)信頼していたから」と答えました。
信頼する根拠を問われると、「これまでもらった情報が正しかったから」と答え、情報の裏づけはとっていないことを明らかにしました。リークという言葉を知っているか、という質問に対しては、「情報のリークか」と問い返し、弁護団が、そうですと答えると、K記者は「うーん」と返答に窮しました。
さらに、弁護団が、警察によるリークとは考えなかったか、と質問が核心部分に入っていくと、「この事件に関してはリークをする理由がない」と決め付けるように否定し、警察によるリークであるとはまったく考えていなかったことを明らかにしまた。
弁護団は、「僕はパパを殺すことに決めた」という本の情報漏えい問題で、講談社がHPに、これまで悪質なリークが繰返され、苦しんだと書いていることに言及しながら、悪質なリークに苦しんだと言いながら、なぜ今回はそのことに思いが至らなかったのか、と問い質すと、「(自分だけでなく)ほかにも複数の取材班が言っていたから」と答えました。
原告本人に取材をしたか、と聞くと、「本人に取材をしたかったが、できなかった」と答えました。弁護人には問い合わせをしたのか、と聞くと、「この時点ではしていない」と答えました。問い合わせてみることもしなかったのか、と聞くと、K記者はまた「うーん」と返答に窮しました。本人や弁護人の話を聞かず、これだけのことを書かれるのはあまりに不公平ではないか、と言うと、「本人に当たろうとしたができなかった。その代わり、高校や大学の同級生から話を聞いた」と答えました。
松本サリン事件(警察のリークによって被害者の河野義行さんがメディアによる重大な報道被害を蒙った)でメディアが教訓としなければならないことをあなたは知っているか、と弁護団が厳しい口調で聞くと、「事件のときまだ学生だったのでわからない」と答えました。講談社に入って何年目か、と聞くと「12年目です」と答えたので、弁護団はさらに語気を強めながら質問を続けました。
弁護団 リーク情報の危険を教え諭す
1994年に起きた松本サリン事件でメディアは痛苦に満ちた反省がある。記者になって12年なら答えられるはず。河野さんはいまでも毎日苦しんでいる。メディアとして重大な反省をしなければならない。その反省とはなにか。1行で答えられるはずだ。
弁護団の質問に対し、K記者が「正しい報道をしなければならないこと」と答えると、弁護団は強い口調で「違う」と言い、「メディアが反省したのは、このようなリーク情報に惑わされてはいけないということだ」と断じました。石井裁判長が、質問の形をとってください、と弁護団に注意を与えました。
弁護団が教え諭すように、いいですか。松本サリン事件のときも、記者たちは信頼している警察関係者からの情報を正しいと思い、記事にしたのです。過去の教訓が生かされていない、と言うと、質問の主旨が伝わらなかったのか、K記者は、「信頼していた。それに、複数の取材班が独自の取材をした結果、同様の結果が得られた」と同じ答弁を繰り返しました。
(旧知の警察関係者が)過去の犯罪歴にアクセスができる人に確かめてもらったということだが、そのデータを保存しているファイル名はなんというのか、と質問すると、K記者は記憶を辿るような仕草をしながら、「見てもらったのは、犯罪歴照会証明書という名前だったような気がする」と答えました。