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http://www.news.janjan.jp/government/0805/0805016161/1.php
ガソリン税の暫定税率が復活 小泉政権以来、筋の通らぬ自民対応
さとうしゅういち2008/05/03
租税特別措置法改正案の衆議院での再可決により5月1日からガソリン税率が再び1L当たり25円引き上げられました。この暫定税率復活は、一度「暫定」から「正常」に戻った後の措置であり、明らかに増税です。これほどの規模の政治決断に際しては解散して国民の信を問うか、あるいは衆院山口2区補選の結果を国民の総意の反映と見て、野党案を丸飲みすべきです。
4月30日、衆議院は租税特別措置法改正案を、与党の3分の2以上の多数で再可決しました。それを受けて5月1日から、ガソリン税率が再び1L当たり25円引き上げられました。このガソリン税の暫定税率復活ですが、自民党の対応には強い疑問を感じます。
写真は編集部撮影のイメージ
■無駄遣い:なくなる裏づけが見えてこない
第1に、福田首相は、道路特定財源を今後10年間維持する道路整備費財源特例法改正案を5月13日の衆院本会議で再議決する方針を固めています。一方で、2009年度から道路特定財源を一般化することを閣議決定しています。法案と閣議決定、私たち国民はどちらをいったい信用すればよいのでしょうか?
道路特定財源の一般化は、小泉首相も安倍首相も何度もぶち上げてきましたが、結局、ほとんど実現しませんでした。せいぜい、2003年度から旧本州四国連絡橋公団(瀬戸大橋など)が出した大赤字の処理に自動車重量税が充当されたくらいですが、これとて、ほとんど特定財源と趣旨は変わりません。
そして現在の福田内閣は、支持率低下で「KO負け寸前」です。もしまた、自民党内での政権の「たらいまわし」になった場合、一般化が実行される保障はありません。
■暫定はあくまで暫定、増税には信を問うべし
第2に、34年続こうが「暫定税率」はあくまで暫定です。暫定税率が失効した2008年4月の1ヶ月間の状態こそ「正常」な状態なのです。その「正常」な状態から新たに、年間にして2.6兆円、国民にご負担いただくのですから、これは明白な「増税」です。
また福田首相は「道路特定財源を一般化する」と言いますが、一般化するならするで、使途が変わることになります。これほどの規模の政治決断にあたっては、やはり解散総選挙を行って信を問うべきです。
■環境:庶民にばかり責任を負わせるのは疑問
第3に、町村官房長官ら政府幹部は、ガソリン税を下げると環境によくない、とおっしゃいます。しかし庶民はガソリン税が下がったからといって、それだけで車を乗り回すほど単純ではありません。
広島県北部に住む知人男性(59)は、「ガソリンが下がろうが上がろうが、必要な分しかみんな乗らないよ。車しか交通手段がないのだし、一方で、遊びまわるほどの金は地方の庶民は持っていないよ」と語りました。
日本のCO2排出量は確かに大きく増えていますが、これは規制緩和による石炭火力の増加に由来するものが多く、産業界の責任が大きいのです。庶民に負担をかける前に、大手企業に責任を果たしていただくのが筋ではないでしょうか?
参照:
・「急げ温暖化対策」頑迷・孤立の日本経済界に警鐘
私は欧州のように「ガソリン価格は日本の何倍もする。環境税もある。しかし、福祉や環境対策は充実」という方向が有力な将来像だと思いますが、現時点では、まず、大手企業の責任強化が必要だと考えます。
■ガソリン税増税より地方交付税の増額が先では?
第4に、ガソリン税を増税しないと地方の財源に穴が開く、と政府幹部は口をそろえて民主党を批判しておられますし、知事会などもそれに追従しています。
しかし、ガソリン税などの減収は年間2.6兆円なのに対して、小泉純一郎内閣は、年間5.1兆円も地方交付税をカットしているのです。5.1兆円もカットした自民党政府が、いま民主党を批判する資格はないと思います。
また、地方自治体の首長も、ガソリン税増税を要求する前に、地方交付税増額を要求するのが筋でしょう。(広島県では職員の9割以上が参加している)自治労は、暫定税率廃止と地方が自由に使えるお金を増やすことを求めています。労使ともに、地方交付税増額で闘えばよいと思います。
参照:
・道路特定財源の対応についての自治労見解(全日本自治団体労働組合)
そもそも、小泉さんは地方交付税を減らす一方で、外貨準備を5年半の間に、5000億ドル以上増やしました。こうしたゆがんだお金の使い方を改めるのが先でしょう。
参照:
・外貨準備等の状況(財務省)
たとえば、外貨準備を蓄えている外国為替特別会計の取り崩しにより、ガソリン税減税分を、一般財源の形で穴埋めすればよいのではないでしょうか?
■解散か、さもなくば野党案丸呑みか
もちろん民主党に対しても、財源の穴埋め対策をはっきり示していないという批判はあります。それに対しては「庶民の暮らしを暖めることにより、景気回復を行い、税収増加、財政再建を図る」というメッセージを示すことが求められていると感じます。
民主党はすでに、国民新党と共同で「緊急経済・生活対策」を示していますが、さらにわかりやすく説明する必要があるでしょう。
参照:
・日本経済の問題解決へ「緊急経済・生活対策」を国民新党と共同発表(民主党)
しかし、最終責任は現時点で政権を預かる与党にあります。
「山口2区の選挙結果は、すべての民意ではない」……補選開票直後のTVインタビューで伊吹文明・自民党幹事長はこう言っています。
しかし、そう言うのであれば、それこそ堂々と衆議院を解散して、民意を問えばよいのです。それができないと言うのなら、現時点でより広く国民の声を反映していると思われる野党の主張を丸呑みすればよいのではないでしょうか?
◇ ◇ ◇