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山口2区補選 民意を重く受け止めるべきだ
有権者の審判は予想された通り厳しかった。福田政権下で初の国政選挙となった衆院山口2区補選だ。
自民党新人と民主党前職の一騎打ちは、今後の政局を占う意味で全国の注目を集めた。与党は福田康夫首相も応援に駆け付ける総力戦を展開したが、及ばなかった。
山口2区はもともと保守地盤で自民党が有利だった。それだけに自民党は今回の敗戦を重く受け止める必要がある。四百八十議席のうちの一にすぎないという過小評価は許されまい。
主要な争点は、何といっても揮発油税の暫定税率問題や後期高齢者医療制度(長寿医療制度)だった。
暫定税率については、与党は選挙結果にかかわらず、三十日に衆院で税率復活を再議決する方針だ。ガソリン代が再び値上げされることに、有権者は拒否反応を示したといえる。
投票日に共同通信社が実施した出口調査でも、税率復活への反対意見が65%を占めた。与党は再議決について、慎重にならざるを得まい。強行すれば、国民の一層の反発は必至だ。
今月から始まった後期高齢者医療制度への不満、怒りも大きかった。山口2区は山間部や島が多く、高齢化率も高い。補選が告示された十五日には、年金からの保険料天引きがスタートした。保険料の誤徴収などのトラブルも重なり、与党への強い逆風となったのは確実だ。
出口調査でも、もともと保守支持の傾向が強い七十歳以上の高齢者層を自民党候補が固めきれず、民主党候補に流れていたことが明らかになった。
新医療制度をめぐっては、自民党内に見直しを求める議員連盟が結成されたほか、同党山崎派も政策提言で是正の必要性を訴えている。「説明が不十分だっただけ」という党幹部の主張は通らない。早急に何らかの手直しが求められよう。
それだけに、与党は従来にも増して慎重な国会運営が必要になる。
今回の敗戦で福田政権が受けたダメージは計り知れない。もともと内閣支持率は30%を割り込む「危険水域」だった。求心力がさらに低下するのは確実で、今後の政局次第では、早期の解散・総選挙や内閣改造も考えざるを得ない局面が出てこよう。政権運営はまさに綱渡り状態になる。
一方、民主党にとっては次期衆院選に弾みをつける勝利となった。参院に首相問責決議案を提出する構えだが、実際に提出されれば、当面懸念されるのが国会の空転だ。
民主党に対しては、優位に立つ参院で税制改正法案などの重要案件の審議を先送りしてきたことへの批判もある。暫定税率の復活阻止や新医療制度の廃止を訴えているが、財源の裏打ちがある具体的な代案を示しているわけではない。
補選勝利で民主党の責任は一層重くなった。それを十分に自覚し、与党との建設的な政策論争をしてもらいたい。これ以上の政治の停滞は許されない。