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道路暫定税率―再可決に説得力はあるか
道路特定財源を巡る与野党の攻防が山場を迎える。政府与党はガソリン税などの暫定税率を復活させるため、政府提出の法案を30日に衆院の3分の2で再可決する方針を決めた。
福田首相は「このままでは財源に穴があく」「09年度からは一般財源化し、医療や子育て支援などにも財源を回す」と理解を訴えている。
だが、これで納得する人がはたしてどれだけいるだろうか。
暫定税率はすでに失効し、1カ月足らずとはいえガソリンは値下がりしている。法的には、再可決は税率の「維持」ではなく、新たな「増税」を意味する。増税するのなら、それ相応に十分な説得力が不可欠だ。
朝日新聞社の世論調査によると、63%の人が暫定税率の再可決に反対だった。また、58%は道路特定財源の一般財源化に賛成している。
ミュージカルやマッサージチェアから職員旅行の費用まで……。国会審議などを通じて、道路財源のとんでもない流用が明らかになった。不要不急の道路計画もたくさんある。
このまま税率を復活させては、税金のムダがどこまでも続いてしまう。道路財源は廃止して、福祉や教育など、他の差し迫った費用に税収を回すべきだ。その第一歩が一般財源化なのだ。国民の多くはそう考えている。
そこで福田首相は09年度からの一般財源化を打ち出したわけだが、それが額面どおり実施されると受け止められるだろうか。道路族の巻き返しに後退していくのではなかろうか。
国民の理解を得るため首相がすべきことは明白だ。一般財源化を09年度からとせず、できる策はすべてただちに実施することに尽きる。
具体的に言おう。
ガソリンなどの税収を道路特定財源にすると定めた特例法案が、5月12日には再可決できるようになる。これは特定財源を10年間延長する内容なので09年度から一般財源化する方針とつじつまが合わない。08年度限りに手直しすることが最低限必要だ。
いや、思い切って廃案にしてしまえば、もっと説得力がでる。
次に、08年度の予算をこれから組み替えて道路への支出を大幅に減額補正し、他の予算へ回す。つまり、一般財源化を09年度に先送りせず、できる範囲でいまから実施するわけだ。
これを一般財源として自治体が自由に使うには法律などの手当てが必要だが、不可能なことではない。
こうした方針を福田首相は表明し、そのための作業にすぐ入る。そこまでしなければ、一般財源化の約束もどうせ空手形と受け取られるだろう。
いまのままでは、再可決という強引な方法で暫定税率を復活させることに、説得力があまりに乏しい。