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http://www.news.janjan.jp/government/0804/0804024070/1.php
道路特定財源の一般財源化「福田提案」へ誘導するマスコミ社説に異議あり!!
佐藤弘弥2008/04/03
福田首相は先月末、道路特定財源の一般財源化を提案した。新聞大手の朝、読、毎、日経などは社説で賛意を示し、民主党などに協議を求めている。が、「福田提案」にはカラクリ≠ェある。この提案の最大の狙いは、国会空転の最大の原因が民主党にあることを、国民に周知徹底させることなのだ。だから、野党はウカウカと乗ってはならない。五十嵐敬喜・法政大学教授は、日本政治が極めて大きな節目に遭遇している現在、野党は今年度から一般財源化を実現するよう、福田首相に迫るべきだ、という。衆院での「再可決」を誘導する如きマスコミの論調に、国民は警戒すべきだ。
目次
1ページ
・はじめに
・大手4紙の社説で読む「福田提案」
・「福田提案」にはカラクリがある?!
2ページ
・「福田提案」をどう読むか、五十嵐敬喜氏に聞く
・結語 「再可決やむなし」への世論誘導を許すな
はじめに
福田首相が3月27日の記者会見で、「道路特定財源の一般財源化などの提案」をして以降、朝日・読売・毎日・日経の大手4紙の社説は、おおむね「福田提案」を肯定的に評価し、民主党にこの提案を前向きに検討するよう求める論調で推移している。さらに、4月1日の読売や日経社説は、エイプリル・フールにかこつけてか「暫定税率再可決やむなし」にまで、エスカレートしている。以下、4紙の社説を追いながら、この論調の奥にあるものを考察してみる。
27日午後4時から行われた記者会見で、2009年度から道路特定財源を一般財源化する方針を表明した福田康夫首相(ロイター/アフロ)
大手4紙の社説で読む「福田提案」
4紙の中で一番福田首相寄りの論調は、いつものように読売だ。タイトル」は「首相修正提案 民主党も大胆に妥協せよ」(3月28日)。内容は、「民主党は、参院第1党として、政治運営に重大な責任を負っている。"拒否政党"という汚名は、早く返上したほうがよい」(同記事)として、民主党=悪人説(政局混迷の諸悪の根源!?)に立ったような書きぶりだ。
朝日のタイトルは「首相の決断―小沢代表が応える番だ」(28日)である。翌29日も朝日は、社説「民主党へ―『福田提案』を実らせよ」のタイトルで、福田提案に触れ、即座に提案を拒否する意向を表明した民主党執行部へ再考を促すように、「暫定税率の意見がぶつかるからといって、その一点で、一般財源化という大きな魚をみすみす逃がしていいはずがない。この魚は、民主党など野党が追い込んだからこそ針にかかってきた。きっちり最後まで釣り上げてもらいたい」と記した。
毎日は、「民主党 改革とは何かの原点に戻れ」(29日)で、内容が民主党を泣き落とすような論調で次のように書いた。
「一般財源化には自民党内にも異論は多い。ここで与野党で一気に合意した方が確実に実現するという発想もある。評価すべき改革は後押しをする。むしろ、その方が安心して『民主党に一度、政権を任せてみよう』と思う人は増えるのではないだろうか。私たちはそう考えている」。
日経は、タイトルに「首相提案踏まえ与野党は協議尽くせ」(28日)を掲げ、以下のように主張した。
「『福田新提案』と『小沢三原則」の間には暫定税率の扱いをめぐって、なお隔たりは大きいが、話し合いの中で接点を見いだす余地はまだあるはずである。日本経済や国民生活を混乱させないという一点で、福田首相と小沢一郎民主党代表が胸襟を開いて話し合ってもらいたい」。
以上のように、これまで「官僚お任せ内閣」と揶揄されるなど影の薄かった福田首相の提案を、4大紙は、こぞって支持している。私としては、大政翼賛的というのは言い過ぎであるが、もう少し見解に幅があってもよいのではあるまいか、と素直に思った。
「福田提案」にはカラクリがある?!
さてここからが、今日の本論である。
福田内閣と最も距離がある、とされている朝日の論調を見る。28日の社説では、「福田提案」をほぼ手放しの褒めようであったが、翌29日は、民主党の努力を認めつつ「道路のみを優先する『土建国家』であり続けるのか。それとも福祉や教育、環境など多様な分野から、開かれた議論を通じて税金の使途を決めていく。そうした『新たな国家』に転換するのか――。私たちも、この指摘には同感だ」。だがしかし、この一般財源化という大魚をここで逃すのは「もったいない」という具合に、民主党執行部に対する説得口調に変わった。
各新聞社の論説委員が、どの程度、今回の福田提案の裏話を知っているかは不明だが、今回出された「福田提案」を、もう一度吟味し、その提案の裏に政治的な駆け引きや戦略がどのように仕組まれているかも、分析してもらいたいものだ。
「福田提案」は、4つの柱で構成されている。第1は公益法人の見直しと天下りを排除し、道路建設にも競争原理を導入すること。第2に道路特定財源の一般財源化。第3に道路特定財源を一般財源化した後にガソリン税を検討し、地球温暖化対策と地方財政に配慮する。ただし、今年度から一般財源化するのではなく、2009年度から実施するというものだ。第4に道路整備計画を10年から5年に短縮する、などだ。
しかしこの提案は、道路特定財源を無条件に一般財源化するというものではない。暫定税率は維持し、今後見直していくというもので、これは言わばダブルスタンダードであり、私はこの辺りに怪しげな仕掛けを感じ取るのである。これに対し、民主党は小沢三原則を提示している。それは第1に2008年度からの道路特定財源の一般財源化。第2に暫定税率の今年度からの廃止で庶民減税を実現。第3に官僚の天下りの完全廃止、である。
「福田提案」は、民主党が呑めるか呑めないかの境界線を実に巧みに突いたものである。この「福田提案」の発案者は現在、誰なのか特定できないが、高度な政治感覚とカリスマ性を持った人物のお墨付きを以てなされた政治戦略である、と推測される。このシナリオの最大の目標は、小沢民主党の躊躇のせいで日本の政治が機能不全に陥っていることを国民に喧伝周知させる一点にある。と同時に、60日後(4月末)の衆議院での道路特定法案再可決を最終的に正当化することにある、と考えられる。
そうして、先に列挙した大手紙の社説を改めて考えると、「福田提案」を書いたライターの思惑通りの流れに乗ってしまっていることは明らか、となる。
さらに、今日(4月1日)の各社社説を読むと、読売と日経の社説は「『暫定』期限切れ 『再可決』をためらうな」(読売)、「再可決して一般財源化の公約を果たせ」(日経)と、早くも「再可決やむなし」の論調に進化している。これは言わばシナリオがフェーズ1からフェーズ2に移行したことを意味する。特に、読売の社説は、「福田首相は、税制法案の再可決が不可欠であることを、国民に繰り返し説明してもらいたい。民主党は、与党が法案を再可決した場合、首相に対する問責決議案を参院に提出し、政権を追いつめる構えだ。しかし、問責決議案は、憲法や国会法をはじめ法的な根拠はどこにもない」と、極めて露骨である。「大連立」の仕掛け人と同じく読売のトップが、またも今回の福田提案の発案者かもしれないと疑いたくなるような内容だ……。
(次ページ「「福田提案」をどう読むか五十嵐敬喜氏に聞く」に続く)
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