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福田山口補選200億円ニンジン作戦…露骨な利益誘導
自民党候補への応援演説が不評だった福田康夫首相。民主党陣営は「また来てほしい」とほくそえんだ=20日午前、山口県岩国市
今後の政局を左右する衆院山口2区補選(27日投開票)は、自民・民主両党が大激戦を展開している。民主党は道路、年金、後期高齢者医療制度の3本柱で先行するが、自民党は大票田・岩国市の新市長と候補者の“200億円コンビ”で地域活性化をアピールし、猛追する。20日は福田康夫首相が選挙区入りしたが、医療制度について開き直り、場を凍りつかせる一幕もあった。福田政権は200億円ニンジン作戦で、「天下分け目」の戦いを制することができるのか。
「お年寄りも少しくらい負担してくれたっていいじゃないの、という制度だ」
20日午後、山口県下松市の街頭演説で福田首相から、医療制度に対して飛び出した一言に聴衆は耳を疑った。さらに、首相は新しい保険料がわかりにくいなどの批判に「迷惑かけたかもしれんけれども」と居直ったことで、聴衆からはため息が漏れた。
この日、福田首相は岩国、光、下松の各市で演説。それぞれ5000人、2000人、3500人(自民陣営集計)の前でガソリン税問題で民主批判も繰り広げたが、拍手はまばらだった。
自民党の山口県連関係者も「選挙に不利なので、道路も医療制度も地元では極力触れないようにしてきたのだが…。物価上昇『しょうがない』発言もそうだが、首相は庶民の気持ちが分からない。すずめの涙の年金から保険料を天引きされるお年寄りもいるのに『少しくらい』とはなんだ。選挙にマイナスだ。来ていただかないほうがよかった」とうなだれた。
福田政権にとって初の国政選挙となった補選は、自民新人で国土交通省OBの山本繁太郎氏(59)=公明党推薦=と民主前職の平岡秀夫氏(54)=社民党推薦=との一騎打ち。29日以降に想定されるガソリン税を復活させる租税特別措置法改正案の衆院での再議決をにらみ、今後の政局への影響は確実だ。
民主陣営が道路、医療、年金の3点セットで攻めれば、自民陣営は「地域活性化」策として、地元が熱望する岩国飛行場の軍民共用化を訴えている。
管轄する国交省OBの山本氏が立候補したことで、急に動き出したものだ。約170億円とされる総工費は国からの補助金や交付金をあてにしている。この手法は、衆院議員を辞職して2月の岩国市長に当選した福田良彦市長が取った手法と同じ。福田市長は約35億円の新市庁舎事業の凍結を解除した。
福田首相も演説で、「福田市長と山本さんの2人で一生懸命やっています。来年にも民間空港が実現するかもしれません。中小企業も助かるんじゃないか」と“200億円タッグ”誕生の効用を強調した。
露骨なニンジン作戦も効果が出始めたのか、岩国市の大動脈・国道2号を走っていると、山本氏のポスターを張り、自民党ののぼりを立てた建築会社が目立つ。ある経営者は「ガソリン代が安いのはうれしいが、それ以前に仕事がなくてメシが食えない。地元がどんどんさびれているなか、民間空港は夢のある話だ」と話す。
一方、平岡氏の応援に入った民主党参院議員は「計200億円のニンジンで有権者をつっている。完全な利益誘導で、汚すぎる。ただ、有権者もこの旧態依然のやり方には嫌気がさしているはず」と批判する。
今回の補選は今後の政局を占うだけに、両党とも総力戦で臨んでいる。
自民党が勝てば、政府・与党はガソリン税などの暫定税率を復活させる租税特別措置法案を「民意を得た」とばかりに再議決に踏み切れる。選挙に強いことが求心力となっている民主党の小沢一郎代表に打撃を与え、同党を揺さぶれる。
民主党が勝てば、再議決への世論の批判は爆発し、内閣支持率はさらに低下、内閣総辞職か衆院解散に向けて福田内閣がさらに苦境に追い込まれる。
そこで、自民陣営は「国民の関心事はガソリン税だが、不利なので道路を争点化せず、不人気の福田首相をなるべく隠して地元の実利を訴えている。古い自民党の戦い方そのもの」(地元事情通)と、200億円のニンジン作戦を取っているわけだ。
選挙区を歩いていても、福田首相と山本氏のツーショット写真が載ったポスターは見あたらない。当初、山本陣営は首相の選挙区入りに「百害あって一利なしだ」と難色を示し、党本部側も「首相が入って負けたら傷がつく」と及び腰だったが、接戦が伝えられたため、“賭け”に出た。
序盤は、衆院を3期務めた知名度と、道路特定財源のムダ遣いなどから、平岡氏が国交省OBの山本氏に対して世論調査で10ポイント以上引き離していた。だが、ここへきて10−21ポイント差で平岡氏リードとする調査結果もある一方、「1ポイント差もしくは小差で山本氏が逆転した」との結果も出ており、結果は予断を許さない。
民主陣営は23日、小沢氏、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長のトロイカがそろい踏みし、差を広げたい考えだ。
対する自民陣営は200億円作戦で「福田逆境」を跳ね返せるのか。
ZAKZAK 2008/04/21