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福田首相、KY応援…山口2区補選、タブー連発に陣営困惑
4月21日8時1分配信 スポーツ報知
支持率低下にあえぐ福田康夫首相(71)が20日、衆院山口2区補選(27日投開票)の応援に駆け付けた。観衆の前で福田首相は「(後期高齢者)医療制度が」「ガソリン税が」などと、地元陣営がタブーとしてきた話題に次々と言及。場の空気を凍らせた。地元からのオファーなしに官邸主導で山口に乗り込んだ首相。選挙はまだ1週間あるが、地元関係者は「来ない方がよかった」と落胆していた。
その瞬間、時が止まった。
下松市で医療問題について話していた福田首相が「お年寄りの医療はお金がかかる。若い人が支えてくれています。だけど(お年寄りも)少しくらい負担してくれてもいいじゃないの」と各地で混乱を招いている後期高齢者医療制度に触れると、それまで拍手していた観衆の動きも笑顔もピタリと止まり、完全に空気が凍った。隣にいた候補者の山本繁太郎氏の顔も硬直していた。
そんな状況も知らず、福田首相は、暫定税率の期限切れで下がったガソリン税についても「いつまで下げてるんですか?」と聴衆に問いかけたが、返答はなくシーンと静まりかえったまま。「税金の不足分はどこでまかなうんですか? (野党は)答えがないんです」とぼやく始末。KY(空気の読めない)スピーチに横で、山本氏がフリーズしたままだった。
各世論調査でも「ガソリン税再値上げ」「後期高齢者医療」に批判が高まり、内閣支持率低下の要因にもなっている。そんな空気を読んだ自民党陣営では「今回の選挙では『ガソリン税』と『後期高齢者医療』はタブー」との戦術を徹底。候補者の山本氏の口からは一度もその言葉は出なかった。
首相はこの日、岩国市、光市、下松市の3か所で応援演説。同行した公明党の太田昭宏代表(62)が「公明党の支援者の皆さんが来てくれた」と“動員”をにおわせたように、それぞれ5000人、2000人、3500人(陣営発表)が集まった。最初の2回は無難に演説していた首相だが、聴衆の多さに気をよくしたのか、最後にKY発言が出てしまった。
もともと、首相が山口入りする予定はなかった。政府関係者によると「人気がないから呼ばれない」と報じられて焦った官邸が「世論調査で自民が追い上げていることを知って総理投入を敢行した」という。
山本陣営も首相の発言について「意向が分からない。地元では争点にしてないのに…」と困惑気味。「今回もオファーしてないが、今後もないと思う」とぶ然。「これでは失敗。来ない方がよかった」との声も出た。
民主党関係者によると、同党の調査では山本氏がわずかに逆転したという。だがこの日、時を止めた首相が、自民党に向いていた風をも止めてしまったのかもしれない。
◆民主は菅&蓮舫氏 首相と“ニアミス”
民主党の菅直人代表代行(61)と蓮舫参院議員(40)もこの日、下松市などを訪れ福田首相と“ニアミス”した。
首相が演説して約1時間後に到着した菅氏と蓮舫氏。「税金は皆さんのために使われたんですか? 子供が10万円の小遣いを無駄遣いしてて、それを知ってもまだ10万円与えるようなバカなオヤジがどこにいる」。観衆は100人程度だったが、菅氏が例え話を交えてガソリン税の値下げの必要を説くと、蓮舫氏が横で笑顔を振りまいていた。
最終更新:4月21日8時1分