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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080420-00000940-san-pol
暫定税率復活の思惑?道路事業「凍結」の自治体相次ぐ
4月20日20時36分配信 産経新聞
道路特定財源の暫定税率失効に伴い、予算確保の見通しが立たないとして、多くの地方自治体が道路事業予算の一部を凍結した。ただ、本来税率分の税収は確保され、今月末に関連法案が再議決されれば、歳入への影響は暫定税率分の税収の7%程度で済む。このため、一部で「本当に事業執行を凍結する必要があるのか」と疑問の声も出ている。事業凍結という機敏な対応の背景には、非常事態をアピールすることで早期に暫定税率を復活させたい思惑が見え隠れする。
今月1日時点の総務省の集計によると、全都道府県の4分の3に相当する36道府県が道路予算の執行を一部凍結している。「当面は特段の対策は講じない」と答えたのはわずか4県だ。凍結に踏み切った理由について、多くの自治体は「財源の裏付けがないのだから、最悪の状況を考えた」と説明する。
国土交通省の試算によると、暫定税率が1年間失効すれば、国・地方合わせて2兆6000億円の「穴」が空く計算になる。しかし、道路財源すべてがなくなったわけではなく、暫定税率以外の本来の税率による税収が国・地方合わせて年間2兆8000億円ある。歳入の穴は4月末に関連法案が再議決されれば、1800億円程度で済むほか、道路整備特別会計には9092億円(平成18年度末)の剰余金もある。
これに対し、国交省では「本来の税率分の税収があっても、それらを(国が進める道路などの建設事業費の一部を負担する)直轄事業負担金などで負った債務の返済に充てざるを得ない。暫定税率がなければ、新規事業に着手できない自治体が多い」と解説する。
ただ、政府は「地方の財政運営に支障が出ないように措置する」(増田寛也総務相)と表明している。これを受け、秋田県は「事業は予定通り行い、減収分が明らかになれば起債などで手当てする」とし、事業を凍結しなくても十分対応できると判断している。
やはり道路事業を凍結していない岩手県の達増拓也知事は、相次ぐ事業凍結について「『すぐにも是正されなければならない』と強調するため、凍結という言葉を強く出す向きもあるのではないか」と推測する。「事業を凍結したということは必要な道路ではないということではないか」との声もある。
道路予算の獲得は単にインフラ整備だけでなく、地元の建設業者を通じて地方の経済を潤す。暫定税率が失効すれば、地方経済の死活問題につながる。このため、事業凍結の動きは暫定税率による潤沢な道路財源を確保したい国土交通省の思惑と一致しており、それが自治体側の迅速な対応につながったともいえる。
民主党の藤井裕久税調会長は「県と市町村による地方間の連携や、他の事業との優先度を考えたやり繰りで、凍結は避けられるはずだ」と凍結に踏み切った自治体を批判する。
福田康夫首相が道路特定財源の一般財源化を表明したことで道路予算にメスが入る。赤字財政が続く中で、無駄な道路建設を排除するのが狙いだが、「道路」でつながった国交省と地方の“もたれ合い”が続く限り、抜本的な見直しが進められるかは不透明だ。