★阿修羅♪ > 昼休み10 > 489.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200804170052.html
PT案で全面対決の様相 市町村長、橋下知事に猛反発
2008年04月17日
大阪府の1100億円の歳出削減案の発表を受けて、府内43市町村の首長たちが17日午前、府庁に集まり、橋下徹知事との意見交換会に臨んだ。年度途中に府の補助金を削減されかねない首長から「まずは阿修羅(あ・しゅ・ら)のごとく庁内で血を流せ」「ルール違反だ」などと厳しい批判が浴びせられると、橋下知事は涙を流して協力を求めた。「歴史上、類のない大改革」(橋下知事)は市町村との全面対決の様相となった。
財政再建案について発言する向井通彦・泉南市長。手前は橋下徹・大阪府知事=17日午前、大阪府庁、高橋正徳撮影
阪口善雄・吹田市長(手前)の発言を聞く橋下徹・大阪府知事=17日午前、大阪府庁、荒元忠彦撮影
市町村長からの意見を受けた橋下徹・大阪府知事は、発言の途中で言葉に詰まり、着席後に涙をぬぐった=17日午前、大阪府庁、荒元忠彦撮影
◇
意見交換会には代理出席の堺市と高槻市を除いて41の首長が顔をそろえた。当初、08年度予算で予定されていた市町村への支出金3357億円(貸付金含む)を、府の改革プロジェクトチーム(PT)が79億円削減する方針を示したことへの反論が相次いだ。
口火を切ったのは大阪市の平松邦夫市長。PTが高齢者や乳幼児らを対象にした医療費助成制度の自己負担増を打ち出したことで、患者によっては「年4千円から1万2千円の負担増になる」との試算を明示。「負担を引き上げるなら、具体的にどれくらいになるのか示したうえでお願いすべきだ」
吹田市の阪口善雄市長は「まずは阿修羅のごとく、庁内で血を流す改革がなければ府民に痛みを押しつけられない」と反発。35人学級廃止方針について「府が先行して積み上げてきたのを急にやめますというのでは信頼関係は崩れる」と詰め寄った。
首長らはマイクを次々に手渡しながら発言。守口市の西口勇市長は「すでに当初予算を施行している。今更協力をと言われても協力のしようがない。行政のルール違反だ」と批判した。府OBでもある枚方市の竹内脩市長は同席した府幹部に「身を挺(てい)して諫言(かん・げん)するのが皆さんの責任だ」。河南町の武田勝玄町長は「政治経験が長い私たちの声もしっかりふまえてほしい」と38歳の橋下知事をたしなめた。
「白紙に戻せ」「血も涙もない」などと1時間余りにわたって批判にさらされた橋下知事。「財政に余裕がなければいい政治はできない。住民に我慢をお願いするのも政治家の使命」と協力を要請。次第にボルテージを上げて「地方公務員の人件費は高すぎる。人が多すぎる」と叫ぶと言葉に詰まり、最後は涙を流し、声を上ずらせながら「一緒になって考え、今いちどご協力のほど、よろしくお願いします」と頭を下げた。
だが、これには首長から「あれはないやろー」と会合後にブーイングも。守口市の西口市長は「あそこで泣かれたら我々市長は悪者。芝居じみている」。平松市長は「昨日の水都大阪2009構想の反対表明に続いてびっくりした。感情の高まりを覚えたのかな」と苦笑いした。府市長会長の倉田薫・池田市長は「泣きたいのはこっちだ。泣いてしまったら話が続けられない」とあきれ顔だった。
◇
市町村がPT案に猛反発するのは、府の支出金に依存した財政運営をしているためだ。特に財政規模の小さな自治体ほど影響が大きい。
岬町は約63億円の歳入(06年度決算)のうち、7億6千万円、12・1%を府支出金に頼る。依存度は43市町村で最も高い。最大の理由は大規模公共事業だ。関空2期埋め立て事業に土砂を提供する見返りに、採取跡地を多目的公園に整備する事業を06年度から始めた。毎年4億円前後の府委託金を事業費に充ててきたが、PT案では今年度から2割削減。町予算の2割が借金返済に消える財政状況で、「当初計画は守ってほしい」と財政担当者は訴える。
一方、府が市町村に費用分担を要請しながら、府支出分だけを削減する事業もある。
05年に寝屋川市で起きた教職員殺傷事件後、太田房江・前知事が市町村と2分の1ずつの費用負担で始めた警備員配置事業。PTは小学校1校あたり80万円の府補助金を今年度1割カット、11年度に廃止の方向を示した。
01年に児童殺傷事件が起きた池田市は11校分、年880万円を府の補助金に頼る。市は歳入のほとんどを人件費や借金返済に費やしており、負担増の余裕はない。
府財政課は「府の改革に合わせて市町村も事業を見直せば、歳出を減らせる」と説明するが、市町村は「府がやめるから、そうですかと引き揚げられるか」(倉田薫・池田市長)と反論している。(春日芳晃、稲垣大志郎)
PR情報