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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080416-OYT1T00787.htm
高齢者医療制度 混乱の原因は“お役所仕事”だ(4月17日付・読売社説)
今月から始まった「後期高齢者医療制度」が混乱している。
75歳以上の1300万人が対象となる大きな制度変更なのに、国も自治体も、十分な準備や説明を怠っていたことは明らかだ。
全国の約80自治体で保険料の徴収ミスがあった。新しい保険証がいまだに届かない、という人が4万5000人もいる。
年金からの保険料天引きについても、これまでの保険料に加えてさらに徴収される、と誤解している人が少なくない。
介護保険料はすでに年金から天引きされている。同様に、保険料を窓口で払う必要がなくなったということなのに、基本的な点さえ十分に周知されていない。
昨年夏の参院選後に政府・与党が急遽(きゅうきょ)、保険料の減免策を打ち出したことも、複雑な制度をさらに複雑なものにした。
にもかかわらず、理解を求める姿勢を欠いたため、「後期高齢者という呼称からして不愉快だ」との感情論につながった。
厚生労働省はあわてて「通称・長寿医療制度」などと言い換えたが、呼称が悪かったことが問題の本質ではない。
混乱の原因は厚労省や自治体の“お役所仕事”にある。高齢者が憤るのは当然だ。
だが、新制度の是非は区別して考える必要があろう。
今後、高齢化の進行によって、医療費は大きく膨らむ。
高齢者の大半は市町村ごとの国民健康保険に加入していたことから、高齢者比率の高い自治体の国保は危機的状況にあった。保険料も市町村の財政事情によって、大きな格差が生じていた。
新制度は都道府県ごとに一本化して、財政負担を共有する。前より保険料が上がる人もいれば、下がる人もいるが、同じ県内なら保険料の格差はなくなる。
また、所得の多い高齢者には、応分の負担をしてもらう仕組みも盛り込まれた。自治体により例外はあるものの、全体として、所得の低い高齢者の保険料はこれまでより下がる。
新制度がめざす方向は超高齢時代に沿ったものだ。しかし、説明不足のままでは、高齢者が混乱するのは当然だろう。
年金からの天引きに拒否反応が強いのは、年金制度自体がしっかりしていないことや、年金の少ないお年寄りが多いためでもある。今回の混乱によって、年金改革が急務であることもまた、浮き彫りとなった。
(2008年4月17日02時02分 読売新聞)