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【日刊スポーツ、植草一秀は無実なのか】(阿曽山大噴火なる人物は、弁護側証人の証言を捻じ曲げていませんか?)
http://www.asyura2.com/08/lunchbreak10/msg/480.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2008 年 4 月 17 日 11:22:13: 4sIKljvd9SgGs
 

http://www.nikkansports.com/general/asozan/2007/asozan097.html
植草一秀は無実なのか
 先日『100万ドルのホームランボール 捕った!盗られた!訴えた!』っていう映画を観てきたんですよ。01年にバリー・ボンズ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が打ったシーズン73号ホームランの記念ボールに関するドキュメンタリーなんだけど、これがすこぶる面白い! そのボールの所有権を巡って訴訟になったのはニュースになっていたけど、まとめて映像で見るとバカバカしいこと、この上ない。これが訴訟大国アメリカの一面なんでしょう。“訴訟大国”ってのは、司法が成熟しているという褒め言葉ではなくて、どんなことでも民事裁判で決着をつけなきゃいけない幼稚な国民性を揶揄(やゆ)した言葉なんだと実感できます。


ジャイアンツのバリー・ボンズ選手(撮影・加藤哉)

 なんで話題にならないのかなぁと思ってたら、まだ東京でしか上映してないんですね。順次全国ロードショーらしいので、野球と裁判に興味ない人もぜひ。

 今回は7月4日に行われた植草一秀被告人の第9回公判の話。罪名は「公衆に著しくをかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」。いつもは新聞、ニュースから事件の内容を引用しているんだけど、今回は初公判のときの起訴状と冒頭陳述から事件の内容を簡単に。

 06年9月13日。被告人は品川駅で京急本線に乗車(飲酒のため間違って逆方向の列車に)。22時8分から22時10分の間に女子高生に密着して、スカートの上からお尻を触り、さらにスカートをたくし上げ、パンティーの上からお尻をなでた。

 被害者である女子高生が被告人に対し「やめてください! 恥ずかしくないんですか! 子供たちの前で!」と声をあげたので、他の乗客が被告人を取り押さえ、京急蒲田駅で被告人を事務室に連れて行った。被告人は当初「女性に不快感を与えることをしました」と容疑を認めていた。

 これが事件の内容です。と言うか、被告人は全面的に否認しているので、検察側の主張と言った方が正しいでしょうかね。個人的には、夜の10時過ぎに子どもたちが電車に乗っているという都会の異常性(親同伴かもしれないが)も気になるところなんだよね。

 本件はさておき、電車内の痴漢事件には決定的な証拠って少ないんです。犯行が録画されていることはないし、満員電車の中では犯行を目撃するのも困難だし。被害者の供述がメーンで進んでいくので、冤罪も多いと言われているわけ。

 しかし、本件に関しては、そんなに車内が混んでいなかったこともあって、目撃者が存在しているんです。検察官の冒頭陳述によると、その目撃者は被害者の左側にいた男性で「電車内で痴漢があった。見てたけど、面倒なことに巻き込まれたくないから。情けないよ、自分が」と、見て見ぬふりをしたことを友人にメールで送っていたとのこと。

 この目撃者は第2回公判で証人として出廷し、被告人が痴漢行為したのを見たと証言したらしい(傍聴していないので、報道によると)。

 そして、ここからが今回の第9回公判の話。弁護側から、目撃者が証人として出廷です。もちろん、前述のメールを送った男性とは別の人。弁護側からやってくるという事は、被告人の無実を証明するのかと思いきや、

 弁護人 「電車に乗って、植草さんがいることに気づきましたか?」
 証人 「なんか見た人だなぁと思ってました」
 弁護人 「その時、植草さんはメガネをかけていましたか?」
 証人 「スーパーマンのクラーク・ケントがかけていたデザインのメガネで、怪しいなぁと。植草さんのは、映画では黒ぶちですが、透明の何色というのか、変わった感じだなと」
 弁護人 「それは今、植草さんがかけているメガネですよね」

 そう言われると被告人のメガネがいつもと違う! と言っても、俺は4回しか傍聴していないんだけどね。今まではメガネをかけるときはフレームなしで楕円形のメガネだったような。今回は証人に当時のことを思い出させるためにも、スーパーマン型のメガネをかけてきたんでしょう。

 弁護人 「植草さんはどんな感じでした?」
 証人 「疲れたサラリーマンがつり革持って頭下げてる感じ。私がイスに座るとき、植草さんの横を通ったんで“酒くさいなぁ”と思いました。だらしない感じでした」
 弁護人 「植草さんは飲酒していたんですけど、どんな状態でした?」
 証人 「京急線は揺れが激しいので、つり革につかまっていなかったら、ひっくり返ってたと思います」

 ひっくり返りそうなくらい酔っ払ってだらしない感じ、とまで言われるとは。
 とにかく、証人は途中で“12チャンネル(テレビ東京)の経済番組でコメントしていた人だ”と気づいて、被告人を見ていたとのこと。そして、今回一番の注目すべき質問です。

 弁護人 「植草さんが他の乗客に取り押さえられた状況を教えてもらえますか?」

 目撃者である証人の口から、事件の全貌が語られるのです。と思ったら、

 証人 「最初から目を開けて見ていたわけじゃないんで。ちょっと青物横丁駅あたりからウトウトしまして…」

 え? 寝てたの? 真犯人を見たとか証言しに来たんじゃないの? 犯行を見ていない目撃者って…。で、証人は続けて、

 証人 「目を開けると大森海岸駅のあたりで、ゴツい人が植草さんをおさえて。もう1人…、その人が一番騒いでいたんですけど、ゴツい人が取り押さえたのを見て安心した感じで、野次馬のように来ました。最初、車内暴力かなと」
 弁護人 「と、言うと?」
 証人 「(ウトウトする前に見た)植草さんは上体がユラユラして不安定だったので、後ろの人の足を踏んだとか、ぶつかったとかかなと思いました」
 弁護人 「次の日、本件をニュースで知ったんですよね。どう思いました?」
 証人 「え? ウソだろと」
 弁護人 「こうして法廷で証言したのはなぜですか?」
 証人 「(車内暴力と思ったのに)ハレンチ罪だったので。ホントはその時点で警察に何かしら言うべきだったんですけど、通りすがりの通行人をやっちゃいました。見て見ぬふりしてたのが、わだかまりがあって…。すみませんでした!」

 と、ハナをすすって涙声になってました。なんて、純粋な人だろう。途中ウトウトしてたことを隠すことなく素直に述べ、捜査に協力しなかった自分を責めているんですよ。確かにすべてを見ていたわけじゃないけど、知っていることを話そうとする姿勢は評価すべきでしょ。まさに、証人のかがみだ。英語ならミラーマ…いや、この場合の「かがみ」は「鑑」か。というより、そもそもそんなことはどうでもいい。

 で、ぱっと被告人の方を見ると、植草被告人ももらい泣き。なんで? 泣くところじゃないと思うんだけど。次は検察官からの質問。


保釈直後の植草一秀被告(共同通信)

 被告人にとっては残念なことに、この証人が犯行当日、その電車に乗っていたことを証明するものがないんです。なので、弁護人とどれくらい打ち合わせをしたか、当時の記憶は確かなのか、等々質問していました。かなりしつこく訊(き)いていたことと、質問がプライベートなことにも及んでいたので、証人は怒っていたけど。そして、

 検察官 「あなたは植草さんがやったんじゃない、冤罪だと言いたいわけなんですか?」
 証人 「冤罪というのではなく、警察に1本電話を入れて話してれば、多少違う方に転がったかもしれないと。さっきも言いましたが、通りすがりの通行人をやっちゃいました。そこに責任を感じています。ただ、青物横丁駅から大森海岸駅まではウトウトしていましたので。その前までの植草さんは普通のただの酔っ払いのおじさんなのは確実です!」

 裁判としては、酔っ払いのおじさんかどうかじゃなく、痴漢の犯人かどうかの確実性を必要としてるんだけどね。最後は、裁判長からの質問。

 裁判長 「寝ていたときには何が起きていたか分からないですよね」
 証人 「そうですね」
 裁判長 「そうするとね、痴漢の事件も寝ている間に起きたかもしれないと考えるのではないですか?」
 証人 「…一瞬、思いましたけど…」
 裁判長 「ですよね。それでも植草さんが痴漢をやっていないと証言しようと思ったのはなぜですか?」
 証人 「捕まえた様子があまりにも変だったからです。普通なら言い合いになるはずなのに。植草さんが絡まれているに違いないと思ったんです」

 うーーーん、“思った”だけなんだよなぁ。
 この公判はスポーツ新聞でも事細かく伝えられていたけど、真犯人を見た! とか事件の全貌を見た証人ってわけじゃないんで、無実の立証としては弱いかもしれないですね。しかも、電車に乗ってた証拠もないし、長い尋問の疲れのせいか「車内に制服を着た女性はいなかった」と証言したり、頼りない面もあったし。

 ただ、証人の言うことがすべて本当なら、検察官の主張が1つ崩れるんです。それは、検察官は“品川駅から電車が出発して、1、2分で痴漢行為があった”と主張しているんだけど、品川駅から証人が起きていた青物横丁駅までは約3分。この間に痴漢行為はなかったはず。

 でも、青物横丁駅から証人が目を覚ます大森海岸駅までは、約3分半。この間に痴漢行為があったと考えるのが自然でしょ。その犯人が被告人かどうかはこの証人の話では分からないけど。

 よーく考えると、この証人は被告人の無実を訴えたんじゃなく、痴漢裁判の問題提起をしに来たんじゃないかなと。だって、痴漢が起きた正確な時間って誰が分かるわけ? 被害者が時計見ながら触られてたなら話は別だけど、検察官が時間を特定できるのが謎。そういう角度で見れば、証人の“被告人は出発から約3分間痴漢はしていない”という主張をもとに、“寝てる間に起きたかもしれない”と質問する裁判長は冷静だ。

 痴漢の否認事件を見てて、常に思うんだけど、なんで鉄道会社は社内に時計と防犯カメラを設置しないんだろうか。莫大な費用がかかるのはわかるけどね。でも、毎日のように痴漢事件がおきているのに、女性専用車両を用意するだけじゃ怠慢でしょ。 誤認逮捕も含めれば、女性だけでなく男性も痴漢の被害者なわけで、「痴漢が起きやすく証拠も残らない状況を用意しやがって」と、鉄道会社を訴える人が出てきてもおかしくないのに。ま、日本はそこまで“訴訟大国”じゃないんだろうけど。


阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)


 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。

 パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。

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