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http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080415-OYT8T00499.htm
長寿医療の年金天引き始まる、対象は832万人
長寿医療「高い」「分かりにくい」
今月からスタートした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で15日、保険料の年金からの天引きが初めて行われた。自治体の窓口にはこの日も問い合わせや苦情が寄せられ、制度の周知不足が改めて浮き彫りになった。天引き額は事前に通知されているが、金融機関の口座に振り込まれた年金額を確認し、険しい表情を浮かべるお年寄りもいた。
この日、年金から2か月分の保険料を天引きされたのは約832万人。新制度には約1300万人が加入しているが、年金額が少ない約300万人は天引きの対象外。システム整備が間に合わなかったことなどから、東京都新宿区など都内14区、横浜市、さいたま市など計31自治体が10月以降に先延ばしした。
新制度への移行による負担の増減について厚生労働省は「一般的に低所得者層は負担減、高所得者層は負担増になる傾向になる」と説明しているが、周知不足も相まって、自治体などには問い合わせが殺到。東京都の広域連合では、3月10日に開設した問い合わせセンターにこれまで約1万2400件の問い合わせがあった。
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「後期高齢者」とされたお年寄りは、天引きに様々な感想を漏らしている。
「もらうべきお金をもらっていないのに」。東京都内に住む女性(79)は怒りが収まらない。
以前に会社勤めをしていたのに厚生年金が支給されないとして、昨年、年金記録確認東京地方第三者委員会に救済を申し立てたが、まだ結果が出ない。月約5万円の国民年金を受給しているが、介護保険料に加えて高齢者医療の保険料も天引きされることになり、「ずさんな処理をしておいて、持っていく時は有無を言わさずだなんて」と憤る。
金沢市では15日、天引き開始に合わせて庁舎に問い合わせ用の特別窓口を置いた。窓口には業務開始前から5人が並び、電話は午前9時前から鳴り続けた。銀行で天引き額を確認してから窓口に来たという男性(87)は「天引きされていた保険料が高すぎて納得いかない」と話した。
長野市役所を訪れた男性(82)は「保険料が1000円高くなった。制度自体はいいと思うが、周知などのやり方がまずすぎる」。86歳と82歳の夫婦も「パンフレットを見ても訳が分からないので、窓口に来た」と話していた。
東京・江東区役所では、訪れた男性(76)が「保険料を引かれると月6万円くらいの年金収入になる。年寄りは早く死ねということか」と嘆いていた。
自治体担当者からは「保険料が決まるのが遅すぎた」などと国の対応への不満も漏れる。東京都足立区では昨年12月以降、約40回の説明会を開いてきた。それでも、担当課には問い合わせが殺到。今月上旬は、窓口に直接相談に訪れた高齢者だけで1日平均約100人。保険料を通知した10日以降はさらに増え、「どれが保険料か分からない」という指摘もあったという。
後期高齢者医療制度 75歳以上の全員と一定の重い障害のある65〜74歳が加入する新しい医療保険制度。対象者は国民健康保険などから移行する。保険料の全国平均は年約7万2000円で、原則、年金から天引きされる。
(2008年4月15日 読売新聞)