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日銀人事、民主不同意で、こけにされた財務省
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080408/fnc0804082037020-n1.htm
民主党が、元財務官の渡辺博史・一橋大大学院教授の日銀副総裁就任に同意しなかったことで、
日銀総裁人事で最大限の配慮をした財務省の面目は完全につぶされた。元副総裁の武藤敏郎氏、
国際協力銀行総裁の田波耕治氏という2人の事務次官経験者の総裁就任を覆された財務省にとって、
渡辺氏は日銀への影響力を保つための切り札。財務省の打撃は大きく、政府内の影響力低下は
避けられそうにない。
「見識はあるし、人格だって優れている。渡辺さんは総裁だって務まる人。民主の反対の理由が
全く理解できない」。渡辺氏が不同意になったことに財務省幹部は憤った。財務省出身者の日銀入りの
可能性はほぼ断たれ、財務省の落胆が広がっている。
そもそも渡辺氏の副総裁起用には、鳩山由紀夫幹事長をはじめ民主党幹部にも容認論が広がっていた。
それでも同意を得る確約が得られず、政府・与党執行部には渡辺氏の副総裁起用には慎重論も強かったが、
「適切な経済運営には財政と金融の連携が不可欠」(財務省首脳)との判断から、渡辺副総裁の提示に踏み切った経緯がある。
民主党が、財務省経験者を日銀首脳人事から排除するのは「財政と金融の分離」「天下りの排除」
といった理由からだ。だが、それはあくまで建前。真意は長年保ち続けてきた自民党と財務省との
蜜月関係にくさびを打ち込み、財務省の弱体化を狙ったものとの見方が強い。
予算編成権を持つ財務省は中央官庁を支配し、予算配分を武器に政治にも影響力を持ち続けてきた。
自民党も財務省を介して中央官庁や地方への影響力を保持し、持ちつ持たれつの関係を構築してきた。
福田康夫首相は日銀首脳人事で財務省との関係を重視してきたが、結局は自らの調整力不足を露呈してしまった。
「今回の一件をきっかけに、いくら優秀で能力のある人材でも『財務省出身』というだけで、活用されなくなる」。
財務省内にはこんな見方も出始めており、官邸との関係にも影響が出ることは必至だ。