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<力士暴行死>斉藤さんが悲痛メール 死の直前祖母あてに
2月8日2時31分配信 毎日新聞
前時津風親方の任意同行のニュースをじっと見つめる父正人さん=新潟市中央区で7日午後5時過ぎ、岡田英撮影
角界を揺るがした時津風部屋の序ノ口力士の急死は、愛知県警が前親方の山本順一容疑者(57)=元小結・双津竜=や兄弟子を逮捕し、暴行死事件として急展開した。けいこ中死亡した斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)の両親は時太山(ときたいざん)=しこ名=の土俵での活躍を願い、部屋の言葉を信じてきた。その裏切りと、リンチとも呼べる暴行によって子を失った痛手は深い。「相撲界のうみを出すために俊は死んだ」。遺族の悲しみと怒りは募っている。【岡田英、畠山哲郎】
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俊さんの父正人さん(51)は7日夕、新潟市中央区の親類方で「事実を知りたい」と語った。
俊さんのけいこ中の死亡は昨年6月26日で、愛知県警は事件性がないと判断し、遺体を部屋側に返した。正人さんら家族は遺体を実家に返すよう部屋側に求めて引き取った。その後の新潟大などでの解剖の結果、暴行の疑いが露見した。
あれから7カ月−−。正人さんは「やっとだな……」と語り「(傷の理由が)けいこなのか事実を知りたい。あれがけいこならだれも育たない」と憤りもにじませた。
■ ■
「あの子が天国で見ているかと思うと……」。新潟市に住む祖母の石井玲子さん(70)は前親方の逮捕を知り涙を浮かべた。「どんな思いで逝ったのかと思うと不憫(ふびん)で……。もう帰ってこないものね」
事件約1週間前の6月20日、石井さんは俊さんから携帯メールを受け取っている。
−−こっちにいたら今夜また逃げるしかない。ここにいるくらいなら死んだ方がいいから。
メールを見返すたび悔しさで胸がいっぱいになる。「こんなに切ない目にあっていたのに、気づいてやれなかった」
この日、東京・両国の部屋を飛び出して市内の実家に帰った俊さんが、正人さんと母利枝さん(42)とともに車で部屋に戻った。「1年目の力士逃亡はよくある。面倒みますので任せてください」という前親方を信用し、両親は新潟に帰った。
石井さんにメールが着いたのは両親の車が新潟県内に入ったころだ。連絡を受け両親は「あれだけいやがっているなら」と連れ戻すことに決め、部屋に引き返した。
「ぼくたちが面倒見ます」。今度は兄弟子たちを信用した。親方や兄弟子の暴行など想像すらできなかった。
両親と石井さんは昨年9月、俊さんが死亡した愛知県犬山市を訪れた。6月25日朝に俊さんが逃げたという用水路沿いの草むらも歩いた。俊さんが兄弟子に捕まったコンビニエンスストアから近くに犬山署が見えた。「こんなに警察が近いのになぜ?」。悔しさがこみ上げてきた。
逮捕直後には相次いで励ましの電話が親類から入った。
「俊は『相撲界のうみを出してきなさい』と神様から使命を授けられた。今ではそう思っています」
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最終更新:2月8日3時2分