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『「日米同盟の静かなる危機」ケント・E・カルダー著 渡辺将人訳 ウェジ社刊』を読む
原題:Pacific Alliance Us-Japan Relations in Comparative Perspective Kent E.Calder
先日、本当に酷い本の書評を書きました。今回は良書ですのでお薦めしたいとは思いますが・・・、通読した後に、もう一度読み返した後、深いため息を吐いてしまいました。
日本人である私と、あくまでも米国の国益を代表するカルダー氏とは超えられない深い溝を感じてしまったのです。カルダー氏の視点はあくまでも米国の国益で、東京裁判史観の肯定に成り立った日米関係である点は、どうしても私とは意見が相違します。また、この相違こそ日米関係に横たわる「静かなる危機」の正体かなとも思ってしまいました。
元駐日大使マイクマンスフィールド氏は、日米関係を評し「例外なく世界で最も重要な関係」と断言した。良好な日米関係の時代から、時代は移り世界はグローバル化してしまいました。日米両国の人的パイプが狭まり、希薄化していく日米関係をカルダー氏は危惧しています。本書を読むと、この意見は、背筋が凍るほど厳しい日米関係現実を認識させ、日米関係の希薄化が、日米関係の終焉を迎えることもありうることを警告しているのである。日米同盟を考察する方は是非とも読まれてみると面白いと思います。
日米同盟の重要性p21
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日米両国にとって、同盟は次のような持続的な役割を果たす。(1)日米の深刻な対立をふせぐ、(2)アジアの勢力均衡に不安定要素が現れるのをふせぐ、(3)悲劇的にも核戦争を直接経験した国が二度とその経験を繰り返さないことを保証する、(4)日米の利益に敵対するものが西太平洋地域を支配するのを防ぐ。第二次大戦が歴史のなかに薄れていき、太平洋地域の機構やネットワークが強まるにつれ、前者三点をめぐるアメリカの関心は消えていき、むしろ「中国を止めろ」という受身的な理由が顕著になっている。しかし、これら四点に見られる、昔から浸透している説明の基礎的な論理は、現在でも日米双方にとって有効である。
文化的パートナーシップは、私見では、同盟をめぐる継続的な議論を存続させている、かつてのサンフランシスコでの取引の最後の要素である。その実現のための理想主義的な努力が、過去にどれほど苛立ちのつのりやすいものだったとしても。広島とパールハーバーが長く落とす影は、間違いなくその実現を難しくしている。ジョンDロックフェラー3世とエドウィン・O・ライシャワーは、戦争と占領の影のなかで、文化的パートナーシップを強調し続けた。二人は、日米の相互理解を、地政学的な文脈でだけではなく、悲劇的にも太平洋戦争をもたらした敵対関係、人種的偏見を超越するため、両国の国民にとって知見を深めていく人間をめぐる営みとして見ていたのだ。この対話は前の世代が遺した未完の営みであり、世界平和にとって不可欠なものである。
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世界にとっての日米同盟の意義p25
@世界の二大経済大国の取り決めは、両国の軍事対立を防ぎ世界的惨禍を未然に回避させる。
A日米同盟は蓄えられた大きな経済力によりグローバルな好況財を提供することが出来る。
日米安全保障関係の構造的基盤
@日本の「非戦」憲法
A日本の空母・長距離ミサイル・爆撃機などの攻撃兵器の規制
B日本における米軍の前方展開(駐留)
C在日米軍への財政支援(思いやり予算毎年45億ドル)
ダレスが基本戦略を練り、ライシャワー、ジョンDロックフェラー3世、マンスフィールドらが、日本側の元日銀総裁・一万田尚登・元駐米大使・牛場信彦・国際文化会館創設者・松本重治・京大教授・高坂正政堯などとともに築いた太いパイプを持った方々が次々他界され、何時しか静かなる危機を迎えていたのである。
2007年安倍首相が誕生すると、最初の訪問国を中国に選んだ。すると従軍慰安婦問題が発生した。
Ddog:カルダー氏は安倍元首相に対して大変厳しい。政治が右傾化していると、元駐日米国大使館員のカルダー氏の意識はGHQと大差がない。
Ddog:この従軍慰安婦問題の火をつけた日系三世議員マイク・ホンダ議員の選挙区の人口構成の変化を見れば、ホンダ議員の暴挙を納得してしまいます。
ホンダ議員の選挙区は、シリコンバレーがあるサンノゼであるが、ここは元々日系人農業労働者が住み着いた場所でであった。80年代中盤頃から中国系住民が激増し、今では日系人は中国人の七分の一、韓国系移民とほぼ同数までの人口比となってしまっている。
Ddog:ホンダ議員解り易すぎる!
これがサンノゼに限らず、米国社会における日系人の人口比の減少、中国韓国系の激増現象が、先の従軍慰安婦問題となって表れたのである。
首都ワシントンではブルッキングズ研究所はじめ、他の研究機関からも常任の日本研究専門家が消えつつある。日本経済研究所が閉鎖され、首都ワシントンの大学で日本語、日本関連の講座、日本語を学ぶ学生が確実に目減りしてきている。
Ddog:ハドソン研究所の日高義樹氏が活躍しているし、マンガ・アニメ・コスプレブームで日本語を習うアメリカ人は確実に増えていると思ったが・・・ジャパンハンドラーズのエリート層の逓減は憂慮すべきことです。
日米関係の静かなる危機課題
@グローバル化が、日米関係を押し流し両国間の関係の調整が困難となっている。
A中国の成長が、日米関係に錯誤した力を与える恐れが有る
B日本は右傾化し政治勢力が分散し、米国は政治が多様化しポピュリズムを強めている、両国ともに政治的緊張し、両国を結ぶエリート政治ネットワークが朽ちつつある。
C技術的変容により、日米の防衛協力の運用を巡る必要性が高まってきている。
D日米関係の制度が、過去の占領期のままで、制度疲労を起こしている。
ライシャワー博士が日米関係を評する言葉を残している。
「日米関係はお互いに向き合ってはいるが、世界で一番広い大洋を隔ててである。」
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実にタイムリーなのだが2月16日日経新聞ゼミナールは、モデルスキーの覇権循環論だった。
今後の日米関係を考察する場合、米国の覇権の行方は重要なファクターである。
ジョージ・モデルスキーの覇権循環論(長波理論)は、イギリスの歴史学者、アーノルド・J・トインビー、米歴史社会学者イマニュエル・ウォーラーステインに影響された。ご存知『ポール・ケネディ著「大国の興亡」(1988年)』もこの学説に基づいたベストセラーである。大国の興亡では、アメリカの次の大国の候補に日本もその候補として挙げられていたのだが・・・隔世の感がある。
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景気循環と恐慌30
覇権の循環と軍事力 海軍・空軍力の集中度で測定
国際政治の主役となる大国の覇権が、長波二つ分の100〜120年の周期で交代するというアイデアを最も明快に、理論とデータの双方で提示したのは、米国の政治学者、モデルスキーであった。
彼によると、近代が15世紀に始まって以降、世界政治には約一世紀を周期とする五つの超長期サイクルがあったという。一つの大国がまず25〜30年間にわたる世界的な戦争によって覇権を確立した後、自らのリーダーシッブで世界規模での経済発展をもたらす。だが、やがて覇権を支える能力が衰えて競争者が出現し、国際秩序の崩壊が生じて、次の新たなサイクルヘと移行するというのだ。
モデルスキーによると、過去500年の問に、ポルトガル(1494〜1580年)、オラン
ダ(1580〜1688年)第一次英国(1688〜1792年)、第二次英国(1792〜1914年)、米国(1914〜2030年?〕が、覇権国としての機能を発揮しつつ、交代してきた。これらの大国は、主たる敵対国であるスペイン、フランス、ドイツ、日本、旧ソ連などの挑戦をいずれも退けてリーダーシップを担ってきた。
ただ、ウォーラーステインはポルトガルを除外し、スペインを入れるなど、意見が分かれる。
モデルスキーは海・空軍力の集中度という年次データを分析に用いた(図)。これにより、上述の五大国がいずれも世界の中で圧倒的な軍事力を持ち続けていたことが分かるだろう。
米国が覇権国となってから、コンドラチェフ長波二個分の年数が経過しつつある。米国の力が弱まる今日、次なる世界大国は一体どこになるのだろうか。
モデルスキーは核兵器の分散配備後のサイクルは、これまでのような一時代一国ではなく、諸国家による連合や同盟といった、共同覇権の形をとるのではないかと推論している。い.ずれにせよ、経済の長期波動は、国際政治を考える上でも欠かせないテーマである。
(三菱UFJ証券景気循環研究所)
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モデルスキー循環によれば、もう直ぐアメリカの覇権の予定終了時刻が迫っているというのだ、また、米自動車会社の経営再建案が暗礁に乗り上げているとの報に米国株式には不安が台頭している。そして日本経済撃沈の報が入ってきた。
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2009/02/16, 08:51, 日経速報ニュース
内閣府が16日発表した2008年10―12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比3.3%減、年率換算で12.7%減となった。3四半期連続のマイナス成長で、減少率は第1次石油危機時だった1974年1―3月期の年率13.1%減に続く約35年ぶりの大きさ。金融危機をきっかけにした世界不況の影響で輸出が過去最大の落ち込みとなり、個人消費、設備投資も大きく減った。日本経済は外需を中心に総崩れの状態で、深刻な景気後退に入った。
3四半期連続のマイナス成長は、IT(情報技術)バブルの崩壊で景気が後退した01年4―6月期から10―12月期にかけて以来。10―12月期の実績は日経グループのQUICKが「コンセンサス・マクロ(経済予測)」で民間調査機関30社に聞いた直前の予測の平均値(前期比年率11.8%減)を下回った。
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奇しくも、世界1位2位の経済大国である日米両国にとって陰鬱なニュースが紙面を飾りましたが、東京市場では悪材料に麻痺しているのか、マーケットは大きく下振れせずに済み幸いだった。日米経済の凋落、これは「静かな危機」ではなく、「明らかな危機」と言えます。
「日米同盟の静かなる危機」へ話を戻します。
p159
1945年4月戦後計画委員会を引き継いだ国務・陸海軍三省調整委員会(SWNCC)の極東小委員会は、日本の軍需産業は消滅させるが、民需の重化学工業を崩壊させない方針を打ち出した。
戦後アメリカの最大の敵はソ連と捉えて、日本の経済復興こそアメリカの国益であるという地政学的判断が早くも打ち出されていた。
Ddog:何ということだ、特攻隊が沖縄の海で散っている最中、戦後処理の先の先まで米国は見据えていたのである。行き当たりばったりの日本帝国陸海軍と政府は、開戦当初から、終戦の落としどころか、戦後プランすら無かったであろう。
p161
経済復興を優先させていたアメリカは、日本に対する貿易、金融のアクセスを求めなかった。アメリカが設計した世界システム従って安全保障で忠義を示す事により、日本はアメリカに対する一方的な経済アクセスを返礼としてうけとった。
P290
ところが、ニクソン・ショック以降、事態は変化しグローバリゼーシヨンが、日本にあらかじめ保証されていた取り分を脅かすようになったのである。
グローバリゼーシヨンがあまりに深まったことにより、アメリカにとっても、かつてのサンフランシスコの取引は意味を失いつつある。日本の継続的な資本流出や弱い円とも関係して、1980年代のバブル経済の崩壊後から長期化している日本経済の停滞は、日本の莫大な海外開発援助を1999年から三分の一も縮小させ、防衛費の削減にまでつながった。
p297
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自民党の一党体制の終焉にともない、政治の対立が激しくなるなか、メディアも一般大衆も同盟について関心を寄せるようになっている。防衛問題はこれまで難解でデリケートな問題とされてきたが、インターネット上で情報がかつてなく飛び交うようになった。
しかし、日本の新しい世代は、ますます勝手気ままで、他人に関心のない世代でもあり、「同盟の白己資本」に関心を寄せない。戦後初期のアメリカの善意を知りもしなければ、日本の経済力や、それに見合った責任について考えをめぐらすこともない。こうした層は、同盟を臨床的に判断しがちだ。広くグローバルな意味に目を向けずに、狭いプラグマティックなアプローチに依拠して、同盟から得られる実質的なメリットを計算するのである。
他方アメリカでも、二〇〇七年初頭、かつて第二次世界大戦に関与した年数をイラク戦争が上わ回るという事態に陥るなか、グローバルな関与をめぐる議論は喧しい。日本同様に日米同盟の利用価値を問う声もでている。もちろん、日米同盟に限らずあらゆる同盟についてである。国益と国家関係が多層化している冷戦後の世界では、日本人と同じように、アメリカ人も特定の国際関係の抽象的な価値についてますます懐疑的だし、メリット次第で個別に価値を判断しようとしがちである。
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Ddog:ネット投稿は、このブログを開設前2001〜02年頃から主に阿修羅掲示板2chエンジョイコリア等に投稿していまが、主に阿修羅掲示板でDdogを名乗って投稿しております。その阿修羅掲示板などの投稿者の思考を観察すると、左翼的な思想の投稿者、反米保守思想の投稿者、陰謀論世界観の投稿者に共通することだが、反米的であることが正義であり、私のように、消極的親米保守(現状の日米関係には納得できないが、日米同盟関係は堅守すべし)の意見を、「体制側の犬」「ぽち」「ぽち犬」と揶揄するレスを度々書かれたことがありました。
Ddog:日本は、米国に対しては思いやり予算、中国に対してはODA、その他世界中に国家予算を供与し続けている印象があります。米国に阿(おもね)ったという印象は、旧海軍軍人大勲位中曽根康弘氏の「不沈空母」発言あたりから強まりましたが、郵政背任元総理KとブッシュJr元大統領との関係は、反米主義者を勢いづかせる結果となってしまいました。
Ddog:私は日米関係については上下関係ではなく対等な水平な関係を築くべきであり、敵対することに反対した意見をネット上で発言しております。ネット上で反米的な左翼・右翼・陰謀主義者の意見(投稿)には、戦後日米関係の歴史的経緯や、グローバル社会における日米関係、日本の先進国としての責任についてまったく認識に欠けるものが多数存在しています。そういったことに憂慮することを書くと、発狂したレスを書かれることも度々です。
{{{日本の新しい世代は、ますます勝手気ままで、他人に関心のない世代でもあり、「同盟の白己資本」に関心を寄せない。戦後初期のアメリカの善意を知りもしなければ、日本の経済力や、それに見合った責任について考えをめぐらすこともない。}}}この部分がカルダー氏から、一番日本人へ向け伝えたかったメッセージなのかもしれません。
p265
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新たな同盟には強力な政治的、文化的な基盤がこれまで以上に必要である。新たな同盟は統一的な意思決定を求める。相互の技術的な理解はもとより、価値観をめぐる強いコンセンサス、国家安全保障の概念など、統一した意思決定を新たな同盟は下す。だからこそ政治の役割は大きい。
ミサイル防衛や対テロリズム対応など、先が見えないシナリオにおいて即断をするためには、政治指導者から現場レヴェルヘの委任が必要だ。そして委任には作戦の責任を具体的に誰がいつ負うのかを明確にする必要がある。これを怠れば、混乱は明らかだ。
国内的には、新たな同盟の中心的な問題は日米で食い違っている。日本、または日本人の立場にたって日米同盟の強化を願うアメリカ人にとっては、問題は太平洋間の安全保障とパートナーシップの共通意識を醸成することだ。アメリカにとっては、投資など大きな経済機会の魅力をふりまく中国よりも、地政学的な潜在性もある新たな同盟が大事だと有力なアメリカ人に思わせる、動機付けと理解を醸成することだ。
同盟の力学は、結局のところ、政治が流動的で対立を表面化させている日本側の努力次第なのである。しかし、同盟の微細な部分はアメリカ側で組み立てられる傾向にあり、善意あるアメリカ人が、これまで以上に日本の真の利益や価値観と一致するように、共通の安全保障の課題設定、あるいは同盟の自己資本作りに貢献することが重要だ。
国際的には、新たな同盟はその軍事的潜在力ゆえに、アメリカと日本に大きな対外的な影響力を与える。またそれゆえに挑戦も受けることになろう。新たな同盟は、同盟の力を引き出すことが日米双方の利益になるからしているのであり、いたずらに第三者の不安感を煽るものではない。
また、二つの太平洋間のパートナーは、国家安全保障同盟として、日米両国民にとって死活的な基盤を第三者の国に操作させてはならない。そして、日米両国の政府は、白然と永続的に、お互いに向き合うよう後押しするために、日米双方の社会のなかで必要な同盟の自己資本を育てることが大切である。
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本書で語られているのは、日米同盟の希薄化への警告であり、日米両国にとって日米同盟の重要性を改めて認識してほしいとカルダー氏は訴えています。
そんな想いが通じたのか、ヒラリー・クリントン国務長官最初の訪問国として選んだのが我が国であった。日米同盟の希薄化の象徴として、ビル・クリントン元大統領と現ヒラリー・クリントン国務長官が、1998年に中国を9日間訪問し、同盟国の日本と韓国には立ち寄らず帰国した、ジャパンパッシングを行ったことが真っ先に挙げられます。ヒラリー・クリントン国務長官も、自ら犯した「日米同盟の静かなる危機」を国益の観点から看過できなくなったのではないだろうかと思う。
また、今回の国務長官の来日で小沢代表が会談で、「対等なパートナーシップがあって初めて同盟だ」と力説したことを私Ddog)は評価したい。
小沢代表、「対等な同盟」求める クリントン米国務長官と会談
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S1703G%2017022009&g=P3&d=20090217
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民主党の小沢一郎代表は17日夜、都内のホテルでクリントン米国務長官と約30分間会談した。日米同盟強化に努力すべきだとの認識で一致したが、小沢氏は「同盟は従属であってはならない」とも語り、対等な関係構築の重要性を訴えた。在日米軍再編問題に関しては「同盟国として本当に世界戦略を話し合って合意を得たうえで、個別問題に対応することが大事だ」と述べるにとどめた。
長官は「日米同盟をさらに強固にしていくために互いに努力すべきだ」と強調。小沢氏は「私は日米同盟が何よりも大事だと最初から唱えてきた1人だ」と応じながらも「主張を交換して議論し合って得た結論を守っていく関係でないといけない。対等なパートナーシップがあって初めて同盟だ」と力説した。 (00:28)
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戦後の日米同盟は、太平洋戦争の激戦を経て、7年間の占領から生まれたものだ。占領で培われた主従関係から対等な関係へと確実に変化し始めている胎動と考えるべきではないだろうか? 金融危機により瓦解し始めた米国の覇権の終焉は、日米関係に限っていえば、対等なグローバルパートナーとなれる可能性を秘めている。
現在日米同盟が現在直面しているグローバル化が進んだ世界では、これまでアメリカあるいは日本が経験してきたものとは根本的に異質だ。不確実な世界が抱える問題は深刻になる一方であり、どうやって共にそれを乗り越えられるのか、長期的かつ真剣に考えねばならないと思います。
日米ともに、均衡のとれた経済と文化の諸面が、同盟にとって軍事面とともに必要である。過去の日米関係からの脱却は、過去の遺物の整理なくしては考えられない。米国の日本占領出先機関である自民党政治の終焉と現日本国憲法を改正することが、対等な日米関係を築く上で重要ではなかろうか?憲法を改正しないということは、日米関係を主従関係に甘んじ国際社会における責任の放棄をしているに等しい事になる。小沢民主党が政権を取っても、改憲へ向けた動きが止まらない事を切に希望したい。
p366
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日米同盟はどのように強化できるのか
政治的、軍事的、あるいは経済的な領域でも、安定した「ウィン・ウィン」の土台がなんといっても第一に日米同盟を支える国内の基盤である。歴史的には脆弱な軍事的なパートナーシップの側面は北朝鮮の脅威や中国の台頭を背景に、10年以上にわたって深まってきた。確かに、米軍再編やミサイル防衛といった積み残しの課題があるのも事実だ。しかし、太平洋同盟の軍事技術の側面は相対的に順調な状態にある。
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軍事再編協定の実施をカルダー氏は本書では重要視しているという。具体的には沖縄の普天間移転問題の前進である。普天間が片付かなければ、グアムにも移転できず、同盟の信用問題だと言う。
Ddog:米国からすれば日米関係の信頼とは日本側の負担を意味する。カルダー氏にとっての日米関係はいまだに主従関係の意識が実は抜けてないのではないだろうか?
Ddog:そこで、「トンデモ論」「机上の空論」と言われようがなんだろうと、私の驚天動地の提案がある。
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【普天間基地関空移転案!】関西地区には、伊丹、神戸空港、関空の3つの空港が有り、過剰競争の上、関空は遠く不評である。また関空の赤字は橋下大阪府知事が奮闘しようとも、リストラだけで解決できるものではない。そこで、普天間基地を関空に移転するのはどうだろうか?国が関空を買い取るか、大阪府に賃貸料を払えば、丸く収まるような気がしてならない。全く無駄な神戸空港と伊丹空港を拡充すれば、十分関西の航空旅客需要は賄えるような気がします。また、関空機能の一部を残し地方空港程度とすれば官民両用とすることも模索できるだろう。関空近辺の空き地も基地の一部とすれば、米海兵隊も納得するだろう。多少台湾中国本土から遠くはなってしまうが、イラク・アフガニスタンの距離からすれば、多少北東に遠くなったにすぎない距離だ。沖縄県民の負担が減り、大阪府民の借金が減る。ジュゴンも喜び丸く収まりそうじゃないか!
お粗末さまでした。話を「日米同盟の静かなる危機」へ戻します。
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p368
日米軍事同盟強化の2番目は、防衛産業における共同生産。
これも米国における製造業が絶滅危惧種となっている現状、米軍兵器の多くに中国製の部品が使われている現実に、米国側も、米国のソフトと日本の精密加工製造技術は防衛産業としては十分に補完できる分野であると思う。
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日米両国はこうした防衛技術の移転を調整する、武器技術共同委員会(JMTC)を創設した。このメカニズムによって、日本は1986年のレーガン政権の戦略防衛構想(SDI)計画、1987年からの次期支援戦闘機(F2)の共同開発への参加などを成し遂げてきた。1990年代、日米両政府は、ダクティッドロケットエンジン・ミサイルの標的捜索装置、潜水艦の消磁装置を共同開発することに合意した。
現在、日本のメーカーは、ほとんどがアメリカの現地工場での下請けの形でアメリカの軍事民問航空宇宙システムの、戦略的に重要な部分を幅広く製造している。たとえば、アメリカ企業が推進システム、弾薬、ソフトウェアを製造する一方で、日本の製造業者がトマホークミサイル用のセラミックパッケージや誘導カメラなどの光電子工学分野のパーツを製造している。民間セクターでは、ボーイングと三菱重工業や川崎重工業などの日本企業は、ボーイング777中距離ジェツト機のような民間プロジェクトで協力している。ここでは日本企業は飛行機胴体の75%を製造している。
しかし、日米の軍事的な共同生産は、世界最高の技術開発へ重点があまりおかれていないこともあり、NATO諸国内での協力のレヴェルには達していない。日本側は最新技術ヘアクセスすることにより即座に利益をあげたり、その技術をメーカーのあいだで効果的に広めることに気を奪われがちだ。主要な軍事システムの共同生産だけでなく、日米双方に利益のある技術移転をふくむ共同研究開発もさらに強化することができるはずだ。
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しかしながら、日本のFXにF22ラプターを供与しない米国の態度は明らかに日米同盟強化に逆行していることをこのカルダー氏はスルーしている!
p370
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日米の経済協力をめぐる第三の優先課題は、対照的な直接外国投資をいっそう促進することにある。これまでみてきた通り、対日外国投資はOECD諸国のなかでも最低レヴェルだが、この傾向を変えねばならない。対日外国投資の相対的な少なさは、日本における競争、雇用創出、海外からの技術普及を妨げ、21世紀のグローバル化した世界における経済の停滞を招く。また対日外国投資の少なさは、日本への理解と評価と海外での重要性を強化するという、ワシントンのみならず海外での政治的影響力を低下させる。中国での大きな利害関係の産物である。アメリカの多国籍企業による、安定かつ良好な米中関係の構築への寄与は、日本にとって大いに参考になる。
対日外国投資の役割を高める重大な進歩は1990年代の末に起きた。とりわけアメリカの銀
行と投資産業が、アジア金融危機を受け、日本の銀行と保険業界で新たな戦略的役割を担うようになった。じっさい、日本の主要な証券取引所での証券取引の約半分は外国人投資家による取引になっている。そのうち英米の投資家が三分の二近くを占めている。こうした新たな傾向は日本のコーポレート.ガバナンスを促進する媒体にもなっている。日本のコーポレート・ガバナンスは、おそらく日米の経済対話において近い将来優先課題となる問題だ。
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四として、二国間の組織強化、五として政治経済ネットワークの強化。人的交流が危機的なまでに退化している現況を打破しなければならない。日本は米国の政策が固まる前の意思決定プロセスの早い段階での参加を積極的にアプローチしなくてはならない。
強固で尊敬される同盟に向けて
これまで過去に存在したすべての持続性のある安全保障パートナーシップと同じように、日米同盟は、軍事力、経済相互依存、そして文化、政治コミュニケーションが重要である。この三本の柱うちどれか一つでもしっかりとしていないと、太平洋同盟は足の長さの違う三本足の腰掛けのように不安定になり、崩れやすくなってしまうだろう。軍事力は重要ではあるのだがそれだけでは現在の同盟を引っ張っていけない。
一般に日本人が安全保障は「食料と資源」と考え、米国人は「テロリスト」や米国の覇権を脅かす「地政学的挑戦」であると考えている。日米の同盟関係と冠する日米関係の長期的利益のために、両国は安全保障と国家防衛をめぐる共通の概念、少なくとも、共通の戦略的課題にある程度合意できるような、基盤となる概念を作り上ることが、この「日米同盟の静かなる危機」を打開する処方箋であろう。
【Ddogのプログレッシブな日々】@『「日米同盟の静かなる危機」ケント・E・カルダー著 渡辺将人訳 ウェジ社刊』を読む
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/23799874.html
【Ddogのプログレッシブな日々】A『「日米同盟の静かなる危機」ケント・E・カルダー著 渡辺将人訳 ウェジ社刊』を読むその2
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/23840765.html
【Ddogのプログレッシブな日々】B『「日米同盟の静かなる危機」ケント・E・カルダー著 渡辺将人訳 ウェジ社刊』を読むその3
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/23910595.html