★阿修羅♪ > 国際3 > 449.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
11月30日20時19分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081130-00000558-san-int
インド同時テロ事件は、隣国パキスタンを拠点としカシミールの分離・独立を目指すイスラム過激派「ラシュカレトイバ」の関与が疑われている。それが事実とすれば、犯行の狙いは、関係改善の流れにある印パ両国の間にくさびを打ち込み、インドによるカシミール支配に対抗することにあるとみられる。核武装する両国が非難を応酬し、関係が悪化すれば、過激派の思うつぼになる。(岩田智雄)
「(印パ国境の)最前線で何か起これば、(アフガニスタンでの)テロとの戦いはわれわれの優先事項ではなくなる」
ロイター通信によると、パキスタン治安当局者は11月29日、テロが起きたムンバイで記者団にこう語った。犯行グループがパキスタンを拠点としていたと非難するインドの動きを牽制(けんせい)したもので、インドの出方次第では、アフガン国境沿いのすべての軍部隊をインド国境方面へ移動させるというのだ。情勢によっては、両国関係が一気に緊張へ向かう可能性が出てきた。
2001年12月には実際に、緊張状態が極限に達したことがあった。ニューデリーでインド国会議事堂が襲撃され、インド政府は、パキスタンの情報機関、3軍統合情報部(ISI)が育てたラシュカレトイバらによる犯行だと非難。両国が領有権をめぐって対立するカシミールで、両国軍の計100万人もの兵士が実効支配線(停戦ライン)をはさんで一時にらみ合う事態になった。
状況の緊迫度は、当時のムシャラフ・パキスタン大統領がその後、インド軍が実効支配線や国境を越えれば核兵器を使う用意があったと振り返ったほどだった。
しかし04年1月以降、ムシャラフ前政権とインドのバジパイ前政権の間では、米国の仲介もあり緊張の緩和が図られた。カシミールでは両国支配地域をつなぐ直行バス路線が、両国の独立以来58年ぶりに再開し、05年のパキスタン大地震では、実効支配線をまたぐ被災者の相互訪問も可能になった。信頼醸成の積み重ねの流れは、インドのシン政権とパキスタンのギラニ政権にも引き継がれた。
これに対し、ラシュカレトイバは、インド側に有利に引かれた実効支配線が「国境化」してしまいかねないとして、和平進展を妨害してきた。01年のテロが、インドの民主政治の象徴である国会議事堂を狙ったものとすれば、今回は経済の象徴であるムンバイを標的にしたといえる。
パキスタンでは、軍を支配したムシャラフ政権が崩壊、文民政権は軍を統制できずにいる。ISIには、過激派を支援する勢力が存在しており、軍への統率の乱れが、過激派を勢いづかせているとの懸念もある。
最終更新:11月30日20時19分