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クローズアップ2008:米大統領選・最終TV討論 オバマ氏、抜け出す【毎日】
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20081017ddm003030181000c.html
◇金融危機が追い風 「市場任せ」共和党を攻め
11月4日の米大統領選に向けて「天王山」となった候補者討論会が15日、金融危機による世界同時株価暴落の中で開かれた。
市場任せだったブッシュ政権の「経済失政」を攻め、政府の積極介入を支持する民主党候補オバマ上院議員(47)が、共和党候補マケイン上院議員(72)に勝利、計3回の討論会をすべて制して接戦から抜け出した。だが、オバマ氏のリードも安全圏とは言えず、勝敗の行方は激戦州での争奪戦へと移る。【ヘンプステッド(米ニューヨーク州)及川正也、大治朋子】
「私はブッシュ大統領ではない」。15日の討論会でむっとした表情を見せたマケイン氏の口調には、24%という史上最低の支持率を記録したブッシュ氏と同一視されたくないという焦りが強くにじんだ。
討論会直後のCNNテレビ世論調査によると、オバマ氏の勝利と答えた人は58%で、31%にとどまったマケイン氏は大きく引き離され、挽回(ばんかい)のチャンスを生かすことができなかった。
米ギャラップ社が15日の討論会前に発表した全米支持率調査で、オバマ氏(50%)はマケイン氏(43%)に7ポイント差を付けており、最終討論会を制したことでさらに弾みを付けそうだ。
マケイン氏は米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)した直後の先月半ば、「経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は強い」と発言し、事態の深刻さを理解していないと批判された。
前回討論会(7日)では、焦げ付いた住宅ローンの買い取りをぶち上げたが、「小さな政府」を基本とする党方針との矛盾がかえって迷走ぶりを印象付けた。
オバマ氏には金融危機で噴出したブッシュ政権批判が最大の追い風になった。
同政権は政府による金融機関の大規模救済という民主党的な「大きな政府」へかじを切っても、支持率の低下に歯止めをかけられず、オバマ氏の支持率を押し上げる格好になった。
民主党は金融政策で規制強化などに受容的で、オバマ氏も同じ政策理念だ。
また、オバマ氏は、労働者層の95%を対象にした減税を重ねて主張。
法人税減税や高所得者層の減税継続を訴えるマケイン氏に対し、「誰のための減税かで大きな違いがある」と反論した。
終盤情勢はこの1カ月半で攻守が目まぐるしく変わった。
8月末の民主党大会でオバマ氏の支持率は予想ほど伸びず、9月初めの共和党大会に初の女性副大統領を目指すペイリン・アラスカ州知事(44)が登場すると、マケイン氏が逆転。
同月15日のリーマン破綻に端を発した金融危機で再びオバマ氏が情勢を覆した。
一般的に外交問題は共和党、経済・内政問題は民主党にそれぞれ有利に働くといわれる。
1932年の大統領選では大恐慌を背景に、民主党のルーズベルト氏が共和党現職のフーバー氏を破り、政府の大規模な関与によるニューディール政策で米経済を恐慌のどん底からすくい上げた。
ただ、オバマ氏も安泰ではない。
支持率でマケイン氏に差を付け「独走状態」に入ったかに見えるが、92年に勝利したクリントン前大統領は10月半ばの調査で14ポイント差の優位にありながら、結果は6ポイント差まで詰め寄られた。黒人候補には事前の世論調査が高めに出る「ブラッドリー効果」を指摘する声もあり、安全圏とはいえない。
◇激戦州でも勢い
大統領選まで残り3週間を切る中、勝敗を分けるカギはオハイオやバージニア、コロラドなど激戦州の行方だ。全米支持率の上昇に伴いオバマ氏が共和党地盤の激戦州の多くで優位に立ち、勢いを加速させている。
大統領選に勝つには、各州に振り分けられた選挙人の総数538の過半数(270)を獲得する必要がある。米選挙分析機関リアル・クリア・ポリティクスの集計によると、現時点でオバマ氏の選挙人は286に上り、158のマケイン氏を大きく引き離して過半数を固めた計算だ。
マケイン氏の危機感は強い。見込みがなくなった激戦州ミシガンからは撤退し、最重点で奪還を狙ったニューハンプシャーでもオバマ氏に差を付けられている。今後は副大統領候補のペイリン氏と手分けしてノースカロライナやネバダなど「共和党の州」にテコ入れする見通しだが、防戦に回った戦況は極めて厳しい。
毎日新聞 2008年10月17日 東京朝刊