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電気大革命   〜テスラ モーターズの衝撃!〜
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投稿者 語巻き 日時 2008 年 4 月 20 日 13:22:14: FbKi3ZdqZar8U
 

週間スモールトークより引用

■完全無欠の電気自動車■
 100% Electric! なんともエキサイティングなコピーだ。テスラ モーターズ(Tesla Motors)のウェブサイトには、誇らしげにこう書かれている。この無名ベンチャー企業が、2008 年から量産する『テスラ ロードスター』は、バッテリーとモーターで走る完全無欠の電気自動車だ。あのコピーは、ハイブリッドカー、つまり、世界のトヨタを挑発している。

 自動車も、やっと本来の姿に戻ったのかもしれない。今から100年前、自動車の黎明期、タイヤをどうやってまわすか、まだ定まっていなかった。現在主流のガソリン自動車は、爆発の危険があり、電気自動車や蒸気自動車の方がまだ見込みがあったほどである。ところが、不世出の天才ヘンリー フォードや、そのライバルたちの不屈の努力により、ガソリン自動車だけが生き残った。

 あのサバイバル競争で、もし電気自動車が勝利していたら、世界はどうなっていただろう?電気自動車の心臓部『電動モーター』は、二酸化炭素などの排気ガスを一切排出しない。結果、大気は澄みわたり、地球温暖化も今より緩やかなものになっていただろう。空の美観もしかり。モーターでは、あの騒々しい飛行機を飛ばせないからだ。

 飛行機が飛ぶ原理は、「揚力>重力」に帰着する。よって、飛行機を設計するには、
1.重力をより小さく → 軽量化
2.揚力をより大きく → 高速化(翼にかかる揚力は高速であるほど大きい)
が重要になる。つまり、飛行機用エンジンは「軽くて高出力」でなくてはならない。ところが、モーターも蒸気機関もこの条件を満たさない。重量当たりのパワーが小さ過ぎるからである。というわけで、電気自動車が勝利し、ガソリンエンジンが淘汰された世界では、飛行機は存在しない。むろん、ギリシャ神話『イカロスの翼』が物語るように、人間の『空を飛びたい遺伝子』は常にON。飛行機に代わる別の飛行体が、空をかっ歩していたことだろう。

 飛行船は、水素やヘリウムのおかげで、自ら浮遊する力をもつ。そのため、高出力エンジンで加速し、ガツガツ揚力を稼ぐ必要はない。純粋に前進するだけの推力があればいい。これなら、モーターや蒸気機関で十分だ。実際、1852年9月24日、フランスのアンリ ジファールが、歴史上初めて飛行船を飛ばしたが、エンジンはなんと蒸気機関だった。つまり、史上初の飛行船は蒸気飛行船だったのである。ジファール自慢の小型蒸気機関はたったの3馬力だったが、それでも優雅に空を飛んだ。

 ところが、プロペラ機であれジェット機であれ、飛行機と名のつくものは、すべてエンジンだけで空を飛ぶ。つまり、速度を上げて揚力をかせぎ、リアルタイムで重力に抵抗している。「揚力<重力」なら、たちまち墜落だ。油断もすきもない乗り物だが、この事実を象徴するたとえ話もある。外資系企業の気の抜けない激務をたとえて、
「ジャンボ機を地上10mで操縦しているようなもの」

 うまいたとえだが、飛行機の本質を言い当てている。たまに乗っても、生きた心地がしないのはそのためだ。窓にへばりつき、翼がいつもげるか、そればかり気にしている。そんな心配をよそに、グラグラ揺れる続ける翼。金属疲労でいつかは折れるのだろう…絶対だ。入試、就職、リストラ、夫婦の危機、人生には試練はつきものだが、個人的にこれに優る緊張はない。ところが、飛行船なら、そんな心配はない。たとえ、エンジンが停止しても、すぐには墜ちないからだ。飛行船は飛行機よりはるかにスジがいい。

■テスラ モーターズ■
 話をもどし、テスラ モーターズ。2003年にシリコンバレーで設立されたこの会社は、自動車製造の経験がない。にもかかわらず、わずか5年間で電気自動車の量産にこぎつけた。社名も大胆にして不敵。あの電気工学界の超人『ニコラ テスラ』から拝借している。電気自動車メーカーなら、これ以上の命名はない。価格も 1000 万円と大胆不敵だが、歴史年表に刻まれることは間違いない。売れようが売れまいが、『歴史上初の量産型電気自動車』として名が残る。ヘンリーフォードの『T型フォード』ように。

 テスラ モーターズのウェブサイトによると、テスラ ロードスターのスペックは、以下のとおり。
1.ボディー
 ・座席2つのオープンカー             (見るからに狭い)
 ・型成形によるアルミニウム製シャーシー    (強度は?)
2.動力
 ・三相交流モーター :ニコラ テスラの発明品 (社名はここから)
 ・最大出力      :248馬力−185kW
 ・最大回転数     :1万3000rpm        (F1レーシングカーなみ)
 ・効率         :平均 90%/ピーク時 80% (さすがはモーター)
 ・最大速度      :230km/h
 ・加速         :0km〜111km/h まで 4秒 (ポルシェに匹敵!らしい)
3.エネルギーユニット
 ・リチウムイオン電池:ケータイやパソコンでおなじみの充電池
 ・航続距離      :約407km          (完全に実用レベル)
 ・フルチャージ時間 :3.5時間          (本当?)
 ・バッテリー寿命   :18万5000km        (本当??)

 意地の悪いツッコミをしない限り、完全に実用レベルだが、問題はバッテリー。フルチャージに3時間半もかかるので、注意が必要だ。無計画に走りまわり、燃料が切れたら、スタンドで補給、というわけにはいかない。充電用スタンドはまだ存在しないし、仮にあったとしても、3時間半も待たされる。むろん、通勤なら問題ない。帰宅後、一晩かけて充電すればOKだ。今後、ホテルや娯楽施設に充電用スタンドが設置されれば、長時間滞在型のレジャーにも使えるだろう。

■ガソリンエンジン VS モーター■
 ここで、自動車の原動機を比較する。原動機とは、車を動かす心臓部で、ガソリン自動車ならガソリンエンジン、電気自動車ならモーターをさす。ガソリンエンジンは、ガス爆発で往復直線運動を得、回転運動に変換し、車輪を回す。そのため、効率が悪く、振動はするし、音もでかい。そもそも、基本はガス爆発。専門書によると、「爆発」ではなく「燃焼」と書かれているが…

 一方、モーターは、「磁界中の導線に電流を流すと、導線が力をうける」という摩訶不思議な原理で動く。具体的には、
「磁石のそばに電線をおき、そこに電気を流すと、流れている電気が磁石から力を受ける?」
さらにややこしくなったので、一言でくくろう。
「磁石と電気で、物を動かす力を作る??」
結局、意味不明だが、このような力を電磁力とよんでいる。

 モーターの電磁力は、車軸を回転させる方向に直接働くので、ガソリンエンジンのように「往復直線運動 → 回転運動」の変換が不要である。つまり、効率が良く、音も小さく、振動も少ない。どう考えても、モーターはガソリンエンジンより優れている。ではなぜ、100 年前、モーターはガソリンエンジンに敗北したのか?その理由は、今も昔も変わらない。電気エネルギーの源泉、バッテリーの非力さにある。

■エネルギーとは?■
 ここで、「エネルギーと仕事」について考えてみよう。先のテスラ ロードスターを例にとる。まず、テスラ ロードスターが路上で停止しているとする。この時、バッテリーに蓄えられているのがエネルギー。エネルギーはモーターを回転させ、車を動かす力を秘めているが、停止している限り、仕事をしたことにはならない。つまり、エネルギーとは仕事をする潜在的能力のことである。一方、仕事とは、運ぶ・持ち上げるなど実際に骨を折ることをさす。

 つぎに、アクセルを踏み込み、テスラ ロードスターを発進させる。このとき、バッテリーに充電された電気エネルギーはモーターに注入され、車輪を回転させる。バッテリーのエネルギーが、『車輪の回転=仕事』に変換されたのである。このような装置を『原動機』とよんでいる。つまり、原動機とはエネルギーを仕事に変換する装置のことである。

 一見ハイテクに見える原動機だが、じつは、古代から存在する。たとえば、風車や水車。風車は風力エネルギーを、水車は水力エネルギーを、それぞれ回転運動に変換している。これも、立派な原動機だが、現代では、モーターや熱機関が主流だ。モーターは電気エネルギーを、熱機関は熱エネルギーをそれぞれ利用する。後者はさらに、内燃機関と外燃機関に大別される。この2つは、現代文明を担う二大機関、教養を深めるため、一挙に丸かじりしよう。

■内燃機関 Vs 外燃機関■
 ワットが発明した蒸気機関は、あの産業革命を引き起こした歴史的なアイテムである。さらに、地球初の人工的機械力という歴史的意義ももつ。何もかもが歴史的で、それゆえ、人類の発明の中では、特別の地位にある。蒸気機関は、その名のとおり、水蒸気を利用する。まず、ボイラーで燃料を燃やして、水蒸気をつくる。その蒸気圧を利用し、ピストンを往復運動させ、力を得る。

 一方、水蒸気を羽根車に吹きつけて回転させる、という分かりやすい方法もある。いわゆる蒸気タービンだが、船舶や原子力発電に利用されている。船舶ではスクリューを回し推力を得、原子力発電では発電機を回し電力を得る。いずれにせよ、燃料を機関の外で燃やすため、外燃機関とよばれる。

 外燃機関の反対言葉が、内燃機関だ。内燃機関は、その名のとおり、燃料を機関内部で燃焼させる。円筒状のシリンダーの中で、空気とガソリンの混合ガスを爆発させ、往復運動を得、回転運動に変換するのがガソリンエンジン。現代の自動車、プロペラ飛行機の原動機はこれ。ジェットエンジンは方式は異なるが、燃料を機関内部で燃焼させるので、やはり内燃機関に属する。つまり、われわれがエンジンと呼んでいるものは、内燃機関と考えていい。つぎに、外燃機関と内燃機関を比較しよう。

1.外燃機関は燃料を選ばないが、内燃機関は選ぶ。
 外燃機関は、燃料を燃やすユニットが機関本体と独立しているので、燃料を選ばない。石油、石炭、木材、廃材、原子力、熱エネルギーが得られるならなんでもいい。一方、内燃機関は、コンパクトで精密なシリンダの中で燃焼させるため、燃料は限られる。たとえば、瞬時にガス化できない石炭や廃材は使えない。

2.外燃機関は小型化は難しいが、内燃機関は可能。
 外燃機関は、機関本体のほかに、燃料を燃やすユニットが必要なので小型化が難しい。一方、内燃機関は、機関本体と燃焼ユニットが一体化しているので、小型化が容易。

3.外燃機関は動作音が小さいが、内燃機関は大きい。
 基本的に、外燃機関は燃焼、内燃機関は爆発である。

4.外燃機関は重量あたりの出力が小さいが、内燃機関は大きい。
 外燃機関、内燃機関ともに熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する。そのため、変換効率が高いほど、大きなパワーが得られる。この熱効率において、内燃機関は外燃機関に優る。しかも、パワーが同じなら、内燃機関は外燃機関より軽い。つまり、軽量で大出力を得るなら、内燃機関だ。自動車、飛行機など輸送機械で、内燃機関が使われるのは、この理由による。

5.外燃機関は大型化が可能だが、内燃機関は難しい。
 内燃機関は外燃機関より、はるかに精密なため、大型化が難しい。小さくて、精緻な機械式腕時計を、そのまま大型化したことを想像してみよう。あちこち、曲がったり、たわんだり。ちゃんと動かすのは至難だ。つまり、内燃機関のような精密機械を大型化するのは難しい。

 総括すると、燃料を機関の外で燃やせば外燃機関、中で燃やせば内燃機関、違いはこれくらいで、大差はない。燃料を燃やすユニット、往復運動ユニット、回転運動への変換ユニット、基本構造はほぼ同じだ。ところが、モーターには、その一切がない。しかも、利用するエネルギーも違う。熱機関に比べれば、モーターは明らかに異形である。ところが、こんな相いれないテクノロジーの混合種が存在する。ハイブリッドカーだ。

■ハイブリッドカー■
 ハイブリッドカーといえばトヨタのプリウス、プリウスといえば高燃費。驚異のカタログスペックはさておき、実際、リッター20km以上は走るらしい。普通のガソリン車のじつに2倍。プリウス愛好家の友人によれば、「ガソリンを入れるの忘れる」ほどだという。

 ハイブリッドカーの燃費の秘密は、ガソリンエンジンとモーターを併用する点にある。ガソリンエンジンは、低速域では燃費が悪い。そのため、スタート時にはモーターを使う。逆に、高速域では、ガソリンエンジンの燃費が向上するので、ガソリンエンジンに切り替える。どっちが燃費がいいかを都度計判断し、自動的に切り替えてくれる。低速走行が多い町乗りなら、燃費はかなり向上するだろう。一方、高速道路ではどうか?「一定速度で高速走行」では、モーターの出番はなく、常時ガソリンエンジン駆動となる。つまり、余分なモーターとバッテリーを積んだガソリン車と化し、燃費は悪化する。

 ところで、モーターといえばバッテリーだが、充電はどうしているのだろう?じつは、充電を意識する必要はない。減速時に自動的に充電してくれるからである。仕掛けは、モーターが発電機も兼ねることを利用している。モーターに電気を流せば、回転するが、その逆も真なり。つまり、外部から力を加え回転させれば、モーターに電気が生じる。これが発電機だ。具体的には、減速時に、モーターへの通電をやめれば、発電機に変身、車輪の回転から電気が得られる。それをバッテリーに充電するだけだ。

■未来の動力■
 効率化を徹底し、利用できるものは何でも利用する。これが日本式だ。ハイブリッドカーは、第二次世界大戦中、驚異の燃費を誇ったゼロ戦をほうふつさせる。ゼロ戦は、形状を維持するための骨組みにまで穴を開け、軽量化を徹底した。欧米にはない発想だ。既にあるモノと技術を大前提に、ちまちま改善するのが日本式である。ハイブリッドカーはその延長にあり、この世界で、日本の右に出る者はいない。

 一方、テスラ モーターズが目指すのは、明確にアメリカ式である。中途半端はすべて切り捨て、100% Electric。シンプルで、明快な基本原理がそこにある。未完の単一テクノロジーにかけるのは、いかにもにリスキーだが、最終的には勝利するだろう。歴史的にみて、ハイブリッド種が長生きした試しはないから。

 17世紀初頭に登場した機帆船がその良い例である。機帆船は、蒸気機関で外輪を回し、推力を得るが、帆も備えていた。つまり、『蒸気船+帆船』のハイブリッド種。このハイブリッド船が、歴史上、類を見ないほど短命だっただけでなく、模型マニアが見向きもしないほど不格好であったことは、興味深い。おそらく、テクノロジーに優れるものはすべて美しい。

 バッテリーの充電能力が劇的に向上すれば、輸送機械に革命が起こる。地球を害する化石燃料を喰らうエンジンは衰退し、クリーンなモーターが主流になるだろう。少なくとも、陸上輸送車両はそうなる。100 年前、一度敗北した電気自動車が復活しようとしているのだ。

 このことは、新たな文明を予感させる。家電製品に満足していた電気テクノロジーが、動力のような文明の基幹をになうかもしれないのだ。明らかに、『化石燃料&機械』文明から、『電気動力』文明へのパラダイムシフトが起ころうとしている。この未来は、産業革命以来のビッグイベントになるかもしれない。つまり、エジソン以来の第二の電気大革命だ。

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