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【宮崎日日新聞】社説
医療・介護費試算
2008年10月25日
改革へ向けた議論に生かせ
政府の社会保障国民会議の分科会は、高齢化がピークを迎える2025年の医療・介護費用が現在の41兆円から大幅に増加し、91兆から94兆円となるとの試算を公表した。
現在のサービス体制のまま高齢化に伴って費用を伸ばした「現状投影シナリオ」と、3つの「改革シナリオ」で計算した。
今回の試算から医療・介護を将来「あるべき姿」にするための必要な全体の費用が分かる。
言い換えれば、これだけ負担すればこういう具体的なサービスが受けられるという関係がこれまで以上に分かりやすくなった。国民にとってもイメージしやすくなったことは評価したい。
■改革型は大きな負担■
試算のうち改革シナリオでは、急性期医療スタッフの倍増や、高度な技術が必要な患者を専門的に治療する「高度急性期医療」の導入、介護職員を現在の約117万人から2倍以上に増やすことなどを提示している。
現在の医療・介護費用は自己負担、保険料収入、公費で賄われているが、試算では負担割合を変えずに改革シナリオ達成のための費用を見込んでいる。
それによると、新たに必要となる財源では、公費は現状投影型で約11兆円、25年時点での消費税率換算で約3%、改革型では約14兆円、消費税率で約4%引き上げが必要だ。保険料負担もそれぞれ9兆円、12兆円増える。
これまでは将来の費用試算が先にあって、それはとても賄えないのでサービスを抑制するというものだったが、今回は試算によってこれだけ負担すれば「あるべき姿」が実現できるという、逆転の発想でとらえている。
しかも医療と介護を一体として試算したのが特徴的だ。
■机上の空論にするな■
改革シナリオの場合、公費の追加財源が消費税率で4%というのは、多いのか、少ないのかは意見が分かれるところだろう。
だが試算は将来の給付と負担の姿を国民に示したもので、消費税を含めて社会保障の在り方を議論する良い機会になった。
医療・介護の現状は決して十分なものではない。
医師不足で産科や小児科、救急医療をやめる病院は相次ぎ、地域医療は崩壊の瀬戸際にある。
先日も東京都で36歳の妊婦が複数の病院から受け入れを拒否され、死亡するという痛ましい事態が起こった。また介護の現場も低賃金で厳しい労働環境から、人手不足にあえいでいる。
財政状況が厳しいとはいえ、このような状況が今後も続くことをよしとする国民はいないはずだ。
衆院解散・総選挙がちらつき、与野党とも消費税など国民の負担増については沈黙しているが、今回の試算を単に机上の空論に終わらせてはならない。
国民的議論に盛り上げ、改革に結び付けていく必要がある。