★阿修羅♪ > 医療崩壊2 > 309.html
 ★阿修羅♪
大野病院事件 産婦人科医 加藤克彦被告に無罪判決 (詳細)【ある産婦人科医のひとりごと】
http://www.asyura2.com/08/iryo02/msg/309.html
投稿者 gataro 日時 2008 年 8 月 22 日 19:29:10: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2008/08/post_d6f6_9.html

2008/08/21
大野病院事件 産婦人科医 加藤克彦被告に無罪判決 (詳細)

コメント(私見):

『癒着胎盤』という疾患は、摘出した子宮および胎盤の病理検査によって確定診断されます。癒着胎盤であっても妊娠中は特に何の症状もないし、児が娩出するまでは妊娠経過には特に異常は認められません。児が娩出した後に、胎盤の全面または一部が子宮壁からなかなか自然に剥離しないという状況になって初めて、「もしかしたら癒着胎盤ではないだろうか?」という疑いがもたれます。そういう癒着胎盤を疑うような状況は日常茶飯事ですが、実際にそれが本当に癒着胎盤である確率は極めて低く、ほとんどの場合は『胎盤用手剥離』という処置を実施することにより胎盤は無事に除去できます。胎盤剥離中の出血も剥離を完了することにより通常は止血します。

もしも、今回の裁判で有罪の判決だった場合は、『癒着胎盤を少しでも疑ったら、何でもかんでも、直ちに子宮摘出を行わねばならない!』という判例となってしまうところで、産科臨床の実際とはとんでもなくかけ離れた判決になるところでした。そうなったら臨床の現場は相当混乱してしまうところだったと想像します。正直、妥当な判決でほっとしました。

検察庁が本件判決に控訴しないことを強く要請します。

****** 声明:日本産科婦人科学会

福島県立大野病院事件についての福島地方裁判所の判決に対する声明

 日本産科婦人科学会は亡くなられた患者様のご遺族と悲しみを共有し、患者様には心からの哀悼の念を捧げます。
 この悲しい事件は、癒着胎盤という重篤な産科疾患において生じたものですが、当時、被告人が産婦人科専門医として行った医療の水準は高く、全く医療過誤と言うべきものではありません。癒着胎盤は極めて稀な疾患であり、診断も難しく、最善の治療が如何なるものであるかについての学術的議論は現在も学会で続けられております。
 このたびの判決は、この様な重篤な疾患を扱う実地医療の困難さとそのリスクに理解を示した妥当な判決であり、これにより産科をはじめ多くの領域における昨今の萎縮医療の進行に歯止めのかかることが期待されるところであります。
 日本産科婦人科学会は、今後も医学と医療の進歩のための研究を進めると共に、関係諸方面の協力も得て診療体制の更なる整備を行い、本件のように重篤な産科疾患においても、母児ともに救命できる医療の確立を目指して最大限の努力を続けてゆくことを、ここに表明致します。
 本会は、今回の裁判による医療現場の混乱を一日も早く収束するよう、検察庁が本件判決に控訴しないことを強く要請するものであります。

平成20年8月20日

社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 吉村 泰典

(声明:日本産科婦人科学会)

****** 見解:日本産婦人科医会

福島県立大野病院事件判決について

業務上過失致死罪:無罪
医師法違反(21 条に規定する異状死の届出義務違反):無罪

 本日、この罪に問われた産婦人科医の被告人に対して、福島地裁から、二件の容疑に関する無罪判決が下りました。これに関して、周産期医療を担う専門家集団である産婦人科医会としての見解を述べさせていただきます。

 先ず、この事件で、亡くなられた方に対し、改めて、心より、ご冥福をお祈り申し上げます。

 本件は、帝王切開手術時の癒着胎盤剥離に伴う産婦の失血死により、平成18 年2 月に執刀医が業務上過失致死罪と医師法21 条に規定する異状死の届出義務違反容疑で逮捕、勾留、その後起訴されたものであります。
 本件は産科医療の基本的な日常診療のなかで、正当な医療行為をしたが、残念ながら力が及ばなかった不幸な事例であるとの見解から、刑事責任を問うことはできず、無罪以外の判決はあり得ないとの認識でしたから、当然の判決結果であると思います。

 さて、この事件は、産婦人科医だけでなく、医療界や、社会に大きな衝撃を与えました。
その理由は、
1. 帝王切開術による不幸な医療事故が発生してから、1 年以上が経過し、その間、地域の周産期医療を担い続けてきた医師が、逃亡や証拠隠滅のおそれは、全くないにもかかわらず、突然逮捕、勾留され、そして、直後に起訴されるという極めて不当な事件であったからです。
2. 医療事故の死因究明は、本来、医療の専門家である医師に委ねられるべきです。しかし、この事件は、産婦人科の専門医が判断すれば、『通常の医療行為の結果、不幸にして救命できなかった事例であり、刑事罰の対象にはなりえない事件である』にもかかわらず、刑事司法の判断によって、『医師の過失が重大である』とされ、刑事訴追されたからです。

 このように診療行為に伴って患者さんが死亡されたことを深く受け止め、再発防止に努めねばなりません。そのためには専門家集団による透明性のある事故調査が必要です。このような事例に刑事罰を適用することは医療現場を萎縮させるだけで、再発防止には繋がりません。
 以上の観点から、日本産婦人科医会は、日本医師会と日本医学会を中心に現在議論がなされている新たな死因究明制度における原因究明と再発予防に向けた取り組みを法制化し、医療の管理を今までのように刑事司法が行うのではなく、専門家集団である医師が行う仕組みの構築を全面的に支援していきたいと思います。
 今後、医療の専門家である医師は、医療事故発生の防止に努めるとともに、医療を受ける患者さん方と、真摯に向き合い、相互の理解に努め、医師・患者間の溝を埋めていくよう、一層の努力を払わねばならないと考えています。

平成20 年8 月20 日
社団法人日本産婦人科医会
会長 寺尾 俊彦

(以下略)

(見解:日本産婦人科医会)
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 医療崩壊2掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。