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http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200804100364.html から転載。
中国地方の医師会に「主治医制」拒否広がる(中国新聞)
'08/4/10
▽後期医療で新設、報酬は定額 「診療の質低下生む」
七十五歳以上を対象に四月から始まった後期高齢者医療制度で新設された「主治医制度」を拒む動きが、中国地方の医師会で広がっている。同制度では医療機関の報酬が、原則として患者一人当たり月六千円で打ち切られるため「医療の質の低下を生む」との懸念が大きな理由である。
福山市医師会は三月三十一日、従来通り診察内容に応じた出来高払い制を続けるよう求める文書を開業医約二百四十人に送った。病状が悪化した際も、高額検査以外は医療費の追加算定をできず、粗雑な診療につながる―と問題点を強調している。
主治医制度は糖尿病や高血圧、認知症など慢性患者のうち希望者に適用される。主治医を決めて診療を受けると、患者負担は一割の六百円となる。
患者には医療費の軽減につながるともいえるが、同医師会の志田原泰夫理事は、複数疾患は簡単な検査と診察だけでも六千円の診療報酬では収まらないと指摘。「安さを売りにする医師が患者を囲い込み、十分な医療行為をしない事態を招く」と警戒、あおりで経営を悪化させる開業医が出る不安も挙げる。
山口県医師会は四日、二十地区の医師会に「専門医が連携した診療が難しくなる」と慎重対応を求める文書を送った。岩国、宇部両市の医師会が即応、開業医に同様の文書を配った。国が義務付けた主治医制度の研修内容も未定のままで、県医師会の森重幸次医事保険課長は「性急な導入」と批判する。
八日の広島県医師会理事会でも疑問の声が相次いだ。近く後期高齢者医療制度自体への反対声明を政府に届け、再検討を求める。(石川昌義)
【解説】実態に即し改善を
主治医制度をめぐり、国の方針に各地の医師会が反発する事態は、始まったばかりの後期高齢者医療制度が招いた混乱の一断面だ。
確かに一部の医師会が主張するように、主治医制度の定額診療報酬は、医療の質の低下につながる恐れは否めない。一方で、適正な運用がなされれば、高額な医療費の負担にあえぐ患者にとってはメリットもある。
混乱の中で、主治医制度を利用するべきかどうか、患者が適切に判断することが可能だろうか。制度の対象は健康不安を抱える高齢者だ。その視点に立った国の事前説明は決して十分ではなかった。
そんな国の姿勢は今、主治医制度だけでなく、保険料の年金からの天引きに対する反発、滞納者への厳しい対応への不安、新保険証の送付をめぐる紛失トラブルなど多様な問題を引き起こす。
制度が始まったとはいえ、遅くはない。高齢者の医療実態に即した患者に分かりやすい制度に見直すことも、ためらってはならない。(石川昌義)
●クリック 後期高齢者医療制度
75歳以上の全員と、65〜74歳で一定の障害の状態にある人を対象に独立した医療保険制度。約1300万人が4月1日、国民健康保険などから自動的に移行した。患者の医療費負担割合は診療報酬の1割と同じだが、患者は、従来の診療内容に応じた出来高払い制と、主治医制度に基づく定額制(原則6000円)から医師と相談し選ぶ。主治医制度に参加する医療機関は社会保険事務局への届け出と研修が必要。
【写真省略】
主治医制度に基づく医療費算定を見合わせるよう求める福山、岩国両市の医師会の文書