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この「ニュース」はスペインの日刊紙エル・ムンドに掲載されたものです。
アドルフ・ヒトラーがベルリン陥落の数日前に、地下壕の中で、彼のためにテルアビブ市内に駐車場を探すように命じられた部下に対して、テルアビブ市の非能率で腐敗しきった行政を散々にけなし、車を持っていないのに駐車場を借りるような不心得者をほったらかしにして、ロクな駐車場も作らずに罰金ばかり徴収し、それを自分の懐に入れる市当局者を「泥棒野郎!」「スターリンよりもっと悪い!」となじっていた・・・。
もちろん史実であるわけはなく、テルアビブ市内に住む若者たちが、ヒトラーの映画に勝手にそのような字幕をつけてYouTubeに流したわけです。彼らはヒトラーの口(?)を借りてテルアビブ市行政をけなし笑いものにしているわけです。
エル・ムンド紙で次のYouTubeビデオが紹介されています。まあご覧ください。確かに笑えます。現在のテルアビブ市の道路行政の不合理で腐れ切った状態が実によく分かります。これはビデオ作者自身の怒りを反映したものでしょう。
Hitler is looking for a parking spot.(英語字幕)
http://www.youtube.com/watch?v=21Cplia5ERw
(同、ヘブライ語字幕)
http://www.youtube.com/watch?v=198kIhOQV24
同紙によりますと、このビデオに対してホロコースト生存者がカンカンになって怒っており、「600万人のユダヤ人の犠牲を皮肉と笑いのネタに使うなど、断じて許しがたい」としてYouTubeに削除を要求しているようです。
ここでハッとしたのですが、古い世代が持っているホロコーストに関する神話的で絶対的な魔力が熔け始めているのではないか、と感じます。このビデオを作ってYouTubeで流した若者達にとって、ヒトラーとホロコーストはすでに過去の相対的な存在であり、現在生きる人間の感性をガンジガラメにする、私が「絶対悪信仰」と名付けたようなものではなくなってきている、ということです。
(参照)
『アメリカ:あるユダヤ国家』に対する訳者からのコメント、および若干の考察
http://doujibar.ganriki.net/translations/4-2,ajewishstatereview.html
もちろん彼らもナチスによるユダヤ・ホロコーストを子供のころから叩き込まれ信じているでしょうが、それがもはや悪魔のように自分達を縛り付ける魔力を持つものではない、ということです。これは非常に健康な感覚でしょう。「否定するか、肯定するか」という次元の話ではありません。それよりも彼らが直面している不合理なテルアビブ市行政の中で苦しむ現実のほうが重要であって、過去はそれをネタに使って現在を風刺できるほどに相対的で客観的なものになっている・・・。イスラエルの中でこういった若い世代の自由な感性が現れてきていることに注目させられます。