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自衛隊の海外派遣、先にありきの軽さ、粗雑さ――ソマリアの海賊取締り(JCJ)
http://www.asyura2.com/08/hihyo8/msg/605.html
投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 1 月 25 日 21:52:31: mY9T/8MdR98ug
 

http://jcj-daily.seesaa.net/article/113136122.html#more

 ソマリアの海賊取締りの問題で、麻生氏は昨年10月に海上自衛隊の活用を前向きに検討すると表明していた。与党のプロジェクトチームは15日、「当面」、自衛隊法の海上警備行動を発令して海自艦船を派遣する方針を決めた。自民党国防関係合同部会も21日、それを「了承」した。防衛省は派遣に慎重姿勢を示してきた。21日には国民新党の亀井久興幹事長が、「本来、海上保安庁が対応すべきことだ。それを飛び越えて、直ちに海自を出す議論を始めるのはおかしい」と述べ、まずは海保の派遣を検討すべきだと指摘したことが報じられている。あの「郵政総選挙」がらみで顕著に、自民党からこうした見識が外部に流出した現実がある。自民の「ブレーキ役」と時に応じて表明する公明党の存在価値もどこへやら。連立与党の片割れとしても、もはや独自性も感じにくくなくなっている。(JCJふらっしゅ:「Y記者のニュースの検証」)

 いまの自民党の現実、いまの自民党の人材、人材輩出の能力。その潜在性にかけようとしてみたところで、その潜在力は可能性のレベルに落としてみたところでも、かなりあやしい。完全に時代から、国民から、国際社会から浮き、孤立しているのである。すでに日本の政府与党などと自認して見せることさえおこがましいというべき状況なのである。それに輪をかけるように、なんでも自衛隊を出してそれで済ませようという与党政治家の驕り、政権の怠りの精神がそこにはっきりと鎮座していることがよみとれる。

 読売新聞や産経新聞が「ひるむな」と参戦をあおったあのイラク戦争への介入。「物資輸送」に従事していた航空自衛隊も帰還してそう時間はたっていない。
 たしかにブッシュ大統領はイラク戦争の間違いについて、「情報の間違い」を認める程度で政権を逃げ去ったが、それでもイラク戦争の話題をひたすら回避し、イラク戦争への介入の間違いを微塵も認めない日本の自公与党。国際的な非常識を「貫いている」。小泉時代だけでなく、そのブッシュ米政権の戦争・弱肉強食路線追従をついだ安倍氏の「改憲政治」の旗振り役を買って出た読売新聞や産経新聞の社説は、ソマリアの海賊問題でも「何もしないことは日本の国益を損なう。海警行動で迅速かつ有効な対処は可能だ。防衛相に速やかな発令を求める」(10日付産経新聞主張)、「日本国民の生命・財産を守ることこそが自衛隊の最大の使命だ。現場指揮官の負うリスクと、日本関係船舶が海賊の脅威にさらされ続けるリスクのどちらを優先すべきかは自明だろう」(23日付読売新聞社説)と、まことにいさましい言葉で、海上自衛隊の派遣を求めている。海上保安庁の存在も、これまでの実績もまるでまったくないかのような性急さである。

 自公与党のちょうちんもち担当社説、ご指南役担当社説にいよいよ深みというものが感じ取れなくなっている。おぞましいこと、この上ない。
 陳腐で時代遅れの自民党政治が、そのぼろぼろの実態を隠すのにひたすら利用してきた追従先は、米政権である。そのブッシュ政権が任期を終えて退場したが、米国民は圧倒的な多数でブッシュの戦争と弱肉強食経済・外交政策に反対し、初の黒人大統領を選出するという一大改革を成し遂げた。「改革」で政権を担ったクリントン大統領時代と、今度のオバマ政権によせるイエス・ウィ・キャンの「チェンジ」は質的にどう異なるのか、どこまで米国が戦争依然症を脱し、どこまで世界との協調外交の成果を出せるのかは未知数だが、その米国の「変化」もなんのその、あいかわらず襖の陰から小声でいさましいことをつぶやきつづけるような社説を続けているところがあったり、発言の内容以前にまず言葉を正確にすることが最優先の課題である人が首相の座についていたりするのだから、なんとも困ったことである。自公与党から出た首相は次々と短命で終了しているが、「国民に人気のある」というふれこみで麻生氏を首相にすえたが、これまたダメで、国民にはそういう人だからこそ早く総選挙をやってまともな政治体制の構築を求めるのだが、そういう人を首相に立てる与党だからこそ、総選挙をひたすら先送りする。選挙結果をあれこれはじきだしては「まだ時期じゃない」などと、自分たちの都合だけを考えている。

 そういう与党であればこそ、ソマリアの海賊取締り問題とくれば、海上自衛隊をだせばいい、と短絡する結果しか出せないわけである。これも当然といえば当然の帰結といえる。
 海賊取締り問題で、海上自衛隊を出しておきさえすれば国際的も顔が立つという安易な発想を、上に挙げた読売新聞社説は<現行法に基づく海自派遣は、迅速性を優先した「応急措置」と言える>とし、逆に、防衛省の姿勢について<防衛省が従来、現行法での派遣に過度に慎重だったことには、大いに疑問がある>という始末。

 産経新聞10日付社説も、<海警行動は、海上の治安維持のために必要な行動をとると自衛隊法第82条に明記されている。外国船を助けるのも人道上の行為であり、国際法的に問題はない>と与党プロジェクトチームの推移をやたらもちあげてみせた。<不思議なのは首相の指示が徹底されていないことだ。首相は昨年12月26日、浜田靖一防衛相に対し「現行法でもやれることをやれ。検討を早めてもらいたい」と指示したが、防衛相は9日、新法整備前に自衛隊法に基づく海上警備行動で海自艦船を派遣することに重ねて慎重な姿勢を示した>と、防衛省及び防衛相の慎重姿勢を槍玉にあげてみせる勢い。いかに首相のちょうちんもち担当を自負しているとしか思えな論評姿勢を続けてきているとはいえ、なんとも性急なこと、この上ないのである。

 大事なことを放置した議論には、その場しのぎのごまかしがつまっているだけで、ほとんど意味はない。言葉だけは緊急性を帯びたような文言が並ぶのに、中身がまったくない。そうしたごまかしの議論ともいえ自己都合だけのお話に、まんまと巻き込まれる人がどれだけいるのか。読売新聞や産経新聞のこの手のいきおいだけの性急な中身のないお説、人心が、自分自身が考えることから逃避し、何かから逃げ出すきっかけや理由を求めている情勢が強まると、奇妙に「力を得る」ことがある。それは市民社会の形成とは逆の、無能・無策の「お上」の国づくりへの道に他ならない。くれぐれも用心しておきたい。
 
 この件について、東京新聞23日付社説が「ソマリア派遣 粗い論議を懸念する」を掲げ、「乱暴な議論の印象を否めない」と大事な指摘をしている。
 東京新聞社説が、「乱暴な議論の印象を否めない」と指摘したのは、与党内の議論。インド海軍が、海賊に乗っ取られたタイの漁船を海賊船と思い込んで撃沈してしまう事件がおきたが、与党内の議論でがそういう事態でさえ「緊急避難」と肯定する雰囲気もあったようだというのだ。まったくひどい話である。
 また、海上保安庁による対処が困難な場合、海上警備行動は自衛隊に発令される。にもかかわらず、海上保安庁でなぜできないかの検証もそこそこに、ゴーサインを出す。これも東京新聞社説の指摘するとおり、「海自派遣の結論ありきといわれても仕方がないだろう」。
 東京新聞社説は、「人命損傷もあり得る自衛隊派遣は慎重かつ十分な議論が求められる」としているが、読売新聞23日付社説は同じ議論について、「現行法での派遣は、他国の船を守れず、武器使用に一定の制限がある。現場指揮官が判断に迷う場面があるかもしれない。しかし、日本国民の生命・財産を守ることこそが自衛隊の最大の使命だ。現場指揮官の負うリスクと、日本関係船舶が海賊の脅威にさらされ続けるリスクのどちらを優先すべきかは自明だろう」と、論点をしっかりずらしてはばからない。話を「現場指揮官の負うリスクと、日本関係船舶が海賊の脅威にさらされ続けるリスク」に矮小化して、防衛省の慎重姿勢は「現場指揮官の負うリスク」であると断じて、「現場指揮官の負うリスクと、日本関係船舶が海賊の脅威にさらされ続けるリスクのどちらを優先すべきかは自明だろう」、とやる。日本で依然戦時政権が続いているのかと疑いたくなるほど、見事な精神論である。ジャーナリズムに精神論を平然と持ち込むのであれば、せめて「我こそは与党の機関紙である」ときちんと表明してからにしてほしいと私などは思ってしまうのである。対告衆として防衛省職員や自衛官を想定して、わざわざそのような言い回の効果を狙ったものなのであろうが、私などはぞとんでもなく忌まわしいものに触れたような気がして、ぞっとしてしまうのである。
 本来は国会で徹底審議すべき案件であることは、東京新聞社説が指摘するとおりである。それなのに、海上自衛隊派遣を与党が了承したことで、武器使用の具体的基準を防衛省が作成することになる。
 「正当防衛や緊急避難で対処できない不測の事態にどう臨むのか、その詰めが生煮えのまま、防衛省に判断を丸投げするのは疑問」(東京新聞社説)であり、それが「文民統制上、好ましいことではない」ことは明らかだ。
 
――日本の貢献は、海自派遣以外にも、周辺国への海賊対策のノウハウや資金提供など幅広くあるはずだ。海賊の実態も分からない部分も多い。あわせて国会で議論するのが先ではないか。こうしたチェックを飛び越えての派遣では、自衛隊員にしてもたまったものではないだろう。――

 13日付東京新聞社説は上記のように締めくくっている。
 私もこの論のほうに賛成である。

(JCJふらっしゅ:「Y記者のニュースの検証」=小鷲順造)

 

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