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マスコミの論調は過渡期(経済コラムマガジン)-「改革路線賛美」一辺倒ではなくなってきたメディア
http://www.asyura2.com/08/hihyo8/msg/603.html
投稿者 JAXVN 日時 2009 年 1 月 25 日 16:36:49: fSuEJ1ZfVg3Og
 

(回答先: 「かんぽの宿」売却容認の社説から事実報道に転じた朝日新聞(保坂展人のどこどこ日記) 投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 1 月 24 日 23:07:42)

「経済コラムマガジン09/1/26(555号)

・マスコミの論調は過渡期

・マスコミ界の異変
筆者はここにきて日本の経済に対する論調がかなり変わってきたと感じる。本誌を発刊したのは12年前(97年)であり、当時は橋本政権が行財政改革を押し進めていた。この行財政改革を推進するがごとく、当時のマスコミの論調のベースは「財政再建」「構造改革」「小さな政府」であった。

日経新聞が経営者にアンケートを採れば、驚くことに一番優先すべき政策課題は「財政再建」という回答がほとんどであった。筆者は日本中の人々が洗脳されているのではないかと思ったほどであった。当時は金融機関が不良債権を抱え、バブル崩壊後の地価下落がまだ続いていた頃である。

橋本政権の緊縮財政で経済が急激に悪化し、さらに金融危機が表面化し、最後に橋本首相は退陣した。さすがに次の小渕政権は積極財政に転じ、一時的にマスコミや世間もそれを求めた。しかし一年も過ぎないうちに「景気は上向いた、次は財政再建だ」という風潮が盛返した。

90年代以降、大まかに言えば日本の経済に対する論調を支配してきたのは、構造改革派と財政再建派(財政均衡主義者)である。橋本政権の路線は両者が結び付いたものであった。だがこの傾向は政界だけでなく、経済学学界や財界まで広がっていた。この風潮を作り出したのは、主に日経新聞を始めとした日本のマスコミであった。

この論調は、小渕政権時に一時的に後退したが、一貫して主導的な存在であった。このような考えがピークに達したのは小泉政権である。一方、積極財政を唱える者やケインズ主義者は全ての分野で隅っこに追いやられた。自民党の中で盲目的な財政再建路線や構造改革に反対する政治家は郵政改革反対派として集結したが、小泉一派によって党を追われた。

本誌の論調は、発刊当初から、盲目的な財政再建と構造改革に一貫して反対であった。本誌はずっと「内需拡大政策の必要性」を主張、「日本の財政に大きな問題がないこと」を説明してきた。具体的な経済政策は、日銀による国債の買上げや政府紙幣(貨幣)発行を財源にした財政支出の増大政策である。日銀による国債の買上げによる通貨増大は、政府紙幣(貨幣)発行と同様、実質的にセイニアーリッジ政策と考える。

筆者は同じような考えの人々に誘われて、丹羽経済塾という政府紙幣(貨幣)発行に関する勉強会に毎月参加した。主宰者の丹羽春喜元大阪学院大学教授は、ケインジアンであり政府紙幣(貨幣)の第一人者である。しかし我々と同じような考えを持つ者は極々少数派であった。当時、世間では「構造改革なくして経済成長なし」という小泉首相の妄言が歓迎されていた頃である。

ところがサブプライムローン問題を発端にした世界的な金融危機が起り、経済情勢が急激に悪化した頃から雰囲気が様変わりした。最近、日本のマスコミの論調が、財政再建と構造改革から経済再建路線に転換してきたのである。つまり我々の主張にマスコミが急接近してきているのである。

最近、テレビで政府紙幣(貨幣)が取上げられる事があり、仲間内でも話題になっている。これまでスティグリッツ教授などの外国人が発言するのはかろうじてセーフであったが、日本の経済学者や評論家が政府紙幣(貨幣)を口にするのはタブーであった。

日本においては政府紙幣(貨幣)はもちろん、ケインズでさえずっと忌み嫌われてきた。ある経済学者がケインズに関する著書の出版を大手の経済専門の出版社に持ちかけたところ、「うちではケインズは困る」と断られたほどであった。一体、今日の日本のマスコミ界に何が起っているのかである。

・広告費の減少
90年代から構造改革派が幅をきかすようになり、積極財政やケインズ政策を唱える経済学者やエコノミストがマスコミ界から駆逐されていった。また財政再建派(財政均衡主義者)がこの動きを強力にバックアップしてきた。例外として生き残ったのはリチャード・クー氏ぐらいのものである。

この背景にはソ連などの社会主義国・共産主義国の崩壊があったと筆者は考える。究極の大きな政府である社会・共産国家が崩壊したのだから、政府の経済への介入を主張するケインズ主義も間違っているという論調が世間にも受け入れやすかったのであろう。また08/10/6(第544号)「マンキュー教授の分類」http://www.adpweb.com/eco/eco544.html で述べたように、米国の経済対策に携わる著名な経済学者が皆ケインジアンなのに、日本では新古典派だと誤解されていることも影響していると考える。

日本のマスコミの経済に関する論調が完全に変わったとは思わない。しかし徐々に変わっている事は事実であろう。筆者はこの背景の一つにテレビ局や新聞社などのメディアの経営問題があると見ている。最近、これらの会社の利益がどんどん減っており、赤字に転落するのも時間の問題である。

メディアの大きな収入源は広告費である。筆者はこの広告費の推移をずっと注目してきたが、最近これが急減しているのである。各月の広告費の増減率の推移は次の表の通りである。

広告扱い高(前年同月比%) 広告費の増減率
08年1月           ▲1.3
2月             9.0
3月             ▲0.8
4月             ▲3.0
5月             ▲4.0
6月             ▲2.3
7月             ▲7.6
8月             ▲0.2
9月             ▲13.0
10月             ▲3.1
11月             ▲11.2
12月             ▲11.1


2月を除き、広告費は対前年で毎月マイナスになっている。特にリーマンショックが起った9月頃からは、減少率が大きくなっている。

これまでの不況期では、他の経費を削っても宣伝広告費だけは確保するという企業が多かったと考える。その広告費が減っているのである。しかし筆者は、今後の広告費の減少はこの程度ではとても収まらないと思っている。

筆者は今年の4月頃から広告費はもっと減ると見ている。長期契約の広告が打切られるからである。テレビ局などもそれを感じているのか、3月で高額出演料の司会者の番組を数多く打切りにしている。

日本のメディア界はずっと構造不況業種であった。しかしこれまで業務の外部委託によって経費を節減し、これによって正社員の高報酬をなんとか維持してきたのである。ところがこれも限界に来ている。どうも昨年末あたりから正社員のボーナスも大幅にカットされ出したようである。それほど今回の不況は深刻である。

メディア界の人々も構造改革派の主張である「規制緩和で経済が成長し、景気も良くなる」といった話が嘘話ということに気が付いてきたはずである。また日本の財政が危機的状況という話も嘘ということに気付き始めている。財政再建論者はずっと「財政赤字が増えれば、金利が急騰し、さらにハイパーインフレーションが起る」と人々を脅して来た。ところが政府・地方の累積債務が一貫して増えているのに、現実の経済では超低金利が続き、一向に物価も上昇しない状態が続いている。ちなみに筆者はずっと実際の日本の財政赤字は他の先進国並と説明してきた。

そもそも財政危機が叫ばれ始めたのは、大平・鈴木内閣の頃からである。特に鈴木善幸首相は82年に「財政非常事態宣言」を行っている。つまり日本の財政が危機と30年近く言い続けられているのである。本当に日本の財政が危機なら、誰も日本の国債なんか買わないはずである。30年も経てばどんなに頭の悪いマスコミ人でも「日本の財政を誤解していた」とか「そもそも財政が危機という話は嘘話ではないか」と気付くはずであろう。

しかし日本のメディアやマスコミは、自分達の会社の経営が傾くほど経済が悪化するまで、ずっと「構造改革で日本経済を再生できる」とか「日本の財政は危機的状況」といった虚言・妄言を垂れ流してきたのである。自業自得と言えばそれまでであるが。

ここ15年くらいの間に、マスコミにはまともな経済学者やエコノミストが登場しなくなった。また正しい経済知識を持つオピニオンリーダと成るべく者もいなくなった。筆者に言わせれば、日本のマスコミがこれらの人々を潰してきたのである。しかし筆者が注目するのは、今後のマスコミの論調のさらなる変化である。今は過渡期と言える。

来週は、今週の続きで日本のマスコミ界の混乱を取上げる。」

http://www.adpweb.com/eco/eco555.html  

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