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http://mainichi.jp/select/opinion/horiyama/news/20080623dde012070060000c.html
米国産牛肉輸入反対デモが大規模化した5月下旬から、自宅アパートは毎晩、警察に包囲される。青瓦台(大統領官邸)へのデモ行進を防ぐため、通り道に機動隊が配置されたためだ。
ある晩、抜け道まで完全に封鎖され、帰れなくなった。「アパート住民だ」と言っても通れず、数十人の住民が立ち往生。しまいにはデモ隊と一緒に「通せ」と叫ぶ事態に。機動隊をののしる住民やデモ隊員が出始め緊張した時、「この子たち(機動隊)を悪く言うのはやめて」と子連れの女性が制止し、論争になった。女性は、韓国の機動隊は徴兵制で動員された20代大学生たちだから「国家権力」の側ではないという主張のようだった。
遠回りして帰宅後、インターネットを見て驚いた。討論サイトで機動隊の阻止線突破派と「機動隊は敵ではない」と主張する市民が論争していた。「さっきの現場を見てたの?」と思うぐらい、路上とネットの議論が重なった。あの場にカメラはなかったものの、ネットで生中継されるデモ現場の映像を見ながら書き込みしているため、路上とネットの議論がかみ合うのだ。
デモ隊が最大規模の10万人に膨らんだ10日は、非暴力デモを続けるか、数の力で阻止線突破を目指すか、分かれ目の夜だった。警察側はコンテナ2段重ねで高さ6メートル近い壁をつくり道路を遮断したが、デモ隊は巨大な発泡スチロールで階段をつくり対抗。そのうえで衝突覚悟で壁を越えるべきか、路上討論が続いた。明け方まで議論の末、コンテナの上に立つだけで越えないことになり、衝突は回避された。
この夜の生中継視聴者は、サイト運営社の推計で延べ200万人。ネット論争でも衝突を心配する声が多く寄せられ、現場にブレーキをかけた。
ただ、路上とネットのキャッチボールが、いつも平和的な方向に向かうとは限らない。最近は牛肉問題がメディア批判に飛び火し、新聞大手3社の建物にステッカーを張ったり、ゴミを積む嫌がらせが瞬時に発生する。3紙に広告を載せた企業に同時刻に集中して抗議電話をかける運動まで起きた。
牛肉問題から始まった集会は、今や政権退陣から教育改革までスローガンは多種多様。集会の司会者が壇上で「ゴールが見えなくて怖いけど、皆について行きます」と叫んだのが印象的だった。路上討論は盛り上がる時は効果的だけれど、着地点まで導き出せるのかは、まだ見えない。(ソウル支局)
毎日新聞 2008年6月23日 東京夕刊
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