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http://www.news.janjan.jp/media/0806/0806099137/1.php
ひらのゆきこ2008/06/11
東京都迷惑防止条例違反で罪に問われ、無実を訴えている植草一秀さんの刑事裁判は、現在最高裁に上告中です。植草さんはこのほかにも、事実無根の記事を書かれ名誉が傷つけられたとして出版社などに対し損害賠償を求め、複数の民事訴訟を起こしました。その中の講談社(『フライデー』)に対する裁判の口頭弁論が、9日、東京地裁でありました。
東京都迷惑防止条例違反で罪に問われ、控訴審で有罪判決が出た経済学者の植草一秀さんは、一貫して無実を訴え続けています。植草さんは上告し、現在最高裁で審理が行われています。
植草さんは、この刑事裁判のほかにも、事実無根の記事を書かれ名誉が傷つけられたとして出版社などに対し、損害賠償を求める民事訴訟を起こしています。訴えられたのは、小学館、徳間書店、講談社、毎日新聞社、朝日放送の5社です。
このうち、小学館(『女性セブン』)とは和解が成立し、小学館は植草さんに対し、損害賠償100万円の支払いと、謝罪記事を『女性セブン』に掲載することが決まりました。
また徳間書店(『アサヒ芸能』)は5月21日、一審で敗訴し、190万円(植草さんへ170万円、弁護団へ20万円)の損害賠償を支払うよう命じられました。徳間書店は控訴しなかったため、判決が確定しました。
残る3件については、現在、東京地裁で審理が係属しています。その中の講談社(『フライデー』)に対する裁判の口頭弁論が、9日、東京地裁でありました。出席したのは、裁判官3名(石井忠雄裁判長、安田勝裁判官、鈴木綱平裁判官)、原告側5名(原告代理人)、被告側3名(被告代理人)。
前回、被告側が時効(3年)を主張していたので、今回そのことが争点になるのではないかと思っていたのですが、この記事が出たとき植草さんは警察に拘留されており、記事を目にすることができなかったため、時効にはかからない、とする原告側の反論を受け、被告側は主張を取り下げました。
石井裁判長が、双方の準備書面提出の確認等を行ったあと「今回で弁論終結」と告げ、次回日程を申し渡して閉廷しました。
裁判のあと、弁護団にお話を伺いました。判決の見通しについて尋ねると、梓澤弁護士は「自信をもっている」とのことでした。
判決言渡しは、7月28日(月)午後1時10分、705法廷で行われます。
筆者の感想
04年4月30日号の『フライデー』に載った「同様の行為(のぞき)を過去に7、8回行った」などとする記事を書いた記者は、前回の証人尋問で、この情報は懇意にしている警視庁担当の新聞記者から聞き、旧知の現職の警察関係者に情報の真贋を確認したところ「まあ、そうだ」と言ったと証言しています。また、その旧知の警察関係者は、過去の犯罪歴にアクセスできる警察関係者に調べてもらった、とも証言しています。
この記者の証言が事実であるとすれば、現職の警察関係者と、その人に頼まれて内部情報を漏らした人物は、守秘義務違反で罪に問われることになるのではないでしょうか。ぜひ証人尋問を行ってほしいとところですが、弁護団が、警視庁担当の新聞記者と現職の警察関係者の名前を尋ねると、記者は「いえない」と名前を明かさなかったため、それ以上の追及はできませんでした。
この記者の証言で明らかになったことは、問題とされた記事の情報源が警視庁担当の新聞記者と現職の警察関係者であること、その情報の裏づけをとる作業を記者自身がまったく行っていなかったこと、同僚の記者2名も同様の情報を得たが、その情報の入手の仕方はこの記者と同様であったこと、取材が実質たった1日であったこと、などです。
なぜその情報が正しいと思ったのか、という質問に対し、記者は「(新聞記者と)懇意にしているから」とか、「(旧知の警察関係者から)いつも情報をもらっていた。これまでもらった情報はみんな正しかったから」とか「信頼していた」といった、主観的な答えに終始し、ついに客観的事実を示すことができませんでした。
弁護団の質問に対し、ときに返答に窮しながら証言していた記者の話を聞きながら思ったのは、このような杜撰な取材で記事を書くということに対する驚きと、事実無根の内容をあたかも事実であるかのように書いた記事が、社会的にも広く認知されている週刊誌に大々的に掲載されるという恐ろしさでした。
メディアが一方の当事者ともいえる警察の情報のみに頼り、他の方法で事実確認をせず、被疑者の人格を貶めるような記事を書き、それが裁判にも影響し、有罪判決を導き出すことになったのだとしたら、メディアの行ったことは犯罪行為にも等しいと言えます。このようなことがまかり通るならば、メディアは(警察が有罪としたいと思う被疑者を)警察と一緒になって犯罪者に仕立て上げることもできます。
さらに問題なのは、メディアは裁判で記事がデタラメであったことが明らかになっても、そのことを黙殺するか、小さな記事でしか報じないことです。いったん報道されてしまうと、それを覆すことがどんなに困難なことか、冤罪の被害者がいまも周囲の人々から疑惑の目で見られていることからも容易に想像ができます。
事実無根の記事によって植草さんが被った被害の大きさは、はかりしれないものがあります。どのような形でも償うことは困難であると思いますが、単に金銭による謝罪だけでなく、紙面での謝罪文掲載や判決の全文を載せるなど、デタラメな記事を書いたスペース分を用いて謝罪の意を示すような、被害者の名誉回復のために少しでも実効性のある判決を、裁判所には期待したいと思います。
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