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http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20080419ddm002070059000c.html
発信箱:未来のテレビ局=岸俊光
それはARTEという耳慣れないテレビ局だった。だがドイツ人の元番組編成部長、アイゼンハウアーさんの話には驚いたし、励まされた。
ARTEは91年に独仏が共同で設立した公共テレビ局である。両国の交流を手始めにヨーロッパの文化的統一をという当時のドイツ首相コールとフランス大統領ミッテランの意思が結実した。しかし、一つの映像に言語はドイツ語とフランス語の二つ、それぞれの国で吹き替えると聞かされても半信半疑だった。歴史の問題となれば、解釈も一つとはならないだろう、と。
普仏戦争、第一次、第二次世界大戦と独仏は150年の間に三つの戦争で対立した。「祖父母の世代のフランス人はドイツ語を聞くこと自体に抵抗があった」という。
話を東アジアに置き換えた時、例えば日本と韓国、中国の間で近い将来こんな放送が実現するとは考えにくい。
さらに日本との違いを感じたのはメディア自身が和解の一翼を担ったことである。
耳目を集めるドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」では、一部週刊誌の「反日」報道が冷静な議論を難しくした。映画館の上映中止もメディアの役割を問うものだった。多様な意見は必要だが、狭いナショナリズムに傾いてはいないだろうか。
「フランスがどう受け止めるか。番組を作る際、ドイツはそれを考える」と、シンポジウムのため来日したアイゼンハウアーさんは語った。
国の内外で意見の割れる過去の問題で、一方だけが完全に間違っていることはあまりない。だが加害国に慎みがなければ始まらないと思う。(学芸部)
毎日新聞 2008年4月19日 東京朝刊
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