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●番組改変問題の徹底検証を
●経営委は放送法の原点戻れ
●誰でも使えるアーカイブに
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2008032202097343.html
『NHK改革』の課題焦点に 『放送の公共性考える』シンポ
2008年3月22日 朝刊
「放送の公共性問題を考える・NHKの『改革』を焦点に」と題したシンポジウム(日本学術会議主催)が十七日、東京都港区の同会議で開かれた。相次ぐ不祥事の発覚を受け、改革が進められる公共放送・NHK。シンポでは、NHK改革におけるさまざまな課題が指摘された。 (近藤晶)
パネリストは、伊藤守・早大教育総合科学学術院教授、音好宏・上智大教授、NHK放送文化研究所の桜井均氏、遠藤薫・学習院大教授、ジャーナリストの原寿雄氏の五人。
冒頭、司会を務めた吉見俊哉・東大大学院情報学環長が「放送の公共性は、これまでもさまざまな場で議論されてきたが、行政やNHK側にどう反映させていくかも課題になっている。学術と社会、現場をつなぐような試みとしたい」と、学術会議でこの問題を取り上げる意味を説明。シンポを企画した伊藤教授は「継続的な議論を行い、学術会議として提言や意見を出していく場にしたい」と開催の趣旨を述べた。
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伊藤教授は、NHKの最大の問題として、東京高裁判決で「政治家の意図を忖度(そんたく)した」と指摘された従軍慰安婦問題を扱った番組の改変問題を挙げ、「ジャーナリズム機関として死活的な問題」と指摘。イラク報道での英BBCの対応と比較しながら、「NHKが『問題はなかった』という立場を維持する限り、事態の客観的な検証や抜本的な改革の方向が打ち出される余地はないと言わざるを得ない」と強調した。
原氏も、NHKと政治との距離について問題提起し、「政治が人事や予算に介入する権限を持っているというのは、どう考えてもおかしい。法律がそうなっているから仕方がないといわれるが、その原点に返ってNHKのこれからの改革を考えると、構想は違ってくると思う。政治が介入してNHKを支配すれば、ジャーナリズムの観点はどうしても失われてしまう」と指摘した。
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「今はNHKにとって第二の危機。産業界からの要請が非常に強まっている」との見方を示した音教授は、現在の経営委員会が抱える問題点に言及。「国民の代表としてNHKを管理・監督するのが経営委員会の役割。NHKで何が起こっているのか説明することが重要だ。放送法に立ち返った形で経営委員会の活動がなされる必要があるのではないか」と指摘した。その上で「本来は、視聴者と経営委員会がつながっていて、NHKをチェックできるはずだが、それが機能しているのかどうか。経営委が活発になるのはいいが、その回路ができているかが前提になる」と述べた。
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NHKで長年、ドキュメンタリー番組を制作してきた桜井氏は、組織の内側からの視点を交えながら、「今の社会全体に、他人に対して非常に不寛容な空気が流れている。つまり、公共性の範囲が極端に狭まっている。公共放送の仕事とは、これを広げていく役割。こういう時にこそ、NHKは公共放送として公共権を拡大していく任務をやるべきで、そういうことによってしか、インサイダー取引のような問題は克服できない」と述べた。さらに、今の公共放送に求められているものとして「格差の拡大と、それによって社会全体を覆っているシニシズム(冷笑主義)のまん延に向き合っていかなければならない」と訴えた。
遠藤教授は「デジタル化と放送の公共性」というテーマで持論を展開。「映像情報のアーカイブがいかに重要かといえば、ジャーナリズムが時代を映し出してきたものであるなら、その過去のプロセスに関しては、常に反復的に確認し、検証することが必要。さまざまな問題を議論するときの基礎情報として、誰でも使えるアーカイブがなければ公共権はつくれないだろう」とアーカイブの重要性を主張。「デジタル化の下で、放送というメディアは変容するかもしれないが、ジャーナリズムであるということ。そこで失ってはならないのは何なのか、必ず考えていかなくてはいけない」と述べた。
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