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日本のジャーナリズム、そのものが災害になっている=井上ひさしさん
2008年03月05日06時23分
「戦争は平気で、人工的にひとを殺す災害です」と話す、井上ひさしさん。スペース・ゼロ(東京・渋谷区)で。(撮影:穂高健一、2月25日) 写真一覧(3)
【PJ 2008年03月05日】− 日本ペンクラブ主催の世界PENフォーラム『災害と文学』の閉会式が、2月25日、スペース・ゼロ(東京・渋谷区)でおこなわれた。
日本側の作家代表して、井上ひさし(前会長)があいさつに立った。「大成功の4日間でした。日本ペンクラブの一員として、誇らしい」といってから、天井を見上げた。「こんなにぜいたくな照明はめずらしい。すばらしい会場です。演劇人の一人としては、これで芝居ができないのは宝の持ち腐れです」と揶揄(やゆ)した。
「人間は生まれたこと自体が災害です。羊水にいたときは暖かく薄暗い、とても良い所で幸せでした。おぎゃあ、と泣いて呼吸をはじめた。災害だらけの世界に生まれてきたわけです。考えてみれば、災害ばかりの人生です。最後は老いて死ぬという災害というか、救いというか、それが待ち構えている」と井上ひさし流のエスプリの利いた話で、会場を沸かせる。
「大自然は、(地球上で)災害をやったと思っていません。すべて人間の受け止め方で、どういう被害に遭ったのかは、すべて人間の問題です」と鋭く入っていく。「一番ガマンできないのは、一部の人間が大勢の人間に対して傲慢(ごうまん)になり、権力とか、金の力で、災害を与える。これだけはガマンできません。例えば、戦争であり、カトリーナ(米ルイジアナ州ニューオーリンズを襲ったハリケーンによる堤防決壊)も人災でした」と井上さんは話す。
ニューオーリンズでは8割ほど防波堤が出来上がっていた。新しい政権ができると、大統領直属の省から民営化された。5億ドルという膨大な金がつぎ込まれたのに、防波堤は完成しなかった。だから、台風で大水害が起きて、大勢のひとが家や財産を失った。
「お金とか、力とかを持っている人が他の人たちに災害を与え、平気な顔をしている。大勢を犠牲にして、ヌクヌクと生きていく」と強調した。
「戦争は平気で、人工的にひとを殺す災害です。文部科学省が教科書用に決めた数字、つまり国が認めた数字によると、第二次世界大戦で、アジアの人が1550万人殺された。約1000万人が中国の人たち。550万人はほかのアジアの人たち。日本はアジアにとんでもない災害を作りだした。それに対して反省をしている人と、まったく反省をしていない人がいる」と話す。
いま現在でも、私利私欲のために大勢に災害を与えている人がいる。日本のジャーナリズムはこれら災害を取り上げない。「日本のジャーナリズムそのものが、災害になっている」と批判した。会場からはどよめきが起きた。
外国を代表して、中国の莫言さんが、今回のフォーラムに参加できた謝意を表した。「人類の歴史をたどってみますと、さまざまな災害との戦いの歴史です」。地震、台風、干ばつ、洪水、火災、イナゴ、疾病。それらがもたらす飢えと寒さが絶えず人類を痛めつけてきました。「自然災害では、魂と肉体が過酷な試練を受けます。災害で、人間の心はより美しくも、非常に醜くなることもあります。そういう状態を見つめて表現することが、文学と芸術の神聖なつとめです」と話す。
「自然災害は恐ろしいものですが、もっともっと恐ろしいのは人類が自ら編みだす災害です。人類は邪(よこしま)な知恵で、戦争を発動し、核兵器を含む、殺人兵器を製造してきました。正確な数字はわかりませんが、きっと戦争で死んだ人の数は、自然災害で死んだ人の数をはるかに上回るものだと思っています」。
世界各国の芸術家は自らの作品のなかで、戦争に反対し、平和をたたえことがつとめですと強調した。
「今日は天災も、人災も混在となっています。一人ひとりが災害の被害者となり、時には災害の製造者になります。地球温暖化で氷が解け、海水が上昇し、環境が汚染されています。これは大自然が人類に対する報復です。『地球はみんなの家』であり、美しく青い地球は宇宙の奇跡でもあります」。人間がもし自分たちの狂った欲望を抑えることができなければ、きっと大自然の厳しい報復を受けるでしょう、と予見するのだ。
国家の利益はなによりも勝るものではなく、全人類の利益こそが、なによりも尊いものです。「文学、芸術にたずさわる、私たちは自らの責任を認識し、人類社会が美しい方向に発展していくように、力を尽くすべきです」と結んだ。【了】
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